三琴ちゃん
そう言うフタバちゃんこそ…頭おかしいじゃねーか…」
時間軸の異なる二つの過去をトリップし、現実に生還した俺は、妙に冷静だった。
俺はゆっくりと顔を上げ、フタバちゃんの顔を見た。
俺のセリフにきっとムカついたのだろう。
フタバちゃんは…これまでに無い程、眉間の皺を増やして俺を見下す形で俺を睨んでいる。
でも、俺は全く動揺する事無く、フタバちゃんに言ってやった。
「お母様が頭おかしいって…学校の奴等、ある程度噂してたんだろ?」
>『マンション…そいつらにも兄弟姉妹いるから、ある程度のネットワークできてんだよ』
ソージの言葉が脳裏を過った。
「フタバちゃんの警察沙汰以前に…俺が、低学年の子にやんちゃを…やらかして… その子の親ともお母様は警察沙汰になったの…当然フタバちゃん知ってたんだろ?」
フタバちゃんが冷たい眼差しで…相変わらず俺を見下しながら答えた。
「そりゃ、ね」
「小学校時代の話だろ、それ?…フタバちゃん、それを知った上で…高校時代に俺の兄貴の公式恋人になった。」
「…」
「普通の奴だったら…頭おかしい家族に近づかないだろう?!…俺を振った一美ちゃんみたいにさ!!」
後半は怒鳴る様に、反論が…弾丸の様に俺の口から飛び出した。 フタバちゃんが一瞬、上半身をびくっとさせた。 公園で遊んでいる知らない小学生達も…奇妙な目で俺とフタバちゃんを一瞥し、離れて行った。 俺自身もフタバちゃんに言い返した後で…自分で放った言葉が自分の心を抉る。
そうだ…おかしい。
俺のお母様は頭がおかしい。
お母様だけでなく…兄貴も頭がおかしい。
あのお母様に育てられ…兄貴を見て育った俺も…頭がおかしい。
気づきの切っ掛けは、さっき俺自身が言ったもう一つの『警察沙汰』だ。 ****
三琴ちゃん。
年下の女の子。
気の強い女の子だった。
俺の記憶の中では…いつも特定の誰かと群れるタイプの子ではなかった。
その時、その場で…側にいる誰かといつの間にか仲良く遊んでいる…そんな感じの子だった。 そう、言ってしまえば…『誰とでも分け隔てなく接する』ソージに、雰囲気が似ていた。
因みに、高層階と低層階という違いはあったけど…三琴ちゃんは俺と同じマンションに住んでいた。
「三琴ちゃんも一緒にやろうよ!ドッジボール!」
俺の側で『その子』…三琴ちゃんを遊びに誘う声が聞こえる。
三琴ちゃんは嬉しそうに参加すると、直ぐにその輪に溶け込み直様、ドッジボールを制するようになった。
三琴ちゃんという名前のその子は…チビだが、運動神経が抜群に良かった。
中でも、球技系は抜群に上手く、ドッジボールだけでなく、バスケ、サッカーでも一目を置かれていた。
俺は、ドッジボールが好きだった。
しかし、情けない話だが、俺は運動神経が壊滅的にダメだった。
その年の保護者面談のあった日の事だ。
面談から帰ってきたお母様は、かなり不機嫌だった。
お母様は帰って早々、俺に向かって言った。
「二郎くんのとこの先生…嫌な人ね。二郎くん、嫌な事されてない?」
「さ、さとう…先生の、事?」 俺は自分の母親が担任の先生を悪く言う理由を想像出来ず…驚きながらお母様に尋ねた。
「そうそう!どこにでもいそうな…名前の人!」
お母様は俺の質問に答えると、次に怒っている理由を話し出した。
お母様が怒っている理由は次の二つだった。
1.二郎くんが授業中、勝手に席を立って教室内を歩く事に嫌味を言われた。2.二郎くんは運動が苦手な傾向がある。幼少時に体を動かす事をしたか。
お母様は1よりも2に強く憤っていた。
「二郎くんが運動神経ないなんて…失礼よ!二郎君は、お兄ちゃんよりもバスケ上手い上に、 ちゃんとお兄ちゃんにも教えてあげられる位…優しいのに!」
そう言って、お母様は自分の視線を兄貴に移した。 兄貴は、バスケのおもちゃで遊んでいた。 専用のシュート台から複数のバスケットゴールが設置されているヤツだ。 入れたゴール毎に点数が決まっているタイプの…そのおもちゃは、 シュート台の設置場所に依ってゴールする確率が違ってくる。
その時、兄貴が俺が教えた通りの場所から、シュートを決めた。
兄貴の奇声が部屋に響き渡る。
お母様は一瞬、目を細めて微笑ましく兄貴を見つめていた。
「お母様」
俺は恐る恐る声をかけた。
微笑ましく兄貴を見つめていたお母様が、振り返って俺を見つめる。
その顔には、先程の怒りの痕跡は微塵もなかった。
「どうしたの、二郎くん」
「授業中、歩き回ってた事は…いいの?」
俺以外にも授業中に歩き回る男子は、他にもいた。
既に保護者会を済ませたそいつらは…親に大目玉を食らったらしい。
俺は、基本、お母様から怒られた事がない…兄貴を虐めた事以外は、だけど。 だけど、先程まで、怒っていたお母様の様子で怖くなっていた。
これは…兄貴を虐めた件に次いで…怒られる案件かもしれない、と。
すると、俺の予想に反し…お母様は機嫌良く微笑んで言った。
「二郎くん、お母様の作ったごはんを夢中で食べている時は歩き回らないでしょ? 夢中になれない…退屈な授業をする佐藤先生が悪いのよ!」
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前日にそんな事があったせいだろうか?
その日は…いつもの学校の中休みだった。
俺はいつも通り、ドッジボールで主役級の活躍をする三琴ちゃんの活躍を横目に… そこら辺にある遊具を適当に登ったり、そこら辺の草花を適当に弄ったりしていた。
が、その時、三琴ちゃんが俺の側に来た。
正確に言えば、俺の側にある水飲み場へ手を洗いに来ただけ、だったのだか…。
この時の俺は、この時を『チャンス』だと思ったのだ。
三琴ちゃんと話すチャンス。
そこから、一緒にドッジボールをやる事が出来れば、な、と思っていた。
俺は、草花を弄っていた手を止め、立ち上がると…三琴ちゃんの側に来た。
至近距離に近づいた俺を、三琴ちゃんが見上げる形で仰ぐ 。
「っば、ばーか!」
俺は三琴ちゃんに声をかけた。
いや、罵声を浴びせた。
…何故、そんな真似をしたのかって?
当時を振り返っても、俺自身もわからない。
ただ…ただ…三琴ちゃんが、俺に関心を向けて欲しかった、という気持ちはあた。
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「あっちへ行って!」
三琴ちゃんが、大きな声で俺に抗議した。
「ば、ばーか!」
「先生に言うから!」
「ばーかっ!」
「やめてよっ!」
「やめてよっ!」
俺は三琴ちゃんの声真似で、美琴ちゃんのセリフをオウム返しする。
怒った三琴ちゃんが、俺に向かって手を挙げる。
俺を殴る気だ!
気付いた俺は、三琴ちゃんの攻撃から華麗且つ、素早く身をかわし…グランド目がけて走り出す。
その俺に釣られる様に、三琴ちゃんが俺を追っかけてきた。
「ふざけんな!」
「…捕まえてみろよ!」
「待ちなさいよ!」
「…ははっ!捕まえられるもんならっ…捕まえてみな!」
目の前のグランドには、追っかけっこをする俺達を応援するかの様に…花々が大きな揺れ動く。
その花の添え物の様に、こちらを見物する生徒達の姿も。
「捕まえたよ!…お兄ちゃん」
三琴ちゃんが、誇らしげに俺の腕を掴み言った。
「よし!…次は…ドッジボールだ!!」
三琴ちゃんが、挑戦的な表情を浮かべ、俺の腕を掴んだ反対側の手で…握り拳を作ってみせた。
それは俺を殴る為に作った拳ではない。
不思議な事に俺はそれが分かっていた。
俺の予想通りだった。
三琴ちゃんは、握り締めた拳から親指だけを…天に向かって大きく突き出す。
それから、三琴ちゃんは俺の誘いに大きく首を縦に振り…『肯定』の意を示していった。
「いいよ…!やろう、ドッジボールっ!」
…とはならなかった。
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気付くと、俺は三琴ちゃんの友達と、三琴ちゃんの姉貴と…男の先生、おまけに複数のオーディエンスに囲まれていた。
この時の俺自身の心情は…俺自身あまり覚えてない。
ただ焦っていた。
だって…三琴ちゃんが俺の欲しい言葉を言ってくれないから。
『今度一緒にドッジボールしよう』とか。
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「三琴ちゃんが、早く誘ってくれないから…オウム返ししちゃっただけだよ、俺。」
三琴ちゃんの件で、呼び出しを食らったお母様に…俺はそう言って泣きついた。
担任の佐藤先生が、溜息をついた側で、三琴ちゃんの側にいた男の先生が呆れた顔で俺を見つめていた。
「どんな言い訳してもダメだって…わかってるんじゃない、二郎くん。」
佐藤先生は諫める口調で俺に言った。
「ごめんなさい。」
「二郎くんっ!先生に誤っても仕方ないでしょ?三琴ちゃんに…ちゃんと謝りなさい!」
俺の謝罪を佐藤先生が跳ねつけた時だ。
「私から、三琴ちゃんにごめんなさいします…今日はこれで帰っていいですか?」
お母様が、佐藤先生に噛みつく様に答えた。
お母様の提案に対して…佐藤先生が、先程の溜息よりも大きな溜息をついた。 「お母さん、三琴ちゃんにだけ、じゃないんですよ?二郎くん、ここ最近、低学年何人かの女の子に向かって …いきなり暴言いっているんですよ。三琴ちゃんと一緒にドッジボールしていた子達が証言してます、 ね、二郎くん、さっき聞いたら認めたよね?」
畳み掛ける様に…佐藤先生が俺に向かって言った。
俺は黙って俯き、そのまま横目でお母様を見た。
マスクから覗くお母様の顔は真っ赤になり、こめかみには血管が浮いていた。 そして…お母様のふくよかな膝の上で握り締められていた両手は…ぷるぷる震えていた。
「二郎くんは…大人の先生二人に囲まれて怖かったから『やった』って言ったんでしょう?! 先生達が脅して二郎くんに…そう言わせたんです!」
お母様の声色は…怒りに満ち溢れていた。
こんなお母様を見たのは初めてだった。
俺はその様子に…驚きの余り、何も言葉が出なかった。
「言わされたもなにも…二郎くんが意図的に三琴ちゃんの声真似で『やめてっ!』と言っている所を、複数の児童が見てたんですよ、お母さん」
佐藤先生の隣に居た男の先生が、静かな声でお母様に向かって話しかけた。
その男の先生は、偶にではあるけど…中休み時間にドッジボールに参加して生徒とプレーをしている六年生学級主任の先生だった。
「つまり、二郎くんは三琴ちゃんが嫌がっている意思を…認識していたんです。嫌がっている事を知りながら、その嫌がっている事を継続したんです。今は子供だからって…そこを見て見ぬふりは宜しくない。『相手が嫌がってる事を知りながら、その嫌な事を継続する…大人であれば間違いなく犯罪ですよ。」
男の先生はそこまで言い終わると、俺に向き直って言った。
「…ここまで聞いてどう思うの?二郎くん」
俺は自分の体が硬直している事を感じた。
「しかも相手は、自分より年下の…か弱い女子だ。」
俺の硬直した体が…今度は小刻みに震え出した。
「…自分で…自分のやった事がダサいと思わない?」
男の先生が畳み掛ける様に…俺に話かけた時だ。
ガタンっ!
大きな物音が聞こえ…次に俺は、腕を強く引っ張られた。
「…お母さん!」
鈴木先生の声が部屋中に響く。
俺は、お母様に腕を強く引っ張られながら…校門まで歩いた。
「あんな人達…!ただの馬鹿だと思えばいいの!」
そう言いながら俺の腕を引っ張り、俺の前をずんずん歩くお母様の背中は怒りで一杯だった。
「いいの!いいの!!お兄ちゃんも二郎くんも…私立を受験するんだから!こんな下らない公立の小学校なんか…行かなくていい!」
思い起こせば…この時期は丁度、兄貴が同級生女子から『キモい』と言われた時期と重なる。
それから数ヶ月もしない後、俺は「お母様が警察から職務質問を受けた」という話しを耳にした。
『アイツのオカン、三琴の家の郵便受けを勝手に開けようとしてたらしい…それで通報されたらしいぜ』
『それ以前にさ…なぜか、三琴ちゃんの居住階に、何故か二郎のオカンが居たらしい』
『ああ、知っている!三琴ちゃんから聞いた!三琴ちゃんのオカンがさ…居住階に住人にあんな人いたっけ?ってなって…』
『そうそう!…で、そこからよく自分の周りで二郎のオカンを見かける様になってさ…』
『…で、警察に度々相談してたらしいよ!…「二郎のオカンが高層階から降りて来るのを、三琴ちゃんのお母さんが「あれ?」って思ってさ…おまえさ、二郎と偶に喋ってんだろ?ソージ。なんか本人から聞いてないの?』
『……ああ…なんか…低層棟に住む貧乏人って、三琴ちゃんの事を…自分のオカンが言っていたとか、ちょっと話していたっけな…まあ、もういいだろ?警察案件になっているだろうし。警察がよろしくやってくれるよ。』
俺は皆に見つからないよう…反対側の扉から飛び出して、家路に着いた。
走りながら俺は妙に納得した。
同級生の皆が…最近、俺に対してよそよそしいのは、そういう事だったのだと。
ソージを始め、噂話をしてた連中は…俺が扉の向こうにいた事を知らない筈だった。
だから、俺の存在を側に意識した会話をする必要が無い。
だから…だから…あの噂話は、本当なのだろう。
お母様の帰りが異様に遅かった日を思い出す。
夜遅く帰って来たお母様は珍しく、疲れ切っていた。
その疲れを隠すかの様にお母様は、不自然な程、明るい声で…俺と兄貴に言った。
『ごめんね、晩御飯はお弁当でいい?…お母様、…その………出先で倒れて暫く休んでいて…』
お母様は買って来た弁当をテーブルに並べて言った。
『二郎くんも、お兄ちゃんも…学校行かなくていいよ。お兄ちゃんは、後は卒業式だけ出れば、いいから』
そう言ったお母様の顔は、子供の俺の目から見ても…とても疲れていた。
その疲れたお母様の横顔は、時々ではあるが…ふとした瞬間に俺の脳裏を過る事がある。
お母様は綺麗な人だった。
自分の母親だから…マザコンとしてのフィルターがかかっているのだろう、と指摘を受ければそれまでだが…頑張ってそのフィルター無しでお母様を見ても…お母様は美しいと思う
だが、不思議な事に…成人し…時々俺の脳裏から飛び出す母の姿は、前述の通り…とても疲れた中年女性の顔だった。
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それ以降、俺と兄貴は…学校に行く日は格段に減った。
俺の場合、翌年の担任の先生が…例の男のドッジボール教室に当たってしまった事も…登校日が減る要因の一つだったのだろう。
ドッジボール先生は、俺に対しての扱いは「普通」だったけど、お母様にとって、そこは耐えがたい何かがあったのだろうと思われる。
お母様は卒業式だけ兄貴に参加させる…それでいいと思っていた節があるが、肝心の兄貴が他のイベントにも参加したいと…ゴネて…お母様が根負けしたのだ。
お母様は心配と不機嫌が混在した表情で、俺と兄貴に言った。
「勉強は塾がメインでいいの。学校はイベントだけ参加して思い出を作ればいいよ。」
俺と兄貴はお母様の言う通りにした。
最初は俺もそれで楽しかった。
だけど、イベント事に参加しても…俺は「ぼっち」だった。
「ぼっち」だと…イベント事は全く楽しくなかった。
「ぼっち」のせいで、暇だった俺は…周りの連中を観察し、周りに連中の会話に耳を傾ける。
そして気づいたのだ。
周りの連中の会話は基本、過去の出来事がベースにあるのだ、と。
例えばこうだ。
『前さ〇〇が言ってた話だけどさ…』
『アイツやばくない?…〇〇の時もさ…さっきと同じ事してたよ!』
こんな調子だ。
そして更に俺は気づいた。
「連れ」がいる奴等は、基本学校に来ている。
そして過去の出来事から、話題を作っているのだ。
俺は自分の状況に…危機感を覚えた。
でも、お母様の言う通りにしなきゃいけない。
俺の中で葛藤が生まれた。
俺は対処法を俺なみ考え、お母様にお願いしてみた。
「お母様、明日はイベントない日だけど…中休みに〇〇と遊ぶ約束したから…学校行っていい?」
「お母様、明日の給食が好きなものばかりだから、学校いっていい?」
俺はお母様に対して、適当な嘘をついて、偶にではあるが…学校に行った。
その俺なりの『頑張り』のおかげだろう…イベント事には…適当な誰かとつるむ事は出来る様になった。
普段の日は、特定の友達もいなくて…『ぼっち』だったけど。
俺と対照的に兄貴は…イベントでは完全に『ぼっち』だった。
それでも、俺と違い…仲間内で群れる連中の側で…会話に耳を傾けるという『楽しみ方』をしていた。
今思い返せば…この辺りが、兄貴と俺の『引きこもりになるか否か』の分かれ道だったと思う。
それからの兄貴については、俺が学校や塾から帰宅しても…基本は部屋にいた。
そっとドアの隙間から兄貴の様子を覗き込む。
兄貴は、塾のテキストを山積みにした壁を作り、それに隠れ…ゲームばかりをしていた。
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「私が…頭のおかしいアンタのママと、同等程度におかしいって?!」
険があるが…妙な落ち着きを含んだフタバちゃんの声が、俺の頭上に降り注ぐ。
その声は、部屋でゲームばかりをしている俺の脳の兄貴の残像を完全に追い払い、 俺を現実に戻すのに十分な声だった。
俺はゆっくりと、フタバちゃんを見上げた。
当然、フタバちゃんとお見合い状態になる。
険を含んだ声に反し、フタバちゃんの表情に怒りは浮かんでいなかった。
「そんな事ね、あんたなんかに言われなくても分かってんだよ!」
若干ドスの効いた声色でフタバちゃんが、俺の主張を肯定した。
フタバちゃんの肯定に…俺は軽く驚いた。
フタバちゃんは、そんな俺を一切意に解することなく…喋り続けた。
「大学の友達に同じ事言われたよ…自分で上手に…マザコン親子を手の平で転がす事が出来るって 思ってたんでしょ、って。図星だった。」
遠くに視線を遣りながら喋るフタバちゃんは、俺と話していると言うよりも…自分の世界に籠りながら…独り言を言っている感じだった。
「マザコンママの思想に染まったアンタだって、何とかできなかったのに…確かに私にできる訳ない 自分でも驕っていたよ。」
そう言ってフタバちゃんは、大学の友人の事を語り始めた。
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