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未来への野望

リュカン王の視線は、薄暗い書斎の奥に佇む執事アルネルトに注がれていた。陰影が揺れる燭台の光が、緊張感に満ちた空気を切り裂くように揺らめいていた。


「どうであった?」


リュカン王が尋ねると、アルネルトは懐から文を取り出した。


「ヴェルディア王、ユリ王女共通の文が届きました。」


「読んでみろ!」


ヴェルディア王は待ちきれない様子で言った。


「では」と言ってアルネルトは一つ咳払いをした。


「貴国が勇者を我々二国の協力のもと討伐したいという意思は心得た。ならばそれに当たって条件がある。これから先、我々三国の貨幣をヴェルディア通貨に統一し、我々二国との交易はすべてヴェルディア通貨で行いたい。その旨了承であれば、貴国の策略に手を貸そう。」


一瞬沈黙が流れるー。


「それだけか?」


「それだけです」


「それだけなのか?」


「それだけなのです!」


アルネルトの声は、絹のように滑らかでありながら、鋼のような確かさを秘めていた。王の心臓は、届いた書簡の重みを感じるかのように、不規則に鼓動していた。


ヴェルディア通貨での交易.......。???


言葉は部屋に漂い、王の思考を掻き乱す。ヴェルディア通貨での交易という条件は、まるで霧の中から現れた謎のように、リュカン王の周囲に漂っていた。


「ヴェルディア通貨での交易とはどういう意味だ?」


「分かりません」


「分からんか?ワシもわからぬな」


リュカン王は腕組みする。


「何か、我が国の損になるか?」


「いえ、通貨を統一して交易したほうが分かりやすいということではないでしょうか?」


アルネルトの言葉にリュカン王は頷いた。


王の瞳は遠くを映し、野心の炎が静かに燃え盛る。聖なる鍵——それは王の最終的な目標になっていた。些細な通貨の条件など、もはや取るに足らぬものに思えた。


「承諾の文を出せ!」


王の声は冷徹で、未来への渇望に満ちていた。世界の王となる夢が、その瞳の奥で静かに、しかし確実に輝いていた。


ワハハハハ、勇者よ待っていろ!目にもの見せてくれるわ!


最早、リュカン王が敵視する相手が誰なのか分からなくなっていた。

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