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「ねね」ちゃん  作者: きゃんぷ3
苦い思い出1
19/24

旅館✖️イライラ✖︎不思議

その日の夜の事だ。

俺は不思議な夢を見た。

足が俺に向かって伸びている。

むっちりしてた足だが、色気だとか…いや、色気以前に生気の無い足だ。

その足は、内部が『何か』で一杯だから『むっちり』しているといった感じの足だった。

『ていっ!…ていっ!ていっ!…ていっ!ていっ!ていっ!ていっ!』

『ていっ!…ていっ!ていっ!…ていっ!ていっ!ていっ!ていっ!』

その足が、掛け声と共に…俺に向かって蹴りを入れてくる。

先程、俺は俺に向かって伸びてくる足を『生気の無い足』だと言った。

そして、その『生気の無い足』と共に繰り出される『掛け声』もまた生気の無いものだった。

抑揚の無い…『棒読み』の様な掛け声だった。

『ていっ!…ていっ!ていっ!…ていっ!ていっ!ていっ!ていっ!』

『ていっ!…ていっ!ていっ!…ていっ!ていっ!ていっ!ていっ!』

ああっ!もうっ!しつこいなっ!!

俺は、俺を蹴り続ける足を振り払うとする。

が、俺の足は動かない。

足が動かないから、手で振り払うと試みるが、手も動かない。

なんだ…これは?

俺は軽く焦った。

変な夢でも見ているのか?

ふと、『ガリバー旅行記』を思い出す。

ガリバーが小人達に張り付けにされ、体の自由を奪われるシーンだ。

くそっ…こんな気分だったのか。

ガリバーは、小人達に対して抵抗を示さなかったらしい。

相手が自分よりも小さい存在だから抵抗しなかったのだろうか?

…冗談じゃない、小さい云々よりも…この足が何者なのか…俺は分からない。

分からない事は怖い。

だから、俺は死に物狂いで体を動かそうとする。

しかし、俺の体はぴくりとも動かない。

参った…ほんとに参った。

夢なら本当に覚めてくれ …。

「いい加減にしろよっ!兄貴っっ!」

やっとの事で、口の筋肉を動かす事ができた。

俺は、俺に向かって伸びてくる足を思いっきり蹴り飛ばした。

その時だ。

チュン…チュン…チュン…

鳥のさえずりが俺の耳に飛び込んでくる。

思いっきり蹴りを入れたせいなのだろう。

俺は完全に『目を覚ました』状態だった

「うっいっ痛ってえっ…!」

俺は蹴りを入れた足を抱え込む。

蹴りを入れる為に、思いっきり足をピンと伸ばしたせいなのだろう。

俺の足は『こむら返り』を起こしていた。

俺は、『こむら返り』を起こした足の…ふくらはぎ部分を摩った。

ふくらはぎの筋肉が固く強張っているのがわかる。

俺は痛みに耐えながら、強張ったふくらはぎを見つめる。

ふくらはぎが俺の視界に入った瞬間、俺はギョっとした。

俺の足は痣だらけだった。

痣は、こむら返りを起こした足にだけあったのではない。

俺の腕、体の片側だけではあるが、あちこちに…皮膚を埋め尽くす程ではないが…痣がついていた。

「な、なんだ…これ…」

俺は驚いて思わず呟いた。

その時、ふと…俺の視界の中に就寝前には無いものがあった。

「ねねちゃん」だった。

俺は、俺のすぐ隣の「寝床」をギロリと睨む。

そこには兄貴が眠っていた。

痣だらけで不快感一杯の俺とは対照的に…兄貴は呑気に「いびき」をかいていた。

俺の中で一気に不快感がMAX近い値まで昇りだした。

就寝前に覚えていた…不快な気持ちが一気に蘇る。

就寝前の俺はイラついていた。

レンタカーを運転していた時から、俺のイライラはMAXに近い状態だったが、その後も最悪だった。

1、市街地にある予約したはずのビジネスホテルの予約が取れていなかった。

2、近辺のビジネスホテルも満室で宿泊不可。

3、宿泊ホテルを郊外へ向かう形で探すが…ビジネスホテルない。


なるべく、兄貴の旅行目的である「いろは神社」に近い場所に宿泊ホテルを探す方が良いに決まている。

で、最終的に辿り着いたのが、「旅館」だった。

俺が四苦八苦しながら、宿泊施設を探す間も、兄貴はポカン…と口を半開きにした状態で俺を見物していた。

その様子に、イラついたが…運転できない兄貴はこんな時『完全な能無し』だ。

仕方ない。 仕方ない。

そう、自分に言い聞かせて、ここまで来たのだ。

仕方ない…が、その日の最後…就寝前に…何故、兄貴の息遣いを感じて眠りに落ちなきゃならないんだ…。

部屋が一室しか取れなかったから、これも仕方ないとは言え…泣けてくる。

おまけに、妙な夢まで見てしまうし…。

俺は俺と兄貴の間に横たわる「ねねちゃん」をまじまじと見つめた。

「ねねちゃん」は相変わらず、半開きの不機嫌そうな瞳に口をへの字に結んだ表情をしていた。

変わらない。 相変わらず変わらない。

「…当たり前か…ぬいぐるみだもんな」 俺はボソッと呟く。

しかし…しかしっ…! 俺は呑気にいびきをかく兄貴を睨みつけた。


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