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「ねね」ちゃん  作者: きゃんぷ3
苦い思い出1
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気になる、萌キャラ「ねね」ちゃん…のそっくり。気になる理由は…

ねね。

ねね。

ねね。

可愛い名前。

『同じ文字をふたつ続けると印象的でいい』

誰かは忘れたが、その誰かが…どこかで言っていた言葉。

まあ、細かい事はいい、そんなに重要じゃないと思うから。

だが、この言葉は事実だと思う。

僕の「ねね」は確かに可愛い。

膝にちょこん、と座る程度のサイズ。

小さく短い手足。

2、3等身の体。

その体には赤にレースがあしらわれたドレスを纏っている。

黒い髪の毛…いや、藍色のフェルト生地で作られた髪の毛。

フィギュアや、アクリル板へ印刷された公式の「ねね」ちゃんは黒髪だが、僕の膝にちょこんと座る「ねね」ちゃんのぬいぐるみは藍色の髪の毛だ。

そして、ねねちゃんの顔。

目は不機嫌そうに半目を開き、口は一文字に結ばれている。

かわいい。

ああ、かわいい。

そこもかわいい。

本当にかわいい。


****

「かわいい? 公式の「ねね」の方が全然美少女じゃね?」

僕のかわいい「ねね」ちゃんを一眼見た時の僕の弟の感想だ。

その時の心情は今でも覚えている。

心底、不快感が…心の底辺部分から泥を纏った状態のまま、緩慢な動きで心の表面迄へと姿を現す…そんな感じだった。

僕はこの弟と、今の今まで「ケンカらしいケンカ」をした事が無かった…らしい。

その昔お母様がいっていた。

『お兄ちゃんは、威張った態度を取った事が無いからね。弟にとって良いお兄ちゃんね。偉いわ』

母に褒められた僕は、嬉しくなり母に「おねだり」した。

『お母様!僕、偉いので明日からの登校は…僕に付き添って!』

お母様は驚いた様に僕と弟を交互に見た。

すると、二つ違いの三年生の弟は言った。

『いいよ、僕は…ひとりで学校いけるもん』


****

「だからさ、髪の色とかさ、公式と違くね?ってだけの話だよ。兄貴がこのぬいぐるみが可愛いって言うならいいんだ」

弟が、僕の機嫌を取る様に取り繕った台詞を吐く。

その態度に僕は溜飲を下げ…僕の膝に座る「ねね」ちゃんの頭を撫でた。

「うん、ピンと来たんだよ…ネットショップで見た時にさ。」

兄貴はそう言うと「ねね」ちゃんの頭を撫でた後、赤いフリル付きのドレスの上から、つるん…とぬいぐるみの体を撫でた。

撫でた拍子に引っかかった指がぬいぐるみのスカートを偶然にもめくる。

白い下着をつけたぬいぐるみの下半身が露わになる。

下着をつけたその下半身はむっちりとした肉付だった。

それを見た瞬間、やっぱり似てねえわって思った。

そしてあり得ないと思った。

「ねね」ちゃんは、とある…同人作家が作り上げた物語の萌キャラ主人公だ。

萌キャラ主人公らしく美少女設定だ。

小さい顔に癒し系を意識した丸く大きな瞳。

そして、サラサラの黒髪を靡かせながら悪霊と戦う美女巫女。

それが「ねね」ちゃんだ。

スレンダーだけど、ボンキュッボンな体から霊力を放つ際の決めポーズは、ファンの間でテンション爆上がりする瞬間だ。

なんて…俺はファンであるかの様に「ねね」ちゃんの有り様を語ってしまったが…俺自身は「ねね」ちゃんのガチファンではない。

「ねね」ちゃんの事は美女だとは思うし、ちょっと気になる存在だが…俺自身は「ねね」ちゃんの相棒の激烈なファンなのだ。

「ねね」ちゃんの相棒…の「なな」ちゃん。

「ねね」ちゃんとは対照的に金髪碧眼の容姿のスナイパーだ。

吊り目で、ベースは「可愛い」を基調としたちょっと「かっこいい」が入った顔だ。

顔も俺好みだが、「ななちゃん」の設定に俺は完全にノックアウトされた。

「なな」ちゃんと…ちゃん付けで呼んでいるが、実は「なな」ちゃんの性別未定なのだ。

女ばかり生まれる一族出身の「なな」ちゃんは男になりたい。

でも、先祖達の業の深さが原因で男になれない。

だから、相棒をタッグを組んで、悪い悪霊供を退治している。

最初は兄貴がハマった「ねね」ちゃんに…一時ではあるが心奪われた俺ではあったが、ストーリーを鑑賞する内に…いつの間にか「なな」ちゃん一筋になってしまった。

「なな」ちゃんに向かって「ねね」ちゃんは絶対言わないけど…他の仲間達から、偶に「貧乳」呼ばわりされ、シュールなしっぺ返しを喰らわせるやり取り等も、俺が「なな」ちゃんにハマった理由のひとつだ。

ああ、「なな」ちゃんの話となると…どうしても熱が入ってしまう俺。

「に、してもなあ…」

思わず、独り言が口から飛び出た。

「似てねえよな…ぬいぐるみ」


何でそんなモンにハマった?兄貴…

****



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