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「ねね」ちゃん  作者: きゃんぷ3
苦い思い出1
3/24

苦い思い出2

「す、好きです!…付き合っ」

「無理!!!!」

告白し終える前に、俺は…一美ちゃんに振られた。

「…付き合って…下さい。一緒に登校っ」

一美ちゃんが両腕で、大きなバッテンを作った。

バッテンの後に…一美ちゃんはうざったそうな表情を浮かべ、俺を一瞥すると…登りかけのジャングルジムを登り始め…友達の側へ行った。

バッテンを見て、俺は大きく項垂れるしか無かった。

今日は頑張って独り登校したけど…明日からも独りで登校しなきゃならない。

そのリアルが俺の頭の中を高速で侵食し始める。

半分程侵食された辺りで…俺はそのリアルが怖くなり始めた。

「う、う……っうえっ…」

嗚咽が俺の耳に届く。

それが俺の声だと気づいた時には、俺の流した涙が俺の布マスクを何滴も吸収した為、ベトベトに湿っていた。

ジャングルジムの上から知った顔が俺をじっと見つめている。

一美ちゃんの友達だった。

「…ねえ、あれ…あれ…ほら!」

一美ちゃんの友達が信じられないモノを見た、という表情で俺を凝視しつつ…一美ちゃんに声をかけた。

友達の声がけに呼応し、一美ちゃんがジャングルジムを登る作業を中断し…ゆっくりと俺の方を振り向いた。

一美ちゃんが、俺に一瞥した途端…一美ちゃんの友達同様『信じられないモノを見た』といった表情を浮かべて呟いた。

「断って…マジ正解…」

一美ちゃんのセリフが俺の耳に届き、俺に中の何かを抉った瞬間、俺は一美ちゃんから顔を背けた。

顔を背けた先にソーイチがいた。

ソーイチと目が合う。

その瞬間、ソーイチが俺から顔を背けた。

ソーイチの肩が小刻みに揺れ…ソーイチが自分のお腹を抱えた。

ソーイチの顔を見なくても…俺は理解出来た。

ソーイチは笑いを堪えるのに必死なのだと言うことが。

ソーイチと一緒にいた友達もニヤけた顔で俺を見ている。

俺は自分の中で震えるモノを感じた瞬間、その場から駆け出して逃げた。

この後の事はよく覚えていない。

登校時に揶揄われた時と同様、何も記憶がなかった。


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