第7話 有能と無能の違いがハッキリ出る【学園合宿】①
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エルフ王国にはないが、この人間王国では【料理は女の嗜み】という言葉がある。
その為、貴族女子でもある程度の料理が作れなければ、嫁の行きてがないと言われているのだ。
――だが、そんな事は俺にとってはどうでもいい。
愛しいダリアを妻にする為に色々とやった成果は、今まさに花開こうとしている。
「なんというか……。アルカ様は野営の準備もお手ものなのですわね」
「ああ、国の中で飛び回る事が多々あってな。その際の、いわば……【男の嗜み】として、料理や家事、野営の準備くらいは出来るようにしてる」
「なんでも出来て凄いです……。わたくしは料理は出来ますけれど……」
「おっと、料理は最高に旨い料理を作ってやりたいんだ。俺から楽しみを奪うなよ?」
既にテントを男女用でふたつ用意し、薬草の本を読みながら食べられる物を三人で探しつつ、俺達は森の中を進む。
学園の裏手の山なので、モンスターでずに安全な山の中を、食材探しに没頭する面々は多い。
今、リオンは川に行って魚を調達してもらってきている。
塩を振った焼き魚の串焼き、旨いんだよなぁ。
ワイルドに食べるのに慣れていないお貴族様では、考えつかない食べ方だろうよ。
「しかし、王子がいるとはいえ守りが厳重だよな」
「いえ、それはアルカ様がいらっしゃるからだと思いますよ?」
「そうか?」
「それに、野営の多い魔物討伐隊の方々も結構来てますし、本当に守りをかなり固めているという印象です」
「俺は戦闘もできるから、ここまで守ってもらう必要はねぇんだけど……。ああ、どこぞの阿呆は戦闘も出来ないんだったな」
「……そうですわね。震えながら杖を振って空振るくらいしか脳がないのがいますわね」
「人間界の未来は暗いなぁ」
苦笑いしながら森で食べられる植物を取り終わると、リオンから連絡が入り魚を三匹ゲットしたという知らせが届く。
俺の班はリーガルの嫌がらせを受けて、ダリアと俺とリオンだけだ。
困らせてやろうと思ったんだろうが、返ってありがたい。
それが分かってないんだろうな。
しかも隣の班がリーガル達と来た。
いかに俺が有能かを、既にテント張りの際には見せているが、あまりにも手際が良すぎたのが癪に障ったのだろう。
必死にテントを張っていたが……果たして今頃出来ているのだろうか?
食材を持って鑑定師のもとに向かい、ほぼ食べられるものしか持ってこなかった俺達の班は「完璧ですね」と褒められる。
「俺は国ではあちらこちらに視察だ、調査だと行くことが多かったんだ。昔取った杵柄が役に立ってよかったよ」
「ご謙遜を。実に素晴らしい事です。では、主食となるパンを与えます」
「ありがとうございます」
こうして食材の方もオールオーケーでゲット。
後は料理だが、食材は明日の朝分も用意している。
作るとしたら、簡単にきのこのマリネを使った料理や、食べられる葉物を使った炒め物。肉はないので、きのこ残りを入れての簡単料理の完成だな。
そこにバタートースト。スープも欲しいが、大量きのこがあるため、葉物ときのこを入れた野菜スープも作れる。
調味料は流石に用意してもらえる為、有り難いことだな。
炎魔法を使っての調理等、慣れている者でなければ作れないだろう。
他の班の女子たちは、この日のために必死に練習したのだろう。
食材を使って炎魔法の火力に注意しつつ料理を作っている。
「へぇ……。他の班も凄いじゃん」
「ええ、わたくし何もしてないですわ」
「なら、野菜を切るのを手伝ってくれるか?」
「それくらいはお安い御用です」
「アルカ様、ダリア様、ただいま川から帰宅しました」
「すまんなリオン。魚はワタを取っておいてくれ」
「かしこまりました。串焼き用ですね?」
「おう、塩焼きの旨いの作ってやるよ」
「それは楽しみです」
リオンは俺についてきてあっちこっちの野営で俺の手料理を食べているため、慣れている。そのゆえの反応だったのだが――。
「やっぱり野蛮酷では、王子ですら必死に働くものなのだな!」
「そうでもしないと、国が傾くのでしょう。大変ですねぇ」
「そういう隣のテント、もう傾いてるぞ。傾いたテントで寝るのか?」
「くっ!」
「テントもまともに立てられない王子とか目も当てられねぇよ」
「う、煩い!」
と、隣のリガードの所から野次が飛んだ為、俺からもジャブを送る。
まだまともにテントも張れないのかよ。
それこそ、この国で言う【男の嗜み】ってやつだろ?
それすらも出来ねぇなんてな。
――なんてことを、リオンと一緒に喋りつつ嘲笑っていると、リガードは憤慨していたが、既に料理の準備に取り掛かっていたため、彼らは急ぎ山へと入っていった。
食事となる野菜が見つけられればいいがな?
無かったらひもじい思いをするだけだぜ?
悪役らしく笑っていると、隣から今度は毒婦が声を掛けてきた。
「あの~~? 料理分けてくれません?」
「却下だ。俺達が食べる分しか取ってきてない」
「そこをなんとか」
「テメーでなんとかしろ。料理は女の嗜みだろうが」
「くっ」
そう告げて俺達はさくさく料理を進めていく。
リオンとの連携も慣れたもので、俺が魚の串焼きを作っている間、リオンが俺の代わりに鍋を見たり野菜炒めの交代をしたりと、忙しなく動いている。
他の班も、料理に取り掛かる者たちが多い中――王太子の班は未だに料理にも取り掛かれないでいた。
流石に見かねた教師たちが、魔物騎士団に食材探しを手伝う事に決定したが――。
既に日も暮れ始め、暗い森で食材を探すのは一苦労だ。
それは俺ですら知っている。
それから一時間後、やっとぼろぼろになりながら王太子たちが戻ってきて、数少ない食材はほとんどが毒だったらしく、ほんの少しの山菜しか取れなかったようだ。
それを補填するように、魔物討伐隊が用意した食材をもらっていたが、感謝も告げる事なく去っていく。
手伝っていた魔物討伐隊も、嫌な顔をしていた。
「さ、食材は集めたんだ。後はマリーの料理だな!」
「えっと……良ければ手伝ってくれると嬉しいんだけど……」
「料理は女の嗜みだろう?」
「ダリアの班だって女性が料理してないじゃない! ちょっとは手伝ってくれても……」
そう甘えるマリーだったが、心底冷える声を出したのはリーガルだった。
「あなた達男性だって料理をするべきだわ」と反論するマリーに対し、王太子であるリガードは「俺に飯を作れと?」……と冷えた声でマリーを牽制。
マリーは渋々料理を作り始めていったが、火加減が全く出来ておらず、あれではせっかくの食材も駄目になるだろう。
そんな事を隣で鼻歌を歌いながら料理するアルカを他所に、ダリアは味見等を担当し「美味しい……とても美味しいですわ」と目を輝かせていた。
こうして俺の班では美味しい料理が出来て。
隣の俺達を嵌めようとしたリーガルたちの班の食事は残念なもので。
美味しく食べる俺達を他所に、焦げた料理を「不味い」「ゴミだ」「残飯より酷い」と言いつつ食べている。
気持ち良いサウンドと思いながら食事をし、楽しい『学園合宿』になったのは、言うまでもない。
……だが、合宿はまだ一日目。
次の課題【魔法学習と連携プレイ】で、さらに波乱が待ち受けていた。




