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第二章:井戸の水、変えてみせます

これはAIが書いたものです

翌朝。まだ日も登りきらぬうちから、俺は井戸の前に立っていた。


ゴボゴボ……と、木のバケツが水をすくい上げる音が響く。

ミーナが手桶に水を入れて差し出してくれた。


「これが……井戸の水です」


俺は恐る恐る匂いを嗅いだ。


「うっ……なんか、土臭い。いや、腐葉土みたいな匂いだな」


「そうじゃろう? なんか最近、臭くなってきての。飲んだら腹くだす者もいて……」


「原因はたぶん、浸水とかゴミの混入ですね。ちゃんと掃除しました?」


「井戸って掃除するもんなのか?」


「……よし。まずはそこからだな」


井戸の中を覗き込むと、内壁に藻がびっしり。

底に沈んだ葉っぱや泥が、水を濁らせていた。


(これは……日本のネット掲示板で見た“古井戸掃除チャレンジ”と似てる)


「バケツと縄、それと長い棒と……おお、あったあった」


道具をかき集め、ミーナと二人で井戸の中の泥をバケツですくい出す。

底が見えるまで繰り返し、最後は竹の棒で内壁をこすって藻を落とした。


「ふう……これで、だいぶマシになった」


「すごいのう。水が、透明に見える……」


「でもこれだけじゃ、またすぐ汚れます。炭、ありますか? 木炭」


「囲炉裏の横に山ほどあるぞい」


「それ、水に入れましょう」


木炭は水の不純物を吸着してくれる。竹炭ならもっといいが、贅沢は言えない。

大きめの袋に炭を詰め、井戸の底に沈める。さらに、井戸の縁に木のフタをかけてゴミが入らないようにした。


「これで完成です。明日になれば、臭いもかなり取れてるはずです」


「こんなもんで……ほんとに良くなるのか?」


不安そうな顔をしたのは、近所の若い農夫。

だがその目には、わずかな期待も宿っていた。


「じゃあ一日待ちましょう。あ、腹くだした人には、このお粥食べさせておいてください。塩と、炭の粉を少し混ぜてます」


「炭……を、食うのか?」


「意外と効くんですよ」


**


そして翌日。


「うおっ! 水が……水が甘いぞこれ!」


「まるで山の湧き水みてえだ!」


井戸の前には人だかりができていた。

誰もが驚きと感動の声をあげて、水を手ですくい、笑顔を浮かべていた。


ミーナは口を押さえ、涙ぐんでいた。


「お主……なんてありがたい男じゃ……!」


「い、いや、そんな大袈裟な」


「この村が助かる。ほんとうに助かる……」


俺は言葉に詰まった。

自分のしていることが、誰かの生活を変えている――そんな実感を、初めて肌で感じたからだ。


そしてその夜。村の中央で、ささやかな焚き火が焚かれた。

焼いた芋がふるまわれ、子どもたちは歌いながら踊っていた。

俺のとなりで、ミーナがぽつりと言った。


「暮らしって、すごいんじゃなあ……」


うん、と俺は頷いた。


「“丁寧な暮らし”が、ちゃんと人を救うんですよ」


異世界の空は、今日も不思議なくらい広かった。

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