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プロローグ

はじめまして!

暖かく見守って下さると嬉しいですー。

「今日のおすすめランチ1つー!」

「こっちにも同じのおくれ!」

「俺は大盛りでお願い!」

「はーい!わかりました。今日もお仕事お疲れ様で

す!」


連日大盛況の定食屋ハーバン。私、ルーナ=ハーバンはここの看板娘としてホールで働く15歳だ。

海と山に囲まれ、沢山の美味しい食材が溢れるこの町、サタンブルーに惚れ込んだ父と母がこの店を開いて早20年。今では、ハーバンを知らない奴はこの町の人間じゃない!と言われるほど地域の人に愛される店へと成長した。



「ルーナちゃん、聞いてくれよ。今日仕事でミスしち

ゃってさぁ…」

「えぇ…大変ですね、おかず1品サービスしとくんで元

気出して下さい!」

「お前、絶対サービス目当てでその話しただろ!ルー

ナちゃんの優しさにつけ込みやがって!!」

「なっ、バレたか!でもミスしたのはほんとだ

ぞ!」

「いばるなよ!」



ドっ、と店にいるお客さん皆が笑う。味良し値段良しの上にこのアットホームな雰囲気が愛される理由だろう。


私は、定食屋ハーバンが大好きだ。



物心つく前からこの定食屋で働く両親を見ていた。ちょっとでも楽をさせてあげたいと思い、店を手伝い始めたのは5歳の時。常連さんに言われた「もう1人前やねえ。」の一言で思い出した。



前世の記憶。

ぼんやりとしたパズルのピースが思わぬところではまることがある。まさにそれだった。



日本という国に住んでいたこと。

父子家庭の長子だったため、家事全般が私の仕事だったこと。

家事の中でも特に料理が好きで、料理人になることが夢だったこと。

有名レストランに弟子入りしたこと。

沢山修行したこと。

自分の店を持ったこと。

「1人前になったなぁ。」という師匠の言葉が嬉しくて、涙を流したこと。

オープン直前に事故にあったこと。



いわゆる、異世界転生ってやつだ。

もしこれが小説や漫画なら、主人公は前世の知識というチートを使い無双するんだろう。でも、私はそんなことをしない。したくない。


異世界転生モノは前世の知識が原因でゴタゴタが引き起こるのがテンプレート。

大好きな定食屋ハーバンにもしものことがあったら絶対に嫌だ。


優しい両親がいて、両親の作った料理を食べて美味しいと笑うお客さんがいて、喜ぶ姿が見える。それで十分だ。余計なことはしないに限る。



だから、私は今の生活を守るために前世の知識を封印することに決めた。




補足

ルーナちゃんの住む世界について

6歳~14歳まで、町にある学校で勉強を教わります。(主に読み書き計算)そして、15歳になったら王都に出て研究所で勉強するか、地元で就職するか選びます。基本的に成績優秀な子は研究所に行くことを選びます。将来、国の役人など給料の良い仕事につけるからです。

ルーナちゃんは成績は良かったのですが、上昇志向皆無のため、普通にハーバンに就職しました。

今は『お手伝い』では無く、『お仕事』として働いています。もちろん(安いですが)お給料も貰ってます。

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