1.時代は令和です 屏風の中のトラ
秋の歴史なのに、いきなり令和とかいう、なめくっさった作品ですがよろしくお願いします。
っていうか、秋の歴史じゃないじゃん。秋の文芸展じゃん?え?
「あの生意気なトンチ少年を、ひとつ、懲らしめてやろう」
室町時代から、かの将軍様が復活してしまった。
「しょ、将軍様、私も道連れですか」
将軍様と共に復活した一人の青年がぼやいた。
「新右衛門ッ!貴様と一休のコンビを、セットで倒さねば意味があるまい」
将軍様は、さも当然のごとく、新右衛門に言い放った。
「せっかく、極楽浄土におりました私を」
「ええぃ、貴様だけ、極楽浄土じゃと?ワシは、地獄だったというのに」
「時の権力者は、だいたい地獄行きですからねぇ」
「やかましい。この21世紀、令和の世に再び、金色の建造物を建てるのじゃ。そして、生意気なトンチ少年だった頃の一休を召喚せよ」
「はぁ。。。しかたないですね」
そうして、せっせと新右衛門は、かつての人足を召喚すると共に将軍様の指示に従い、金色の建造物を作成した。
「ふむ、よかろう。よしよし、かのトラ屏風も再現しておるな」
「ええ、まぁ」
将軍様に、こき使われつつも、しぶしぶ答える新右衛門。
「よろしい、それでは、かの一休を召喚せよ」
将軍の命を受け、一休の召喚を行う新右衛門。
「アラ=ノル・ヴァリ=サル・ゼグ=エン・ファラ=ドミナス、
灰の世界を越えて、眠れる古き契約に応じよ。
汝が真名を我は呼ぶっ!後小松天皇の御落胤よ。
聖なる杖にしつらえた髑髏を通じ、我が意を汝に通わす。
いまこそ鎖を解き、異界の門を穿て。
焦熱の吐息とともに、空より舞い降りよ。
我が敵を裁き、我が盟を守れ。
汝が炎、我が力にして、我が意志と同調せよ。
来たれ、一休宗純!その名を以て汝を召喚す!」
呪文を唱える、新右衛門。
「なんやろか、すんげー呪文やのぅ。しかも、なんだか、ちょっと洋風」
感想を述べる将軍様。
魔法陣から黒い霧が立ち込め、パチパチと電撃がはしる。
・・・
・・・
・・・
なにも起こらない。
「あれれ?」
首をかしげる新右衛門
・・・
・・・
あせらない♪あせらない♪
ひとやすみ♪ひとやすみ♪
ブチッ!将軍様の頭から、そんな音がした。
「はよ、でてこいやぁあああ、生意気なトンチ坊主ッ!」
地獄から戻ってきた将軍様は、一味ちがった。
「はいっ、ちゅいまてぇえええん」
室町時代に活躍した、伝説の臨済宗大徳寺派の僧、一休宗純が現れた。
千菊丸と呼ばれた少年時代の姿で。
「っったく、相変わらず大人を、なめくさった、クソガキめ」
「しょ、将軍様、落ち着いてください」
「新右衛門は、仲がよかったからのぅ。老朽化した橋だから、渡るなっっちゅーのに、端が駄目なら、真ん中を歩けばいいじゃなぁああああい?などと、ぬかしおって」
「僕は、まぁ、マリーアントワネットと違って、人徳がありましたからねぇ。皆様、とんちに感動してくださいましたねぇ。お久しぶりです、将軍様。そして、新右衛門さん」
「かぁ~、腹立つ。パンが無ければ、ケーキを食べればいいじゃなぁああああい?と、同じ理屈と分かりつつ、やりやがったな」
「だから、なんだと言うのです」
イラっとした将軍様は言い放ちます。
「ええい、もう良いわ。新右衛門っ、例の部屋に一休をつれてやってこい。待っておるぞ」
そうして、ドカドカと召喚の間を後にしました。
「・・・一休さん。600年ぶりですね」
「ええ、新右衛門さんも、お元気そうで」
かつての親友だった二人は、ガシッっと抱き合い、再会を喜んだ。
「が、しかし、そうは言っておられないのです。地獄の底から蘇った3代目のかの将軍様が、私達に再チャレンジしたいとのことでして」
「だから、地獄行きになるんですけどねぇ。まぁいいでしょう、引き受けましょう」
「600年ぶりですが、毎度毎度かたじけない」
「いえいえ、久しぶりですね。このやりとり」
そうして、一休&新右衛門もコンビは、将軍様の待つ謁見の間への移動した。
「ふむ、もう少し懐かしんでもよかったのだぞ。早かったのぅ」
「将軍様も、地獄を巡る間に、気の短さが改善されたようで」
将軍様に嫌味を返す一休。
「チッ、まぁよいわ。これを見よ」
将軍様が、布をめくると、そこには、トラの屏風があった。
「これまた、懐かしいものを出されましたな」
新右衛門が答える。
「600年前は、トラを捕まえるから、屏風からトラを出せと、とんちしたのは、お主であったな」
「はい、そうです」
結果として、トラを屏風から出せずに、将軍様は負けを認めたのだった。
「よかろう、令和の時代となった今の時代でも、トラは出せぬ、、、だがっしかし」
将軍様はPC端末のキーボードを操作する。
「トラが出せねば、貴様達を入れれば、いいじゃなぁあああああい」
マリーアンワネット風に叫びつつ、キーボードのエンターボタンを、将軍はツッターンと叩いた。
「なっ何を」
一休&新右衛門は屏風に吸い込まれた。
トラ屏風、それはトラを一時停止した霊体ディスプレイ。
そうして、一休&新右衛門はトラのいる、VRMMOに吸い込まれたのだった。
現代に呼び出された挙句、トラのいる屏風の世界に異世界転生?デスゲーム?。
うん、一休&新右衛門も大変ですね。




