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ハナスの研究室

 ハナスが扉を開くと、ナミダとロクスの目の前に広がったのは、まさかの森だった。


「うわっ!」ナミダは思わず後ずさった。「なんでこんなところに...」


「おい、どけよ。入り口塞いでんじゃねえよ」ハナスが二人を突き飛ばすようにして中に入った。


 研究室と呼ばれたその場所は、まるでジャングルのような空間だった。頭上では猿のような動物が木から木へと飛び移り、足元では謎の植物が蛇のようにうねっている。


ロクスは目を丸くして周りを見回した。「これが...研究室??」


「当たり前だろ、ボケ」ハナスは鼻で笑った。「お前らみてえな頭の悪そうなやつらには理解できねえだろうけどな」


ナミダは夢中で奇妙な花を観察していた。「わぁ...この花、なんだか人の顔に見えるわ」


「そりゃそうだ」ハナスが得意げに言った。「お前の脳みそを食う花だからな」


「えっ!?」ナミダは慌てて手を引っ込めた。


 ロクスは果実の生った木に目を向けた。「この実は...食べられる...のか?」


「食えるさ」ハナスはニヤリと笑った。「だが、食ったら三日三晩、便所から出られなくなるぞ」


 ロクスは青ざめた顔で果実から距離を置いた。


 中央には小さな池のようなものがあったが、よく見ると中で何かが泳いでいる。


「あれは...魚?」ナミダが尋ねた。


「違えよ、ド阿呆」ハナスは呆れたように言った。「あれは俺の脳みそだ。考えすぎて溶けちまってな」


「はぁ!?」ロクスは思わず声を上げた。


突然、池から何かが飛び出してきた。


「きゃあっ!」ナミダは悲鳴を上げて後ろに倒れこんだ。


ハナスは大笑いした。「おっと、ビビらせちまったな。心配すんな。ただの魔物だ」


「ただの魔物って...」ロクスは呆れ顔で溜息をついた。


「さーて」ハナスが急に真面目な顔になった。「お前ら、ここに何しに来やがった?早く用件を言えよ。俺は忙しいんだ」


 ナミダとロクスは顔を見合わせた。この型破りな子供に、果たして母のことを相談できるのだろうか。ナミダは深呼吸をして、震える声で話し始めた。



 「あ、あの...」ナミダは震える声で話し始めた。「実は、私の母が...」


「おい、早く言えよ」ハナスが舌打ちをした。「時間がもったいねえんだよ」


 ナミダは深呼吸をして、一気に話した。「母が盗賊に襲われて怪我を負ったの!怪我自体は治ったんだけど、全身の痛みが取れなくて...ハナスオイルで一時的には楽になるんだけど、根本的な解決にはなってなくて...」


「はぁ?」ハナスは鼻で笑った。「そんなの簡単だろ。任せとけ」


 ナミダとロクスは目を丸くした。


「ほんと?」ナミダが希望を込めて尋ねた。


「あたりめえだろ」ハナスは得意げに言った。「そういう時はよ、ベルガとラベダとローマンカモミーをミックスするんだ。よく見てろよ、バカども」


 ハナスは素早い動きで、ブドウオイルにベルガ、ラベダ、ローマンカモミーのエッセンシャルオイルを数滴垂らしていく。


「いいか、このオイルでマッサージするんだ」ハナスが説明した。「おい、お前」


 突然、ナミダを指差した。


「はい!」ナミダは驚いて後ずさった。


「そうだよ、お前だよ。ちょっと俺の腕をマッサージしてみろ」


「えぇ!?」


「文句言うな!さっさとやれ!」


 ナミダは恐る恐る、ハナスの腕にオイルを塗り、マッサージを始めた。


「そうじゃねえ!」ハナスが怒鳴った。「指の腹を使え!そう、そこだ!でも動きが早い!ゆっくり、もっとリズミカルに!」


「う、うん...」ナミダは必死に指示に従おうとした。


「違う違う!」ハナスは苛立たしげに言った。「血液の流れに沿って動かせ!ほら、こうだ!」


ハナスがナミダの手を取り、正しい動きを教えた。


「わ、分かったわ...」ナミダは真剣な表情で再び挑戦した。


「おっ、ちょっとはマシになったな」ハナスは少し満足げに言った。「でも、まだまだだ!」


ロクスは呆然と二人を見つめていた。「これが...マッサージ?」


「当たり前だろ!」ハナスが叫んだ。「テクニックが命なんだよ!」


「うぅ...」ナミダの額に汗が滲んだ。「こ、これで母を助けられるの?」


「そうだよ!」ハナスは満足げに笑った。「正しいテクニックで、使えばハナスミックスオイルは神のオイルとなる。さあ、もっと集中しろ!」


こうして、もう一人のハナスによる"究極のオイルマッサージ特訓"が始まった。ナミダは、この型破りな子供の厳しい指導に必死についていきながら、母を救う希望を胸に秘めていた。


はたして、このユニークなマッサージ法は本当に効果があるのか?それとも...。ナミダの苦難の日々は、まだ始まったばかりであった。 ジャジャーーン。


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