出店
商業ギルドに向かう途中、リベットがハナスに尋ねた。「坊ちゃん、本当にこの精油、売れるんですかね?」
ハナスはニヤリと笑いながら、「売れるさ!だって、あんなにいい匂いだよ?僕たちの街にはまだアロマ効果で使う人はいないけど、逆にそれがチャンスなんだよ!」
「でも、坊ちゃん…」リベットは不安そうに、「アロマって何なんですか?街の人たち、精油をどう使うのか分からないかも…私もあんまり分かっていないし......。」
「そこなんだよ!」ハナスは胸を張って答えた。「この匂いでリラックスしたり、気分が良くなったりするんだ!だから例えば、香水も作れるし、貴族のパーティーや、雑貨屋さんの香りのアクセントとか、宿屋のカウンター近くで香りを出しても、あの宿は良い香りがするって、リピーター率も増えるかもしれない。みんなにそれを広めれば、絶対に人気が出るよ!」
リベットの頭の中は???になった、「じゃあ、まずはギルドで露店の許可を取らないとですね」と言い、二人は商業ギルドに到着。
二人はギルドのカウンターに立つ、ハナスはリベットに抱かれている。やや年配の厳しそうな白髪のおばあさん係員が二人を見て、ぶっきらぼうに言った。「おい、何の用だ?」
ハナスは自信満々で、「露店のちょかをもらいにちたんでしゅ!」と答えた。(リベット以外にはハナスはまだ言葉が拙い)リベットは横でコソコソと「坊ちゃん、堂々としてるけど、ちゃんと話通じますかね…?」と心配そうに囁く。
係員は眉をひそめ、「露店?何を売るつもりだ?」と尋ねる。
「こえれす!」とハナスは小さな瓶を取り出し、自慢げに精油を差し出した。「僕たちがちゅくった、オレジのちぇいゆです!すごくいいかおいで、リラックゆ効果もあいます!」
係員は瓶を手に取り、一瞬怪訝そうな顔をしたが、匂いを嗅いだ瞬間、彼女の表情が一変。「おお…これは…いい匂いだな。こんな香りは初めてだ!」と驚きの声を上げた。
リベットはその様子を見て、ほっとしたように微笑み、「やっぱり坊ちゃんの言う通りでしたね!」と小声でハナスにささやく。
「じゃあ、許可ちょを…」とハナスが言いかけた瞬間、係員は急に真剣な顔になり、「ただし、これが売れるかどうかは分からん。お前たちに商才があるかどうかだ」と一言。
ハナスは動じず、「大丈夫れしゅ!僕たちがちゅくったこのちぇいゆ、街中に広めましゅ!」と自信たっぷりに言い放つ。
こうして二人は、ついに露店の許可を手に入れ、いよいよ街の一角で精油を売り出す準備に取り掛かったのだった。
リベットは、小さなハナスをしっかりと腕に抱えながら、露店の準備をしていた。
街中で注目を集めるのも難しそうだと感じたリベットは、ハナスを見下ろして「大丈夫ですか?」と声をかける。だが、ハナスは全く動じず、「大丈夫です!僕たちの精油は絶対に売れるれます!」といつもの自信たっぷりな笑顔を見せる。
しかし、露店を開いてから1時間が経っても、通り過ぎる人々は彼らに気づく気配すらない。リベットは、何か心に引っかかるものを感じながら「坊ちゃん、ちょっと厳しいかもしれないですね…」と少し不安げに呟いた。
ハナスは頬を膨らませて「うーん、なんか足りないんだよね…」と頭を傾げる。リベットが黙ってみていると、しばらく考え込んでいたハナスの目が突然キラリと光った。彼は勢いよくリベットの腕の中で身を乗り出し、「リベット!」と大きな声で叫んだ。
リベットは驚いて、「どうしたの、坊ちゃん?」と優しく問いかける。
ハナスは真剣な顔でリベットを見上げ、「リベット、ちょっと協力してほしいんだ」と言う。
「協力?何をするんですか?」と首をかしげるリベット。
ハナスはリベットの目を見つめ、決意したように頷くと、そっと手のひらを精油の瓶にかざした。「見てて。ちょっと力を込めてみるから」と小さな声で言うと、ハナスは目を閉じて集中し始めた。
リベットは不思議そうにその様子を見守っていた。
ハナスの小さな手が瓶の上に浮かんでいる。しばらくして、精油がほんの一瞬、オーロラ色に輝いたかと思うと、すぐに元の色に戻った。
リベットは???になりながら、「今の…何だったんですか?」と目を見開いた。
ハナスはニコッと笑い、「ふふ、成功だよ。リベット、ちょっとこれ、嗅いでみて」と言って精油の瓶を差し出した。
リベットは困惑しながらも、瓶の香りを嗅いでみる。瓶を鼻に近づけ、そっと香りを吸い込んだ瞬間、リベットの目がトロンとした。「これ…なんだかすごくいい気持ち…」と、まるでお酒に酔ったようにうつろな目でハナスを見つめた。
ハナスは嬉しそうに、「やった、成功だ!僕の力が精油にちゃんと効いてるんだ!」とぴょんぴょん飛び跳ねる。
リベットはふらふらとしながら、「ちょっと…これ、強くないですかぁ?すごくリラックスしすぎちゃうよぉ…」と、壁に手をついて体を支えた。
ハナスは自信たっぷりに、「これで街の人たちも、みんなリラックスしてくれるよ!すごいでしょ、!」と誇らしげに言った。
「いや、すごいのはわかるけど…これ、効きすぎだよぉ、ですよぉ!」リベットは酔ったのかへらへらしている、ハナスは得意げに胸を張っていた。「リベットには特別に僕の力を強めてみただけだよ。お客さんにはもう少し優しくするから、大丈夫だって!」
リベットは少しほっとしながら、「ほんとに大丈夫かな…でも、これでお客さんもリラックスしてくれるなら、きっと売れますね!」と笑顔を浮かべた。
ハナスはさらに嬉しそうに、「そう!これで精油は飛ぶように売れるよ!リベットと一緒なら何でもできる!」とキラキラした目でリベットを見つめる。
「さすが、坊ちゃんですね。これで店も大成功間違いなしです!」リベットも笑顔でそう答えた。
「だけど、なんだか前世の麻薬みたいだなあ」と考えて、けど別に体に悪いものを売るわけではないんだ、依存症にならないように力を制御すれば大丈夫でしょ、とハナスは考えた。
その後、リベットはハナスを肩に乗せ、街中を歩き回り始めた。ハナスの手には、精油がたっぷり入った瓶が握られている。そして、ハナスはリベットに「ここで止まって」と指示を出し、彼は高い位置から精油の瓶をパカッと開けた。
突然、ハナスが大きく息を吸い込んでから、「精油の魔法、かけちゃいましゅ!」と可愛らしく叫びながら、その精油を軽く吹きかけた。精油の香りがふわりと周囲に広がると、不思議なことが起こり始めた。通りかかった人々が急に足を止め、驚いた表情で辺りを見回し始めたのだ。
「ん?なんかいい香りがする」「急に気持ちが軽くなった気がする!」という声があちこちから上がる。ハナスは次々と精油の香りを漂わせながら「これが僕たちの精油れしゅ!ストレスなんて、すぐに吹き飛ばしちゃうんれしゅよ!」と声を上げた。
リベットもすぐに気づいた。「坊ちゃん、これはすごいです」精油の魔法のような効果が人々を引き寄せ、次々と興味を持った人々が露店に集まり始めたのだ。
あるお客さんが「この香り、本当にすごい!なんでこんなにリラックスできるの?」と興味津々に尋ねると、ハナスはにっこり笑って答えた。「それは僕たちの特製精油れしゅ!うつ病を治す効果もああるれしゅよ」
精油はまたたくまに街中で話題となり、次々と売れていくことになったのだった。ハナスの思い付きが、精油商売を一気に成功へと導いた。




