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娘と息子

「なんか騒がしいですね、お母様」と言いながら、バンパイア城の奥の部屋から玉座の間へとあくび交じりに歩いてきたのは、デフィータの娘だった。寝ぼけた顔でふらりと現れた彼女に、デフィータは目を細めて微笑む。「スワラか。驚かせたな」と優しく声をかけ、娘のぼんやりした表情を眺めた。


「ほんとほんと、うるさくて眠れないよ」と、今度はどこからともなく闇の中からもう一人の人影が現れる。デフィータの息子、イロイだ。彼は少し不機嫌そうな声で愚痴をこぼしながら、だるそうに肩をすくめた。


「イロイ兄さんは寝すぎよ」とスワラが兄をチラリと見て呆れたように言う。だがその直後、彼女の視線がふと止まり、驚いたように目を丸くした。玉座に座るデフィータの方をじっと見つめ、スワラは思わず声を上げた。「お母様? お母様の膝の上に座っているその女の子、誰ですの?」


玉座の間で静かに響いたその問いに、時間が一瞬だけ止まった。デフィータは膝の上の小さな少女を見下ろし、どこか意味深な笑みを浮かべていた。


「この子か? この子はな、特別な魔法を使う子じゃよ」とデフィータは言って、不気味な笑みを浮かべながらスワラを見た。その声にはどこか誇らしげな響きが混じっていて、玉座の間の薄暗い空気を一層重くした。


「特別な魔法? ふ~ん、まだまだ魔力は弱いのに?」スワラは首をかしげて不思議そうに呟き、デフィータの膝の上にちょこんと座らされている幼女に近づいた。目を細めてその子を観察するスワラの視線に、幼女は小さく身を縮める。どうやら怯えているらしい。彼女の小さな手がぎゅっと服の裾を握りしめ、肩がわずかに震えているのがスワラにも分かった。


「そんなに怖がらなくてもいいのに」とスワラは少し困ったように笑い、幼女に優しく声をかけたが、その瞳はどこか鋭く、デフィータの方へと再び向けられた。「お母様、この子をどこで見つけてきたんですか? 何か企んでるんでしょう?」


デフィータは娘の言葉に、ますます深まる笑みを隠そうともせず、玉座の肘掛けにゆったりと腕を預けた。「企むだなんて、失礼な娘じゃな。」



「お前たちが深く気持ちよ~く眠っている間に、来客があってのう。わしに宝石やら、人間やらをくれたんじゃ。この娘はほれ、外にある一番いい馬車に乗っておったわ。」


イロイは無表情で、しかし興味深そうに目を細めて尋ねた。

「来客ですか?」

その声は淡々としていたが、瞳の奥にはわずかな好奇心が光っていた。


一方、スワラは部屋の端っこに縛られて転がされている幾人かの人間を指さし、嬉しそうに声を弾ませた。

「じゃあ、そこの人間ちょっともらっていいの?」

彼女の目はきらきらと輝き、まるでおやつ見つけた子供のようだった。


デフィータはぶっきらぼうに肩をすくめ、答えた。

「好きにするがええ」

その言葉に、スワラはにっこりと笑い、早速人間たちの方へ歩み寄っていった。


イロイは再びデフィータに視線を向け、冷静に尋ねた。

「それで、その来客はどこに?」


デフィータはふっと笑い、その笑顔にはどこか楽しげな色が浮かんでいた。

「今、面白いことになっとるよ。」

彼女はゆっくりと腕を組み、続ける。

「あのドランゴドラという男が、わしの幻影魔法にかかって魔物を食らい、怪物に変化して逃げ出したんじゃ。今、配下の者たちが奴を探し回っとる。」


イロイは少し眉をひそめ、興味深そうに聞き入る。

「怪物に変化したの……ですか。それは面白い。でも、逃がすつもりはないんでしょう?」


デフィータはにやりと笑い、その目には冷酷な光が宿っていた。

「もちろんじゃ。奴がどこまで逃げられるか、わしの楽しみじゃ。そのうち捕まるじゃろ、その時には、お前たちにも見せてやろう。」


スワラは人間たちを弄びながら、ちらりとデフィータの方を見て笑った。

「楽しみだね、お母様! でも、その前にこっちも楽しませてもらうよ!」

彼女は人間の一人に近づき、その首筋にがぶりと嚙みついた。


デフィータは満足げに頷き、再び闇の中に目を向けた。

「さあ、どうなるか……ドランゴドラよ。お前がどこまで逃げられるか、わしはそれを楽しみにしておるぞ。」


その言葉と共に、城の外ではバンパイアたちが暗闇の中を駆け回り、ドランゴドラの行方を追っていた。一方、ドランゴドラは必死に逃げながらも、復讐の炎を胸に秘め、闇の中を進んでいた。


いつもイイねをくださる優しい「あなた」に、心から感謝を。

その小さな一押しが、物語の翼となり、遠くまで届く風となる。

ブックマークは、ページに刻まれた足跡。

その足跡が増えるたび、物語は新たな読者との出会いを果たす。


作者の心は、読者の温かい反応で満たされ、

次の章を紡ぐ指先に力が宿る。

「読んでくれた」という事実だけで、世界は少し色づく。

もし、この物語があなたの心に触れたなら、

イイねやブックマークで、その想いを教えてほしい。


あなたのその一押しが、次の物語を生み出す原動力になる。

さあ、物語の旅を、一緒に続けよう。

──オレンジより、感謝を込めて。

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