精油の大事業
リベットとハナスが精油を売り始めてから、噂はすぐに街中に広まった。特にそのリラックス効果と不思議な香りは貴族たちの間でも評判になり、さっそく注目を浴びることになった。
そんなある日、美しさで知られる貴族令嬢、アデレード・ヴィオレッタが、その精油を目にすることになる。彼女は美に関するビジネスを手広く取り仕切る大豪商であり、その美貌と同じくらい商才でも名を轟かせていた。
「…これは、いい香りね。」アデレードはメイドが買ってきた精油の瓶を手に取り、じっとそれを見つめた。彼女の鋭い目は、ただの精油ではないことをすぐに見抜いた。
「お嬢様、この精油、街で評判なんです。リラックス効果も抜群で、すぐに売り切れ続出とか…」メイドが興奮気味に説明すると、アデレードは微笑を浮かべながら、「そう…これは商売になるわね」と、小さくつぶやいた。
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数日後、リベットとハナスが露店で精油を売っていると、突然、大勢の従者を引き連れた美しい女性が現れた。
リベットはすぐにその女性に気づき、「え…あの人、すごく美人だね…誰ですか?」と小さな声でハナスに囁く。
ハナスはリベットの腕の中から顔を出し、「知らないれしゅ。でも、なんかすごそうな人れしゅね」とつぶやいた。
その女性、アデレード・ヴィオレッタがゆっくりと二人に歩み寄り、優雅に微笑みながら言った。「あなたたちが、あの噂の精油を作っている方かしら?」
リベットは慌てて「は、はい!そうですけど…ど、どうかされましたか?」と少し緊張した様子で答えた。
アデレードは美しい顔に自信満々の笑みを浮かべ、「私はアデレード・ヴィオレッタ。美に関する商売をしているわ。この精油…とても面白い商品ね。貴族の間でも話題になっているのよ」
「へえ!そんなに評判になってるんだ!」とリベットは驚きつつも、どこか誇らしげ。
ハナスもニヤリと笑い、「僕たちの精油は特別れしゅから!効果は保証済みれしゅ!」と自信たっぷりに胸を張った。
すると、アデレードはさらに一歩前に出て、「その精油、私の商売に使わせていただけないかしら。もっと多くの貴族や王族に届けたいの。それに、この精油に必要な原材料も、しっかりと育てないとね…」と、計画を練るかのように言った。
リベットは少し驚き、「え、つまり…私たちの精油を商売にするってことですか?」と戸惑いながら聞き返す。
アデレードはにっこりと微笑んで、「ええ、そういうことよ。あなたたち、なかなかいい仕事をしているわ。そこで提案なんだけど、この精油の原材料となる植物や果物、私の広大な農園で育ててはいかがかしら。そしてその管理を、あなたに任せるし、必要なものはすべてこちらで用意させていただくわ…つまりあなた方への投資ですわ」彼女は優雅にハナスに向けて手を差し出した。
ハナスは突然の話に目をぱちくりさせ、「えっ、僕に?」と驚きの声を上げる。
リベットも目を丸くして、「坊ちゃんが…農園の管理?」と驚きを隠せない。
アデレードは微笑みながら、「ええ、あなたは先見の明があるのでしょう?そしてそれは特別な才能。それなら、きっと最高の植物を育てることができるはず。あなたが育てた植物で作った精油なら、もっと素晴らしい商品になるわ」と、期待を込めた視線をハナスに送った。
最近は精油の売れ行きも良く、自分たちだけの作り方ではすぐに売り切れになる。正直限界を感じていた。商売を広げたくても、父さんも母さんも商売人ではない、元冒険者だ。商売のノウハウは知らない。これは願ってもないチャンスかもしれないな。そうハナスは考えた。
ハナスは少し考え込んだあと、急に自信を取り戻してにっこり笑い、「うん!僕、やってみるれしゅ!精油に必要な植物や果物、全部元気に育てるれしゅよ!」と元気よく答えた。
リベットは少し不安げに、「でも、坊ちゃん…大丈夫ですか?農園を管理するなんて、大変だと思うんですけど…」と心配そうに聞いたが、ハナスはにっこり笑って「大丈夫れしゅ!リベットがいれば、僕は何でもできるれしゅ!」と胸を張った。
アデレードも満足げに頷き、「よろしい。それなら、契約が成立ね。これでこの精油、もっと大きな市場に出せるわ。お互いに利益を得られるでしょう」と優雅に微笑んだ。




