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グリフォンへの貢ぎ物?

「暇つぶしにもなりゃあしねえが、カエルのガキでもやっちまうか」って軽い気持ちでいたら。


奴ら、仲間全員で何かを俺の顔に吹きかけてきやがったのだ。


全身が痺れ、まるで鉛を流し込まれたように重くなった。体が、動かない。俺の毒耐性はどうなってる!誇っていたはずの勇者の解毒スキルはどこへ行った?


朦朧とする意識の中、カエルどもが俺をどこかに運んでいくのを感じた。頭に何かが被せられ、視界は完全に遮断された。何も見えない。真っ暗闇だ。


くそっ、この屈辱。この煮えくり返るような怒り。覚えてろ、カエルの分際で俺をこんな目に遭わせやがって。動けるようになったら、皆殺しだ。一匹残らず血祭りに上げてくれる。





湿地帯の悪臭と腐葉土の匂いが鼻をつく中、ブクブクと泡をふきながら倒れている巨躯を、カラフルな肌のカエルたちが囲んでいた。人間にしてみれば異様な光景だろう。体長は人間の子供ほどもあるヒキガエル族の子供たちが、皆で力を合わせ、仮死状態にある大男を運んでいるのだ。


大男の肌は青白く、握りしめた巨大な黒剣は、まるで死神の鎌のようだった。少し前まで、この剣はヒキガエル族の子供たちを恐怖に陥れ、絶滅の淵へと追いやろうとしていた。彼らは抵抗むなしく筋弛緩毒を吐きかけ、辛くも難を逃れたのだ。


カエルたちに人間を食べる習慣はない。だが、この男をこのまま放置すれば、目覚めた時の報復は避けられない。仲間の年長者は苦渋の決断を下した。「グランドグリフォンの生贄に捧げるしかない…」


グランドグリフォンの縄張りは、彼らの湿地帯から遥か彼方の、切り立った岩山にあった。巨岩が空に突き刺さるように聳え立つその場所は、まさに魔物の巣窟だった。


数時間かけて、カエルたちは男を運び続けた。もちろん、定期的に男の顔に毒を吐き続けた。疲労困憊の彼らがようやく岩山の頂上に辿り着くと、そこには想像を絶する光景が広がっていた。


巨大な鳥の巣。だが、それは鳥の巣と呼ぶにはあまりに巨大で、まるで要塞のようだった。巣の奥から、燃えるようなルビーレッドの二つの光が、彼らを射抜くように見つめていた。


グランドグリフォン。頭部は鷲の如く鋭く、鉤型のくちばしは黒曜石の輝きを放ち、鋼鉄以上の硬度を誇る。その巨体は鷲と獅子の特徴を併せ持ち、翼を広げれば太陽を覆い隠すほどだった。


カエルたちは震える足で、男を生贄の場所に横たえた。グランドグリフォンは鋭い鳴き声を上げ、空気を切り裂くように巣から飛び立った。ルビーの瞳が、獲物である男をロックオンする。


次の瞬間、グランドグリフォンの巨体が急降下し、黒曜石のくちばしが男の胸に深々と突き刺さった。骨が砕ける鈍い音が、岩山に響き渡った。ヒキガエル族の子供たちは、恐怖と安堵が入り混じった複雑な感情を抱きながら、静かに湿地帯へと帰っていった。彼らの故郷は、今日も静かで、そして少しだけ安全になったのだ。


サイノッテ王国のユリ王女様はとてもやさしい方で、いつも定期的にこの村に訪れては、食べ物を分けてくれる。

あのへんな男が王城へ行くことが無くなっただけでも良かった、そう思ってカエルの子供たちは大喜びで、帰っていった。

ユリ王女様が持ってきてくれた、オレジの精油でヒキガエル族は最近すこぶる調子が良い。気のせいかカラフルな体がオーロラ色に光っているようにみえた。


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