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ドランの企み

その施設が炎に包まれた原因は、炎を操る子供の仕業だった。トカゲ人間に炎を操る子供を食わせようとしたのである。するとその子供の抵抗にあってしまったのが発端だ。突然炎が上がり、その火は普通の水では消えなかった。まるで意思を持っているかのように、炎は燃え広がり、地面さえも灼熱の渦に飲み込んでいった。しかし、不思議なことに、炎は人間を閉じ込めた檻を守るかのように、その周りを避けて燃えているように見えた。


この施設は、龍椀のガルドが管理する飼育場の一つだった。山奥で行われた実験によって生み出された生物を収容し、飼育するための場所である。今回炎に包まれたのは、トカゲに人間を食わせることで生まれた、トカゲ型人間の飼育場だった。その生物は、完全ではないが人間の知能を持ちながらも、爬虫類のような外見と性質を併せ持つ、異形の存在だった。


炎はなぜか檻を破壊せず、むしろそれを囲むように燃え続けていた。まるで、檻の中にいるものたちを外の世界から守るために、炎が自らを盾にしているかのようだった。施設の関係者たちは、この不可解な現象にただ茫然とするしかなかった。


「あの子供を星にしろ!……すべて焼かれるぞ!」


誰かが叫んだ声が、炎の轟音にかき消された。その炎は、何かを伝えようとしているのか、それともただ暴れているのか――。



炎が施設を包み込む中、トカゲ人間たちは次々と炎に飲み込まれ、焼かれていった。その光景は地獄絵図のようだった。一方、食料用に用意していた家畜の群れが怯えて逃げて檻を壊した。檻の中にいた多くの餌である人間たちは、混乱に乗じて逃げ出した。炎がトカゲ人間たちの行く手を阻み、追いかけることは容易ではなかった。結果、かなりの数の人間が脱出に成功し、同時に多くのトカゲ人間も炎に焼かれてしまった。


残されたガルドの部下たちは、恐怖に震えていた。彼らの頭に浮かんだのは、ガルドやドランからの罰だった。


「まずい……きっとガルド様やドラン様の罰が待ってるぞ。罰だけならまだしも、下手したら『星』にされる……」


「ヤバいな、相当ヤバい。こんなことになってしまうなんて……」


彼らの会話は、焦りと恐怖に満ちていた。彼らのほとんどは、金儲けのためだけにドランゴドラに入り、悪事を働いていた者たちだ。組織への忠誠など、最初からないに等しかった。


「とにかく逃げよう。ほとぼりが冷めるまでどこかで隠れて過ごせばいい。どうせ、俺たちのような下っ端の顔なんて、誰も覚えてないだろ」


そう言い合い、彼らはそれぞれ逃げることを決めた。金をもらえばいつでもドランゴドラを裏切る――それが彼らの本音だった。以前ならまだしも、最近のドランゴドラには統率力がなく、金の力が全てを支配していた。そのことを、龍椀のガルドも薄々気づいていたのかもしれない。


実際、ガルドはすでに自分のためだけにこの研究を続けていると言っても過言ではなかった。部下たちの離反や組織の崩壊は、時間の問題だった。炎が施設を焼き尽くすように、ドランゴドラという組織も、内側から崩れつつあったのだ。




そんな折、各地に散らばる斥候からドランのもとへ驚くべき報告が届いた。勇者が見つかったというのだ。しかも、勇者は身体が溶けかけているものの、まだ生きているらしい。さらに、その勇者はバンパイアに連れ去られ、バンパイアの城に連れていかれたという。


ドランはその報告を聞いた瞬間、目を輝かせた。「これは……チャンスだ」と彼は呟いた。すぐに頭に浮かんだのは、ガルドの研究だった。偶然見つけた幼女の使う魔法それを利用すれば、勇者の力を手に入れることができるかもしれない。


「俺が直接勇者を食らうか、あるいはガルドに食わせるか……どちらでもいい。重要なのは、勇者の力を手に入れることだ」


ドランはすぐに行動を起こすことを決めた。バンパイアの城に乗り込み、勇者を手に入れる――そのためには、まずバンパイアたちを懐柔する必要がある。彼は部下たちに命じ、献上品を準備させた。貴重な宝石や魔道具、そしてバンパイアたちが好むとされる生贄の品々を揃え、城へ向かう準備を整えた。


「バンパイアどもに媚びへつらい、うまく取り入ってやる。そして、勇者を手に入れた後は……あいつらを配下にすることも、滅ぼすことも自由だ。勇者の力さえ手に入れば、すべては俺の思いのままだ」


ドランはそう考えながら、薄笑いを浮かべた。彼の目には、すでに未来の光景が映っているようだった。勇者の力を手にし、バンパイアたちを支配し、さらには世界そのものを手中に収める――その野望が、今まさに動き出そうとしていた。





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オレンジ

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