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悪役王子は悪役令嬢を愛したい  作者: 寿明結未


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第28話 望み続けて得た――ダリアとの婚約

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 時は過ぎ、文化祭の用意で忙しい学園――。

 リガードが不在なので生徒会はほぼ機能していなかった為、ダリアと俺、そして数名の良識ある生徒で生徒会を回していた。

 不備なく動いていたが、ついにリガードたちの幽閉や謹慎が解かれるという話題が出て、生徒たちに激震が走る。

 生徒会を手伝っていた生徒達は――。



「あの二人が復帰するのなら私達はやめていいですよね?」

「アルカ様たちのお手伝いが出来ればと思っていただけですし」

「構わないぞ」



 リガードの手伝いはやりたくないと言う感情が伝わる生徒たちに、俺は笑顔で伝えた。そしてついに――破滅の魔王と言うべきだろうか?

 リガードが我が物顔で学園に復帰。

 マリーも復帰したのと同時に、仮の生徒会は解散する。


 全てが上手く回っていた文化祭はそこからまともに機能しなくなり、生徒からも不満の声が続出する。

 アルカはそれが予想通りと思いつつ、ダリアと共に文化祭の用意に勤しむが、沢山の生徒達から――。



「アルカ様どうしたら……」

「すまない、生徒会会長はリガードなんだ」



 言われてもと悲しげに告げ、生徒たちも涙を流す。



「君たちの頑張りは知っている。だが、俺ではどうすることもできない。君たちが声を上げなくては、何時までも彼がこの学園の生徒会というトップに居続けるだろう」

「アルカ様が生徒会のトップになれますか!」

「残念だが、俺は留学生だ。ダンスパーティーが過ぎれば、俺は故郷に戻る。すまない……」



 その問いに、俺は苦しげな演技を見せる。

 泣き崩れる生徒もいたが、俺は小さく「計算通りだな」と口にしながらダリアと共に去っていく。



「わたくしも来年にはこの国から去りますし、どうなりますかしらね」

「さてな。それより今日のイベントを忘れないでくれよ?」



 ダリアにと甘く囁く俺に、ダリアはとろける笑顔で「楽しみですわ」と答える。

 今日はダリアの家にて、ささやかな身内だけのパーティが開かれる。

 ――ダリアと俺が婚約したのだ。

 その事は誰にも伝えておらず、明日には国王から大々的に発表される。

 明日が楽しみだと思いながら二人は学園の廊下を歩いていく――。


 そしてその夜、公爵家でささやかな身内のパーティが開かれ、俺はここではエルフ王国の正装で向かい、周囲を驚かせた。

 だが、無論、パーティ会場では――。



「今この場ではエルフ王国の名を口にしても痛みは走らない。無論明日になればその魔法契約も解除される為安心だが、これからも公爵家であるハーネット家及び、エルフ王国のさらなる関係の強化になればと思っている」

「やはり、貴方様はエルフ王の……」

「ああ、孫だ。たったひとりのな」

「おお……驚きを禁じ得ません……。我が孫娘ダリアが、尊きエルフ王の孫である貴方様の心を射止めるなど」

「ははは、ご謙遜を。ダリア程の美しく気高い娘を俺は知らない」



 ダリアの祖父母は涙を流して喜び、弟は心此処にあらずと言う感じで呆然としていた。

 エルフ王の孫が自分の義兄になるのだから、そうなるのも頷けるのだが――。


 笑い声やグラスのぶつかる音が響く賑やかな夜。祝福の言葉が飛び交う中、屋敷の外が騒がしくなった。

 兵士たちが詰め寄り、公爵に何かを伝えている。



「……どうやら、リガードが来たらしい」

「ええええ⁉」

「一体何を聞きつけてきたのやら……」

「困りましたわね……」



 そう困惑するダリアの肩を抱いていると、公爵は笑顔で「大丈夫です」と口にした。



「最早奴は王太子の立場ではありません。我が公爵家に入ることも出来ないのです」

「それもそうか」

「兵士に捕らえさせ、明日の朝連行させます。それまでは牢に入れてこの宴を聞かせてやりますよ」

「はっはっは、さぞかし屈辱だろうな‼」



 俺とダリアは互いの手をそっと握る。

 周囲の視線や歓声など気にならない、二人だけの世界。

 二人バルコニーに出ると、秋の風が少し寒く感じられるようになった。



「これまでの人生は地獄の中でしたけれど……これからはアルカの籠の鳥でありたいわ……。可愛がってくださいね?」

「ああ……。永遠に可愛がろう……」



 俺は微笑みながらダリアの綺麗にアップされた髪から覗く耳に、小さく耳元で囁く――。



「この瞬間も、君だけのものだ」

「でしたら……わたくしもこの瞬間もアルカのものよ……」



 ダリアは頬を赤らめながら目を細め、楽しげに笑い返す。

 この屋敷のどこにリガードがいるかは知らないが、俺達がこうして愛を囁きあってるところに来るなんて、余程馬鹿なんだろうな。だが、復讐はこれから本番だ。

 それはともかく、俺はダリアの細い手を取り、聞こえてきた音楽に合わせてバルコニーで二人ダンスを踊る。



「一応、他国に行っても笑いものにならない程度には、ダンスは出来るぞ」

「ふふふっ! 何でも出来てしまうのね!」

「それもこれも、ダリアのお陰なんだ」

「え?」

「幼い頃に魔法水晶で見た君が愛おしく感じて……それから俺の人生は動き出した」



 ただの攻略対象ではなく。

 ただ、純粋にダリアを愛する男として。

 そんな自分になりたくて努力を続けてきた結果が――今ある。



「これからも、ずっと、この先も……隣りにいさせてくれ」

「無論ですわ」



 ダンスが終わり、二人寄り添って室内に入ると……煌めくシャンデリアの光に二人の影が重なり……だが牢獄のリガードには決して届かない光だった。

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