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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

精神操作は止めておけ

作者: 孤独

「アシズム、…………あの件についてなんだがな。少し、その………」


藤砂空。メンバーの中では独特のテンポと話す男だ。戦士という強さに関しては、メンバーの中心人物であるアシズムも信頼している1人。絶対の強さにおいては、藤砂に勝てる奴はいないと信頼している。


「?なにかあったのかい?」

「灯を同行させたまでは良かったが、……やはりだ。……洗脳などという能力に、女を連れていくのは良くなかったぞ」

「灯ちゃん、NTRでもされたの?」

「バカを言うな、……言いたいことは派遣させてから敵の能力の詳細を教えるな、……向かうなら俺と広嶋で戦うに決まってるだろ。そーいうことをだな……」


山本灯。

藤砂空の彼女であり、幼馴染にして、”拳女王”の異名を持ち、メンバー随一の戦闘狂。暴れやすいが他の仲間達と比べると世界的な危険度はかなり少ない。藤砂も広嶋もそっち側で


「ミムラちゃん行かせたら、敵側が可哀想でしょ?裏切ちゃんなんて派遣したら、もっと悲惨だろうからね。彼女は自分の能力的に、君以上にカモるからさ」

「灯に行かせたのも、……敵側が可哀想だったんだが?」



戦闘においては、相手を操れば、そこで勝ってしまうと言える洗脳能力。そして、戦闘という1対1よりも組織同士の戦略において、相手を洗脳できる能力は盤面を容易くひっくり返せる事もある。


「最大の敵は無能な味方というからね。誰しも対策すること」


敵側からすれば、それだけでありがたいものだ。それは圧倒的な強者でも、条件が揃えば無能な味方と言える。

そーいうことを踏まえて、ある一定以上の強さを持った連中は、自分を洗脳・操作する敵と対峙した際。その対抗策を講じることが多い。藤砂がそのような敵に対して派遣されたのも、彼の能力が明らかにメタっていると言えるからだ。彼も例外ではなく。山本灯もそうだった。

だが、それを目にした藤砂からすると


「俺に精神的なダメージ、……喰らったんだが?……分かっていたけれどな」



◇         ◇


”信仰”と”魅力”

強力な洗脳能力はたった一人で行うには難しいが、信者達を集い、トップに立つカリスマを持つ者と、それを支える頭脳、実行できる手足。揃えば、吸収されるということだ。


「最低6名いて、……魔力確保のために100名といったところだ」

「か~、宗教で幸せを謡うのもいいけど、金がいるわよね~。世知辛いはね」

「1つの街を豊かにするのに、……4つの街が不憫になるのは、利に適っているが。相応の代償はある」


宗教団体と名乗る組織の壊滅が、藤砂と灯に依頼されたものだ。このまま大きくなるにしても、不幸になるべき人数にも限りがあり、幸せになれる人数にも限りがあるというものだ。ここいらで退場してくれって事だ。


「気をつけろ、……小さい力と偽りの結束でも、束ねられた結束に過ぎない。……偽りでもお前を縛れる」

「構わないってなんでもさ」


山本灯は狐のような顔をした金髪のショートヘアな女性。”拳女王”と異名を持つが、ボディビルダーみたいな筋肉マッチョではないが……そこは女性らしい体付きに見せているだけで、……とんでもねぇゴリラ女。拳1つでなんでもやってのける。かといって、洗脳能力を相手に拳でどーのこーのはできないだろう。

軽いノリで暴れてしまう性格であるため、うっかり敵の能力に触れてしまいかねない。自己分析のみならず、相手の分析も怠るなって言いたいくらいだ。


「「信仰の素晴らしさを知るのだ!!」」


洗脳能力を持つ場合。その条件を満たすのが容易ではない。だからこそ、洗脳してきた協力者達を利用する。弱い奴を束ねて、さらに強い奴を得る。


「ぎゃーーーー!!」

「灯!!、……お前ならあれくらい、避けただろうが……」


洗脳能力を浴びてしまった灯。それに嫌な予感がしている藤砂。そして、何も知らない敵側。


「くくく、お前は自分の女の相方と戦えるかな?」

「私達の能力は、愛・友情・価値の対象を入れ替える」


友達と思っていた人を別の誰かにすると言った能力だ。これが強化に強化され、今では愛や金といったモノよりも先に、信仰を大事にしてしまう。シンプルだが厄介な洗脳。この洗脳の素晴らしいところは、大事に思っているほどより強く洗脳されてしまうことだ。


「灯!!、……しっかりしろ!!!」


藤砂は呼びかけるのだが、敵側が確認をとる。


「そこの男!!なんで女から距離をとる!!そこは近づいて心配するもんだろ!!」

「お前達こそ、……すぐに逃げろ!!ロクでもないぞ!!俺の灯は、……危険だぞ!」

「敵であるお前がなんで俺達の心配を!?」


藤砂の警告通り、灯は洗脳から意識を取り戻すと。


「ふ・じ・さ~~~…………」


その言い方に愉しみを感じ取っている。信仰に心を奪われており、彼女の意識は敵側の台詞で分かる。


「今の彼女は自分の愛情・友情の全てを、我々の信仰に捧げる事になるのだ!!」

「これで彼女も我々の思うがまま!!」


完全に操作できたと確信するが


「それが危険なんだ、……山本灯という女は」


灯の頭の中で信仰が大事としている中。彼女の求めている愛を知っている、藤砂にとっては暴力が占めている事を知っているからだ。


「好きなモノほど拳で壊したい、……良い女だぞ」


山本灯は不気味に笑い、今は敵と狙うべき藤砂ではなく、信仰者達へと襲い掛かった。


バギイイイィィィッ


「信仰って素晴らしい!!こんなに沢山のサンドバックを用意してくれる!!」


ドガアアァァッッ


「私はこの教えのために壊してあげるわーーーー!!!」

「ぎゃああああああ」


頭の中では信仰の教えが全てと分かっていても、愛情表現が拳でしか語れない。そして、その拳は人体なんか軽く壊れる破壊力。敵をして


「お前!こんな彼女に愛されてるとか可哀想だな!!」

「この暴力女に、どんな魅力あるんだよ!!」


操られている灯にではなく、藤砂への恋愛的な価値観について責められる。洗脳したと思った存在に、抵抗されるはお約束としてもだ。

逆にどうして、


「俺の好みに口出しするな、……それなりに相思相愛……」


ドカーーーーーンッ


「藤砂ーーー!!」


灯はついに藤砂に飛び掛かる。それに対して、藤砂は。彼として手加減することなく、彼女の首元に蹴りを見舞った。


「俺と戦いたいから、……敵に洗脳されたな?……というか、もう解けただろ」

「バレちゃった?ま、価値に関係なく。いつかは本気のあんたと戦いたいからね。まだまだ強くなってあげるし、強くなってくんなきゃ困るわよ。あたしの中じゃ、あんたは誰よりもなんだから」


彼と彼女なら、グータッチで仲直り。



◇         ◇


「だからな、……普通は灯が精神的なダメージを受けるべきなのにな」


藤砂としたら敵の影響で、仲間である灯と戦わされた事よりも


「洗脳なんかする奴に、……愛だの恋だの、そーいうところを指摘されるのは違うと思うんだがな」


山本灯を彼女にする藤砂の考えがおかしいという指摘に、ちょっと凹んでいる。


「そこはほら、……」


アシズムも藤砂の口調を真似してて


「俺の彼女を馬鹿にするんじゃねぇって、……一緒に暴れたら良かったんじゃなかった?」

「だがしかし、……灯が楽しそうに敵組織を葬るから。手出しするのは、……あとで怒られるか、拗ねて面倒になる」


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