アロマセラピーで人生を豊かに2
翌朝、ハナスはリベットに呼びかけた。まだ言葉は発せられなかったが、彼の瞳に何かを感じ取るリベット。
「坊ちゃん、今日は何かお考えですか?」リベットは微笑みながら尋ねた。
ハナスはリベットの目を見た。あぅう~
「えっ、オレジの実を絞る機械を作ってくれって?」
リベットの頭には?マークがいっぱいとんだ。
彼女は一瞬戸惑ったが、すぐにその意図を理解した。「坊ちゃん、そんな無茶な……でも、やってみます!」
そう言って、リベットは急いで材料を集め始めた。古びた木材を倉庫から取り出し、圧搾法に使える機械を自分の手で作り上げようとしていた。
「木材で…できる……か?」ハナスは心の中で思いながらも、期待と好奇心でいっぱいだった。前世で見た圧搾機の記憶を思い出しながら、ハナスはリベットに思いと力を送る。
リベットは大きな木片を一つずつ組み合わせて、手動で絞れるようなシンプルな構造を作っていった。リベットの体が淡いオーロラ色で包まれているように他からは見える。ハナスの増幅のアシストが効いているのだ。彼女の顔には少し汗が浮かび、真剣な表情で作業を進めている。
「坊ちゃん、もうすぐできそうです!ちょっと待っていてくださいね!」リベットが力強く宣言する。
ハナスは笑いながら、手を合わせて期待を込めた。「やっぱりリベットはすごいなぁ、こんな無理をお願いしてもやり遂げるなんて……」彼は微笑んでリベットを見守る。
しばらくして、木製の圧搾機が完成した。リベットは誇らしげに「できました!」と言いながら、オレジの実を一つ持ってきた。
「さあ、試してみましょうか?」
「いや、ちょっと待って」とハナスは慌ててリベットを制止した。
「ん?どうしました?」リベットが小首をかしげる。
「リベット、オレジの実ひとつだけじゃ、精油は足りないよ!」ハナスは笑いながら言った。「精油を作るにはもっとたくさんの皮が必要なんだ。それに、圧搾した後は不純物を荒い布や目の細かい布などでろ過しないと、綺麗な精油ができないんだよ。」
リベットは一瞬考え込み、ふっと明るい表情を浮かべた。「なるほど、それで坊ちゃんは、オレジの実をこんなにたくさん買ったわけですね!」と言って、近くに山積みされたオレジの袋を指差した。
「そうそう。でもさ、全部一度に圧搾するわけじゃないから、焦らなくて大丈夫だよ。」ハナスは穏やかに付け加えた。「とりあえず、オレジの皮をむいて、まずは皮だけ集めよう。果肉は後でジュースにでもしようか?」
「はぁーい!ジュース、いいですね!」リベットはニッコリと笑い、元気よく返事をすると、早速オレジの実を手に取り、手早く皮をむき始めた。
「ねえ、リベット。さっき思ったんだけど、君の手、めっちゃ早いね。」ハナスが感心して言った。「前に見たときもすごいと思ったけど、今日は特にキレがあるなぁ。」
「えへへ、まあ、坊ちゃんに褒められると頑張っちゃいます!」リベットは照れながら手を止めることなく、次々と皮をむいていく。気づけば、机の上にはすでに山のようなオレジの皮が積み重なっていた。
「これで十分かな?」リベットは自信たっぷりに言った。
「うん、いい感じだね!」ハナスは満足そうに頷く。「じゃあ、次は圧搾だね。」
リベットは木製の圧搾機に皮を慎重に詰め込み、レバーを力強く回し始めた。圧搾機がキィキィと音を立てながら回るたびに、オレジの皮から黄金色の油が少しずつ流れ出てくる。
「おお、出てきた出てきた!」ハナスは興奮気味に覗き込んだ。ハナスはオレジと圧搾機ににもアシストを加えている。「でも、これがまだ精油の第一段階だね。今度はこの油をろ過して、純度を高めなきゃ。」
リベットはふむふむと頷き、用意しておいた布を取り出した。「これでろ過すればいいんですよね?」
「そうそう。それで、不純物がしっかり取れるはず。」ハナスはリベットに説明しながら、さらに手助けした。「丁寧にゆっくりろ過して、最後に瓶に詰めよう。」
リベットは集中して布を使って油をろ過し、透明で澄んだオレンジ色の精油が静かに瓶に溜まっていく。彼女はやり終えた後、少し汗を拭いながら誇らしげに微笑んだ。
「できました!これで完璧ですね!」リベットは精油の瓶をハナスに手渡し、満足げな表情を浮かべた。
ハナスは瓶を光にかざして、輝くような色合いを眺めた。「ほんとに見事だよ、リベット!君のおかげで、こんなに綺麗な精油ができた!」
「いえいえ、坊ちゃんの手助けがあったからですよ!でも、これって、何に使うんですか?」リベットが興味津々に尋ねた。
「それはね……まあ、秘密にしておこうかな。」ハナスはニヤリと笑った。「でも、楽しみにしてて!君にもきっと喜んでもらえるはずだよ。」
リベットは不満そうな顔をしながらも、すぐににっこりと笑い返した。「楽しみにしてますよ、坊ちゃん!」
こうして、二人は無事にオレジの精油を完成させた。楽しいやり取りの中、助け合いながら、それぞれの役割をこなし、精油は瓶に収められていた。
ハナスとリベットが精油の出来栄えに感動していると、ハナフィサがやってきた。彼女はにっこり微笑みながら、二人の様子を見て言った。「ハナス、リベット、何をしているの?」
ハナスは振り返って、少し興奮気味に答えた。「母さん、見て!僕たち、オレジの実から精油を取ったんだ」と言えないので、リベットが代わりに言う。
「精油?それって何?」ハナフィサは興味津々の表情を浮かべながら、精油が入った小さな容器に目を向けた。
リベットが説明を加える。「坊ちゃんのアイデアで、オレジの実から香りのいい油を絞り取ったんです。これ、精油って言うんです!」
ハナフィサは容器を手に取って匂いを嗅いでみた。「まあ、いい匂い!こんな素敵な香りが出るなんて」
ハナスはにっこりと微笑み、少し誇らしげに「ね?すごいでしょ!リベットが頑張ってくれて、それでオレジの実を絞ったんだよ!」と自慢げに話した。
リベットも照れながら、「坊ちゃんが考えてくれたおかげで、私はただその通りに作っただけです」と控えめに答えた。
ハナフィサはその香りを何度も嗅ぎながら、しばらく考え込むように首をかしげた。「ねぇ、これ、瓶詰にして売ったらどうかしら?こんなにいい香りなら、絶対に売れるわよ!」
その言葉を聞いたハナスは目を輝かせ、「売る?本当に?」と興奮気味にいった。
ハナフィサは頷き、「そうよ。こんな素敵な香り、他の人にも届けられたらきっと喜ばれるわ。しかも、お金にもなるんじゃない?」と言いながら、さらにアイデアが膨らんでいく。
リベットはその話に少し驚きつつも、「たしかに、いいかもしれませんね……オレジの実もまだたくさんありますし、もう少し精油を作ることもできます」
「じゃあ、決まりだね!」ハナスはますます興奮しながら言った。「僕たちで精油を作って、それを瓶に詰めてみんなに売ろうよ!」
ハナフィサは笑いながら、「そうね、でもまずはしっかりとした容器を用意しないとね。それに、売るための場所や方法も考えなきゃいけないわ」と母らしい現実的なアドバイスを加えた。
「リベット、僕たちで一緒に準備しよう!」ハナスはリベットに向かって元気よく声をかける。
「はい、坊ちゃん。お手伝いします!」リベットもまた、笑顔で応じた。
こうして、ハナスとリベット、そしてハナフィサの三人は精油の製作を楽しみながら、新しいビジネスを始めることを決めた。楽しい会話が続き、ハナスの喜びで満ちた。
家族と何か一つの目的をもってやる。それがこんなに楽しいとは、ハナスにとっては初体験だった。
夜が訪れ、夕食の席でハナス、リベット、ハナフィサは今日の出来事を父であるルシウスに話そうとしていた。家族で一つの目標をもって何かを成し遂げる――それはハナスにとって初めての体験で、今日一日が驚きと楽しさで満ちていた。
「お父さん、聞いてよ!」ハナスは興奮気味だ、もちろんリベットが代弁する。ルシウスは彼の元気な様子を見て微笑み、興味を示す。「どうしたんだ?今日は何があったんだ、ハナス?」
「僕たち、オレジの実から精油を絞ったんだ!」ハナスは自慢げに精油が入った小さな瓶を差し出す。ルシウスは少し驚いた表情を浮かべながらその瓶を受け取り、ゆっくりと匂いを嗅いでみた。
「これは……いい香りだな!」ルシウスは本当に驚いた様子で瓶を見つめた。「どうやってこんなものを作ったんだ?」
ハナフィサが微笑みながら、「ハナスが精油を作りたいって言って、リベットがそのために圧搾機を作ったのよ。それで、このオレジの実からこんなに素敵な香りが出たの。」と説明した。
ルシウスはその話にさらに驚き、「お前たち、そんなことができるなんて本当にすごいな。」と言い、リベットに向かって感心したように頷いた。「リベットもよくやったな。」
リベットは少し照れくさそうに、「坊ちゃんが考えたことですから、私はお手伝いしただけです。でも、この精油が本当に良い香りで……嬉しいです。」と控えめに答えた。
「でもね、お父さん、お母さんが言ってたんだけど、これを瓶詰めにして売ったらどうかなって思って!」ハナスはキラキラした目でルシウスに提案した。「こんなにいい匂いだし、きっとみんなも喜ぶと思うんだ!」
ハナフィサも頷き、「私もそう思うわ。精油は人々にとって魅力的なものだし、市場ではあまり見かけないから、チャンスがあるんじゃないかしら?」と意見を述べた。
ルシウスは少し考え込んだ後、にっこりと微笑んで「実はな、俺には商業ギルドに知り合いがいる。もしこの精油を商品にしたいのなら、ギルドに頼んでみることもできるかもしれない。」と言った。
その言葉を聞いた瞬間、ハナスの目はさらに大きく開かれた。「本当に!?お父さん、ギルドに頼んでくれるの?」と、彼は嬉しそうに身を乗り出して尋ねた。
ルシウスは笑いながら「もちろんだよ、ハナス。お前が一生懸命やったことだ。それに、これだけ良い香りなら、きっと商品としても成功するだろう。ギルドの知り合いに連絡を取ってみよう。」と言ってくれた。
ハナスはその言葉に大喜びし、「やったー!」と声を上げた。リベットもその様子を見て微笑み、ハナフィサも満足そうにルシウスに微笑み返した。
「作ったものが、家族みんなの力で商品になるんだね……」ハナスは夢のような気持ちで呟いた。「一緒に何かを作って、それがみんなに広がっていくなんて……こんなに楽しいなんて思わなかった。」
「そうだな、家族で力を合わせるのは楽しいものだ。しかも、それが他の人たちにも喜ばれるなら、なおさらだ。」ルシウスがそう言いながら、ハナスの頭を優しくなでた。
「でも、これからはもっとたくさんの瓶を作らなきゃいけないわね。大変かもしれないけど、きっといい経験になるわ。」ハナフィサは楽しそうに笑いながら言った。
リベットも笑顔で「私もお手伝いします。坊ちゃんと一緒にもっと精油を絞りましょう!」と元気よく応じた。




