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目を覚ました猫族の娘

 教会の2階にある修道者用のベッドの上で「うーん」と気持ちよく伸びをする姿があった。

 ハナフィサの腕に抱かれながら、ハナスはそんなリベットの様子を見て「うぅぅー」と言った。

「起きたわね」

 ハナフィサはハナスに微笑むと、リベットに視線を戻した。

「どう、体の状態は?」

 そして、訊いた。

 大口をあけて、伸びとあくびをしていたリベットは、驚いた様子で、ベットの上で畏まった。

「あっ、はい、ありがとうございます。もう何ともないです」

 そして、恐る恐るハナフィサをみる。

「というか、すごく調子が良くなりました」

 何故かリベットは頬を赤らめている。

「調子が良くなったの?」

「ええ、そりゃあもう、以前よりもなんか力がみなぎるというか、体が軽いというか、生まれ変わったみたいな」

 リベットが身振り手振りを付け加えながら言うと、ハナフィサは首を傾げた。

「おかしいわねえ、私の魔力はそこまで高くないはずなのだけれど、あの時、私にもはっきりと力が増した感じがしたのよね」

 すると、リベットがハナスを見た。

「それはその、確実に奥様が抱かれているその坊ちゃまのせいかと」

 リベットが言うと、ハナフィサが驚いて、ハナスを見た。

「この子の力?」

「ええ、私たち猫族は魔力を敏感に感じ取れるんです。あの時、奥様が治癒の手を私に翳してくれた時、坊ちゃまの中から出てきた魔力によって、奥様の力が何倍にもなるのを感じました。」

 リベットは目をキラキラさせて、ハナスを見ていた。

 ハナスは右手をリベットへ伸ばして、あぅぅーといった。おう、おまえ分かるのかといった具合だ。

「ハナシウス、あなたの力だったのね、ほんとにすごい子ね」

 そう言って、ハナフィサはまたハナスを猫かわいがりした。


 そのあと、ハナフィサはだんだんとハナスと意思表示が分かるようになってきた。

 これは嫌だということに関してハナスは身体をグラグラさせていやいやの意思表示をするし、それはOK、合格、歓迎するといった事柄に対しても明らかに嬉しい、喜んでいる仕草をするのだ。

 そんなこんなで、リベットはハナスの意思表示の結果、ルシウス夫妻の住む、ミストヴェールにあるお屋敷の一角の、使われていない小さな小屋に部屋を与えられた。ルシウス夫妻の家は、アズラの丘にも小ぢんまりしたものが一軒ある。このお屋敷は領主の命令で夫妻に与えられたものだ。

 お屋敷の小さな小屋と言っても、庶民の住む家よりも幾分か大きかった。

「ええ、こんなところに住まわせていただいてよろしいのですか!」

 リベットは大げさに驚いていたが、ハナスがそうしろっていうのよとハナフィサが話すと、よだれを垂らしながら、坊ちゃんの面倒はあたしにお任せくださいなどと言っていた。


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