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任務

 ドランゴドルは新入りたちを前に、ゆっくりと口を開いた。その声は低く、しかし洞窟全体に響き渡るような力強さがあった。

「お前たちは、己の力を証明する機会を与えられる。明日の夜明けとともに、お前たちは二人一組になって任務に出る。その結果が、お前たちの価値を決める。」

ロクスは息を呑んだ。これは予想外の展開だった。二人一組での任務は、彼の潜入をより困難にする可能性があった。しかし、それは同時にドランゴドルの組織の内部をより深く知る機会でもあった。

 ドランゴドルは続けた。「お前たちの相棒は...」

 彼は一人一人の名前を呼び、組み合わせを告げた。ロクスは緊張しながら自分の名前が呼ばれるのを待った。

「...そして、ロクスとナミダ。」

 ロクスは隣を見た。そこには、青い髪の少女が立っていた。彼女の目は深い悲しみを湛えているようだった。ドランゴドルは能力者を集めているらしい。この子も何かしらの能力を持っているのだろうと推測した。

 ナミダは小さく頷いた。「よろしく...」

 その夜、ロクスは自分に割り当てられた狭い寝床で、明日の任務について思いを巡らせていた。彼は静かに立ち上がり隣で眠っているナミダをちらりと見た。どうやら深く寝入っているようだ。ロクスは洞窟の中を探索することにした。

 暗がりの中を進むと、ロクスは低い話し声を聞いた。慎重に近づくと、それはガルドとドランゴドルの声だった。

「...ミストベールの攻略は、あくまで表向きの目的だ。」ドランゴドルの声が聞こえた。「真の目的は、その混乱に乗じて『聖なる鍵』を使うことだ。」

「しかし、ドラン様。その『鍵』の正体も、場所もわかっていないのでは?」

「だから、やつらをあの村に行かせるのだ...」

 その時、ロクスの足元で小石が転がった。彼は急いで身を隠したが、会話は既に止まっていた。

「誰だ!」ガルドの声が響く。

 ロクスは素早く考えを巡らせた。このまま逃げれば、確実に怪しまれる。



 ロクスは急いで寝床へと駆け戻ると、隣で眠っているナミダを横目に自分の寝床へ潜り込んだ。しかし、ガルドの足音が近づいてくるのが聞こえた。ロクスの心臓が激しく鼓動する中、突然ナミダが動いた。


 彼女は素早くロクスに覆いかぶさり、腕で彼を抱きしめた。ロクスは驚きのあまり固まったが、ナミダは彼の耳元でささやいた。「シーッ。演技よ」


 その瞬間、ガルドが二人の寝床に近づいてきた。彼は疑わしげな目つきで周囲を見回している。


「おい、お前ら」ガルドが低い声で言った。「さっきここで何か音がしなかったか?」


 ナミダが眠そうな声を装って答えた。「えっ?音...?私たちはずっと寝てましたけど...」


 ロクスも演技に加わり、目をこすりながら起き上がった。「何かあったんですか?」


 ガルドは二人をじっと見つめた後、ため息をついた。「...いや、気のせいだったか。寝ろ」


 彼が立ち去るのを確認してから、ナミダはロクスから離れた。二人は安堵の息をついた。


「ありがとう」ロクスはささやいた。「なぜ助けてくれたんだ?」


 ナミダは微笑んだ。「私も同じ立場だから。」


 ロクスは驚きを隠せなかった。「君も...?」


 ナミダは頷いた。「でも、深くは知らないほうがいい、お互いの正体を守るためにも」


 ロクスは同意した。二人は短い言葉を交わしただけだった。


 翌朝、ロクスとナミダは任務の説明を受けた。それは近隣の村から食料を調達してくるという、一見単純な仕事だった。しかし、ロクスは感じていた。この任務には、きっと隠された何かがあるはずだと。


 二人が洞窟を出る時、ロクスは決意を固めていた。この任務を通じて、ドランゴドルの信頼を得ると同時に、彼らの真の目的に迫らなければならない。ロクスはヨルセフから持たされている通信用の魔石にそっとささやいた。


 

 ロクスとナミダは、朝もやの立ち込める山道を下り始めた。彼らの前には、予測不可能な危険と、謎に満ちた任務が待ち受けていた。


 二人は慎重に歩を進めながら、周囲の様子を窺っていた。ナミダが突然立ち止まり、ロクスの袖を引いた。


「ねえ、ロクス」彼女は小声で言った。「昨夜、あなたが聞いた会話...」


 教えなさいとナミダは言った。貸しがあるでしょ?と


 ロクスは一瞬躊躇したが、情報を共有する価値はあると判断した。


「ああ」彼は答えた。「ドランゴドルが『聖なる鍵』というものについて話していた。ミストベールに侵攻して、聖なる鍵を使うらしい」


 ナミダの目が大きく見開いた。「『聖なる鍵』...?それが何なのかは分かった?」


 ロクスは首を振った。「いや、正体も場所も不明だそうだ。だが、俺たちをこの村に送り込んだのには、それに関連した理由があるんじゃないかと思う」


 ナミダは考え込むように眉をひそめた。「そうね...単なる食料調達には思えないわ。シルバーウッド村で何か手がかりを見つけられるかもしれない」


 二人は互いに頷き合い、再び歩き始めた。山道を下りながら、彼らの頭の中では様々な可能性が巡っていた。この任務の真の目的は何なのか。『聖なる鍵』とは一体何を指しているのか。


 シルバーウッドへの道のりを歩く二人だったが、尾行がいる事にすでに気づいていた。


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