出会い
森の静寂を破るように、ラウラの視線が怪我をしている少女へと向けられた。シルバーウッド村から少し離れた森の中で、偶然出会った少女は泥にまみれ、力なく地面に倒れていた。ラウラはその子の顔に微かな光を見て、何かが違うと感じた。
「大丈夫?」ラウラは優しく声をかけた。
少女はか細い声で「…誰?」と呟き、瞳をうっすら開ける。そこに映るのは、真紅のマントを纏い、銀髪を風に揺らす美しい女性、ラウラだった。
「私はラウラ。魔法使いよ。こんなところで倒れていたら、危ないわ。家まで連れて行ってあげる。」ラウラは優しく微笑み、少女の体を支えながら立ち上がった。
少女は震える声で「…ありがとう。でも、私はここにいてはいけない…狙われているの。」と告げる。
ラウラはふと眉をひそめた。「狙われている?…」
少女は驚きと恐怖が入り混じった表情を浮かべたが、ラウラは静かに頭を振った。「大丈夫。私が守ってあげるわ。」
その後、ラウラは少女をドランデル村へ連れて帰り、自らの家で匿うことに決めた。彼女の家は小さな薬草園に囲まれ、外からの視線を遮るように深い森に隠されていた。
「ここなら安全よ。誰もあなたを見つけられないわ。」ラウラは、少女に薬草の香りが漂う小さな部屋を見せながらそう言った。
「でも…私、あなたに迷惑をかけたくない…」少女は申し訳なさそうに呟く。
ラウラは微笑みながら首を振った。「迷惑だなんて思わないわ。むしろ、あなたに興味があるの。あなたの力を感じたから。」
「力…?」
「ええ。あなたには、ただの人間ではない特別な力がある。私は魔法使いだから、その力に少し触れることができたのよ。」
少女は困惑した表情を浮かべたが、ラウラは穏やかに続けた。「私の弟子としてここに住んで、力を隠しながら生活しましょう。そうすれば誰もあなたを見つけられないわ。」
「弟子…?」少女は目を丸くした。
「ええ、ポーションづくりや魔法を教えてあげるわ。私の名はそこそこ広まっているから、弟子がいるのは不自然じゃない。それに、何かあれば私が守ってあげる。どう?」
少女はしばらく考え込んだが、やがて微かに微笑んで頷いた。「…ありがとう、ラウラさん。お世話になります。」
「その笑顔、素敵ね。これから一緒に頑張りましょう。」ラウラは少女の手を優しく握り締めた。
数日が経ち、少女はラウラの教えを受けながら、ドランデルで新しい生活を始めた。ポーション作りや薬草の知識を学び、時にはラウラの助手として村の人々の治療を手伝うこともあった。
「ラウラさん、これで合ってますか?」少女は慎重に作ったポーションをラウラに差し出す。
「うん、完璧よ!よくやったわ。」ラウラは優しく微笑み、少女の手元を見てうなずく。「あなた、本当にすごいわ。短い間でここまで上達するなんて、さすがね。」
少女は恥ずかしそうに笑い、「でも、全部ラウラさんのおかげです。あなたの教えがわかりやすいから…」と小声で答えた。
「ふふ、ありがとう。でも、それだけじゃないわ。あなた自身にも特別な才能があるのよ。それに、いつか自分の力を使いこなせるようになれば、世界をもっと自由に生きられるわ。」
その言葉に、少女は少し希望を感じた。ラウラの優しさと指導を通して、自分自身に秘められた力に少しずつ自信が芽生えていたのだ。
しかし、静かな日々の中でも、いつか訪れるかもしれない危険の影は、彼女の心の奥底に潜んでいた。
「いつか…あなたの力が、世界を変える時が来るかもしれない。」ラウラはそう呟き、少女に優しい眼差しを向けた。
少女はその言葉の意味を考えながら、心の中で小さな決意を固めた。「私は、この場所を守りたい。そしてラウラさんのように、強くなりたい。」




