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「ねね」ちゃん  作者: きゃんぷ3
苦い思い出1
7/24

フタバちゃん3

ソージの言っていた通り、フタバちゃんには直ぐに会えた。

店に入って来た俺を見ると、フタバちゃんは一瞬驚いた顔をみせたが、

直ぐに落ち着いた表情になった。

「ソージくんが言った通りだ。来たんだね。」

久々、俺の耳に届いたフタバちゃんの声は、昔と同じだったが、少し大人の色が滲んでいた。

「後、30分ぐらいでバイト上がれる…あそこの公園のベンチで待ってて。」


****

「あんたの、ママ頭おかしいよ」

公園のベンチへやって来るなり、フタバちゃんに噛みつかれる様に言われた。

俺の腹の底から生まれた呻き声が、苦しそうに喉を押してくる。

俺は苦しくなって顔を伏せた。

しかし、フタバちゃんは攻撃の声を俺に浴びせる。

「久々に会ったソージくんもあんたに呆れてた!『自分の事しか考えてない。やっぱ、あの親にしてこの子ありだなって思った』ってね!」

「ソージや、お前だって…なんなんだよ!再会早々いきなり文句ばかり言いやがって!」

俺の口からでたのは、喉の奥に詰まった呻き声ではなかった。

怒りが滲んだ反論に、自分自身で驚いた。

その反論が俺の口から発せられたと知り、俺自身も驚いた。

驚いたせいだろうか…次に俺の口から出たセリフは、吃っていた。

「…だ、だ、だいったい、な…お、お俺が何したってんだっよ!」

「…」

フタバちゃんは、そんな俺を仁王立ちの状態で見下ろしながら、ゆっくり腕を組んだ。

「…お、お、俺の親がっ、ん、な何したって、い、言うんだよ。」

「…」

フタバちゃんは微動だにせず…相変わらず俺を見下ろしていた。

フタバちゃんと睨めっこ状態になった俺は、フタバちゃんが無言で睨みつけて来る為、フタバちゃんの容赦をまじまじと観察する形となった。

フタバちゃんはソージの言う通り、ピンク色の髪をしていた。

ベーカリーでhs、エプロンを着用していた分からなかったが、服装は原色ピンクの派手なロゴ入りTシャツに、ゆったり気味のデニムに個性的な形のサスペンダーという…格好だ。

少し短かめのデニムに裾から、緑とオレンジの縞々靴下が覗いている。

俺の知っている…小学校時代のフタバちゃんは、地味なひとつ結びの髪に白Tシャツとデニムばっか着ていた。

それを思い出せばこそ、フタバちゃんは…かなり個性的に脱皮している様に思えた。


「私ね、アンタの事、好きだった。」

「………え」

フタバちゃんの以外な返しに、俺は思わず間の抜けた声が…俺の喉の奥から飛び出した。



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