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お給金

夜になり、ハナスの部屋には、農園の民たちが集まっていた。昼間の賑わいとは少し違う、真剣な眼差しがハナスに向けられている。


「それで、俺たち、何をすればいいんだ?坊ちゃん」


ドワーフの叔父様風の男性が、重厚な声で尋ねた。


ハナスは、皆の視線を真っ直ぐに受け止め、話し始めた。「実は、通貨発行所と、魔族の人たちが自宅まで荷物を運んでくれる宅配事業をやろうと思っているんだ。だから魔族の背中に乗っていって計算や帳簿を付けてもらう人が必要なんだ。もし、その事業を手伝ってくれるって人がいたら、協力してほしいんだけど」


ハナスの言葉に、民たちはざわめき始めた。通貨発行所、そして宅配事業という、聞いたことのない言葉に、興味津々ではあるけれど戸惑っているようすだ。


「坊ちゃん、お給金のことをまず言わないと」


横から、リベットがハナスに耳打ちした。ハナスは「ああ、忘れていた」と軽く頭を叩き、改めて皆に向き直った。


「みんな、手伝ってくれたら、一日あたり金貨一枚のお給金が出るが、どうですか?」


ハナスの言葉に、先程までのざわめきが嘘のように、ピタリと止まった。静寂が部屋を包む中、人族の農夫が恐る恐る尋ねた。


「金貨一枚…ですか?」


その声には、信じられないという感情と、少しの不安が混じっていた。少ないだろうか?と、ハナスは内心不安になった。


「あの、一年分でもなく、一日に金貨一枚ですか?」


今度は、獣族の若い青年が、震える声でハナスに問いかけた。


「そうです。一日分の給金が金貨一枚になります。これは、貴族の若者が給金としてもらえる……」


ハナスが言い終わるよりも早く、皆が我先にと立ち上がり、手を上げ始めた。


「坊ちゃん!俺はやるぜ!その仕事、引き受けた!」


「私もやるわ!」


「私が先よ!」


部屋は、たちまち興奮と熱気に包まれた。ハナスの声は、彼らの勢いに掻き消され、届かない。


「ちょっと待って、慌てなくても大丈夫ですよ」


ハナスは、困ったように笑いながら言った。


「にゃーーーーーーーーーーーおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


その時、リベットが、まるで雷鳴のような、凄まじい唸り声をあげた。その声に、民たちは一斉に静まり返った。リベットの威圧感に、誰もが息を呑んだ。


ハナスの新しい事業計画は、思いがけない熱狂をもって受け入れられた。金貨一枚という破格の給金は、農園の民たちの心を掴み、彼らに新たな希望と活力を与えたようだ。リベットの咆哮は、興奮冷めやらぬ彼らを静め、新たな物語の幕開けを告げる、力強い合図となった。





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オレンジ

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