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「ねね」ちゃん  作者: きゃんぷ3
苦い思い出1
14/24

親友「ナナ」

「…アンタ…馬鹿?」

私の「しゃもじ山姥」事件を聞いたナナに…開口一番で言われた言葉はそれだった。

「…う、そう非難されても…仕方ないよ…ね…」


>『ナナになら…ドン引きされてた挙句、距離を取られてもいい』

あんな事を自分で言っておきながら、何だが…やっぱり…面と向かって「馬鹿」と言われると何かしら心を抉る…何かがある。

しかし、不思議な部分もあった。

ナナの「馬鹿」には、嘲りだの、見下だの、といった類いのものが感じられない。

彼女の表情を見ていると「あれまあ」という…純粋な驚きが滲み出ているのだ。

それでも、ナナにとってはこの「しゃもじ山姥」事件は…大層奇抜な事件に聞こえたのだろう。

ナナは暫くの間、自分のグラス4分の3を占めていたアイスティーを…まるで自分の中に咀嚼して飲み込むかの様にゆっくり吸い続けた。

アイスティーの茶色が層が1センチを切ると…ズズズっとナナが頑張ってアイスティーを飲み干す音が私の鼓膜に大きく響く。

それは、奇妙な「しゃもじ山姥」事件を苦労して飲み込んでいる様に、私の耳に届いた響きだった。

「2対1…詰んでんじゃん…」

「…え…?」

「マザコンとマザコン山姥…対するフタバは、ひとりぼっち…もうさ…最初から勝ち目ないよ、それ。」

ナナのセリフを聞いて私は理解した。

アイスティーを飲み終えたナナが「2対1」と言った理由を…。

理解し始めた私は、ナナの答えを自分の中に定着させる様に、軽く頷き続けた。

「おまけに…『マザコン兄は添え物』ってフタバ言うけどさ…解釈間違えてるよ。添え物はフタバ、アンタの方。」

「…うっ…え、ええっ?」

ナナって…結構辛口?

動揺する私に向かってナナは続けた。

「…マザコン&マザコン山姥カップルの『仰せのままに』…従い、『自我を殺したフタバ』が抵抗を一切せずに従う…それが、マザコン親子の取説ね。」

ストローで、アイスティーの氷をカラカラ混ぜながら、ナナが言った。


「しゃもじ山姥」事件について、私の両親さえここまで掘り下げる事をしなかった。その私の両親よりもずっと年下のナナ。

不思議な事にナナのその考察というか、指摘というか…それは妙に的を得ている感覚がした。


「…な、な、何で『取説』ってそんな事…ナナがわかるの?」


私は…ナナの指摘の根拠が知りたくて、ナナに対して食い下がる。


その話の間に、ナナのグラスの中の氷が少しずつ溶け、底にあるへばりついたアイスティーと混ざり…元のアイスティーよりも薄いアイスティーが姿を現す。

ナナは、その薄いアイスティーを再度、ズズズっと音を立てて飲み干して言った。

「私のパパと、ばあば…二人が典型的なマザコン親子だったからね。」

ケロっとした様子で、フタバが続けた。


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