4話
「どうして──優と一緒にいるの?」
声がした。
顔を上げると、そこには──春がいた。
そして──クラス全員が、校門に立っていた。
「えっ……全員?」
「おーい、優~? どこに連れてくんだよ、その子と~?」
ヒロが、からかうように笑う。
やばい、どうしよう。
身体が勝手にこわばる。
「別にこれ、ただ──」
冬が口を開こうとしたその瞬間。
「ち、違う! これは……俺が、無理やりお願いして!」
────。
学校の終わりは、いつも怖い。
どうせ今日も、あの校門の先に“全員”が待ってる。
そう、毎日──あんなふうに。
そして、気がついたら。
俺は、いつもボロボロになってるんだ。
────。
「うっ……」
「優!? 大丈夫!?」
クラスメイトが駆け寄ってくる。
「い、いや……なんでもないよ。み、右手が疼いて……」
「……!!」
トモが固まる。
「それって……厨二病、か?」
うっわぁ!! そう返す!? それメタなの!? どうしよう!!
「いやいや! 違くて! あははっ、なんか、ちょっと変な感じしただけで!!」
……まずい、空気がめちゃくちゃ変になった。
でも──そうだ。
今、この状況を切り抜けるチャンス。
「ご、ごめん!! 今日は冬にどうしても相談したいことがあって! だから時間ないんだ!!」
言いながら、冬の手を取る。
「冬、行こう!」
「えっ……う、うん! 行く!!」
「……あ、」
夏が何か言いかけたけど、振り返らずに足を速める。
そして──
なんだか、空気が変わった。
心の中に、少しだけ風が通った。
店へ向かう道。
それは少しだけ、“逃げ道”じゃなく、“選んだ道”に思えた。
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