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アロマセラピーで人生を豊かに

「坊ちゃん、どこに行きたいんですか?」リベットが優しく尋ねた。


ハナスは「うぅー」と声を上げ、果物が並ぶ屋台の方を指さした。果物の香りが市場に漂い、ハナスの心は一瞬、懐かしさに包まれた。リベットはその意思を理解し、果物屋の方へ歩き出した。


「これはどうですか?リーゴやオレジの実、それとももっと珍しい果物にしますか?」リベットが一つ一つ指さしながら尋ねる。ハナスは目を細めて、オレジの実の香りを楽しんだ。彼の記憶の中にはアロマオイルの香りが鮮明に残っており、どうしてもその香りを再現したかったのだ。


 これにしましょうね、坊ちゃん」とリベットは小さなカゴに入ったオレジの実をいくつか手に取り、店主に代金を支払った。「さあ、これで十分でしょう?」


リベットは満足げに微笑みながらハナスに向き直るが、ハナスは首をかしげて少し考え込んでいる。


「うーん、それじゃあ全然足りないんだよ、リベット」と、ハナスは静かに言った。


「えっ、足りないんですか?」リベットは驚いて大きな目をさらに見開いた。「坊ちゃん、そんなにオレジを何に使うんですか?ジュースを一週間分でも作るつもりなんですか?」


ハナスは苦笑しながら答えた。「いや、ジュースじゃないんだ。今回はオレジの皮を大量に使うんだよ」


「えええー!」リベットは驚きの声を上げ、片手に持ったオレジを思わず見下ろした。「でも、これで十分じゃないですか?こんなにたくさんのオレジがいるなんて、坊ちゃん、何考えてるんですか?」


「リベット、精油を作るにはオレジの実より、皮が肝心なんだ。しかも、ほんの少しの精油を作るためには、山ほどの皮が必要なんだよ。」ハナスはニッコリと微笑んだ。「だから、このカゴのオレジじゃ全然足りない。もっともっと必要だ。」


リベットは困惑した様子で手に持ったオレジを見つめた。「えー、そんなに皮がいるんですか…。でも、こんなにたくさんのオレジをどうやって運ぶんですか?」


「そこは心配しなくて大丈夫。荷車を借りよう、リベット、もう少しオレジの実を買い足してくれないか?」ハナスは爽やかに言いった。


「ま、またオレジを買い足すんですか…?」リベットは苦笑いしながら店主の方を振り返った。「ええと、じゃあ、オレジを……山ほどください!」


店主は驚きの表情を浮かべながらも、大きな麻袋にどっさりとオレジを詰め始めた。リベットはその様子を見ながら、「本当にこんなに買って大丈夫ですか…?」と心配そうにハナスに尋ねた。


「もちろん大丈夫さ。」ハナスは軽く頷きながら答えた。「これだけあれば、十分な精油が作れるはずだよ。」


しばらくすると、店主の息子が荷車を引いてきた。「さあ、これで準備は整った。リベット、あとはこのオレジを荷車に積んで屋敷まで運ぶだけだね。」


リベットは少し呆れた表情を浮かべながらも、荷車に積み込む手を止めることなく言った。「坊ちゃん、本当に何を考えているのかさっぱりわかりませんよ。でも、まあ面白そうだからいいですけど!」


「そうだろ?」ハナスは微笑みながらいい、リベットはオレジの山を荷車に詰め込んでいった。リベットは時折、「これ、家まで運べるんでしょうか…?」と心配そうに呟いたが、ハナスは「大丈夫、きっと楽しいさ」と軽く応えた。


二人はそうやってオレジの山盛りを荷車に積み込み、屋敷へと帰路についた。リベットは最初の驚きから少しずつ楽しさを感じ始めたようで、道中もあれこれとオレジの使い道について話し合いながら、笑い声が絶えなかった。


「坊ちゃん、今度はジュースも作ってくださいね!こんなにオレジがあるんだから!」


「もちろんさ。君にも特製ジュースを振る舞うよ、精油ができたらね。」


そうしてリベットは、重たい荷車を引きながらも楽しい会話を続け、無事に屋敷へとたどり着いたのだった。


 家に帰ると、ハナフィサが笑顔で迎えてくれた。「おかえりなさい、二人とも。どうだった?」


リベットは「坊ちゃん、山のようにオレジの実を買ったんです」と嬉しそうに答えた。ハナスは静かに頷き、これからの新しい生活に期待を膨らませた。



 その夜、ハナスは眠りにつこうとベッドに横たわっていた。果物屋で感じた懐かしさ、リベットやハナフィサの優しさ――どれも新しい世界での生活に希望を感じさせるものだった。


 月明かりが窓から差し込み、ハナスはその光に目を向けた。彼は手を伸ばし、小さな赤ん坊の指で光を掴むかのように動かした。しかし、突然、彼の手の中に小さな青い光が現れた。


「なんだ、これは……?」彼の心に驚きが走る。


その光はふわりと宙に浮かび、彼の周りをゆっくりと回り始めた。まるで意思を持っているかのように、青い光は踊り続け、やがて彼の心の中に何かを囁きかけるかのような感覚をもたらした。ハナスはその囁きに耳を傾けた。


 その瞬間、ハナスは自分の持つ「増幅の力」について初めて具体的な感覚を掴んだ。

「そうか……この力、面白いな!」


 ハナスは小さな手を握りしめた。今まで(前の世界で)自分が無力であると感じていたが。でもこの世界では、この力で運命を変えることができる。


そう思うとワクワクした



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