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001

 夜中にアリシアと外で待ち合わせしたあと、色々と楽しんでそのまま寝てしまい――


「あぁ……早朝からの風呂は気持ちがいいな」

「そ、そうだね……」


 広い風呂にアリシアと二人きりで、肩を並べて湯に浸かっていた。さすがに裸は気恥ずかしいのでお互いにタオルを巻いているが、アリシアの胸の谷間が目についてしまう。


「ねぇゼクス?」

「ん?」

「私ね、王城でずっと暮らしてきたからね、こうやって自由に過ごすことが夢だったんだ……」

「そうか」

「うん……、だからね……」


 言葉を止めたアリシアの顔を見つめると、アリシアもこちらを見つめていた。


「今、すごい幸せなの。ライちゃんとかフウちゃん、マオちゃんにスイちゃん、エンちゃん……みんな可愛くて本当の子どもみたいでさ。ずっとここに居たいって思っちゃった♪」


 とびっきりのアリシアの笑顔。


 やっぱりアリシアが俺の中で一番大切な人なんだ……。セバスチャンがなにをしてこようとも、この場所は守らなければ……。


「ゼクス?」

「ああ、すまん……」

「どうしたの?」

「いや、なんでもない」

「ふーん……」


 ジト目で見つめてくるアリシアが、なぜか不満そうにしていた。


「どうしたんだ?」

「ゼクス、昨日さ、セバスチャン来てたでしょ」

「な……なんで知ってるんだ?」

「なんかね、ライの部屋でゆっくりしてたら急に現れて『王様から手紙を預かったので渡しに来ました♪』って、すごい軽い感じで渡されたの」

「まじか……」


 いつの間に……ってか、城の警備が甘すぎるだろ……。魔王と四天王以外に誰も居ないって、今更だがどういうことなんだ……。


「それでね、手紙見たらお父様が明日迎えに来るって……。つまり、今日、来るんだよね?」

「まぁ、そうだな……」

「はぁ……帰りたくないなぁ……」

「そんなにここが気に入ったのか?」

「だって、向こうのお城にいるより楽しいもん」


 まぁ、確かにあっちよりも楽しいだろうな……。それに、俺もここの生活に慣れてきてるし、アリシアが居なかったら全員の面倒も見切れないしな……。


「あの王様に話が通じるとは思ってないが、とりあえず話し合ってみるか?」

「お父様、頑固だからなぁ……」

「まぁ、いざとなれば追い返すさ」

「怪我させるの?」

「いや、さすがにそこまではしない。ちょっと脅すくらいさ」

「でも……」


 心配そうなアリシアの――その頭に軽く手を置いて――


「大丈夫だ」


 と伝えた。



 ***



 風呂場を出たあと、いつも通りフウの朝ごはんをみんなで食べ終えて――アリシアと二人で広場に待機。


「アリシアまで一緒に待つ必要はないんだぞ?」

「ううん、一緒に居たいからいいの」

「そ、そうか」

「うん!」


 そんな笑顔で言われるとなにも言い返せないじゃないか……。


「危なくなったらすぐに城に帰ってくれよ?」

「うん、そうする!」


 とは言ったものの、いつ来るかも分からな――


「ぜくすー」

「お姉ちゃーん! お兄ちゃーん!」


 フウとライの声に城の方を振り返ると――


「ちょ、あんたたち待ちなさいよ!」

「エ、エンくん……やっぱり、恥ずかしいよぉ……」

「大丈夫だよ!」


 まさかの広場に全員集合……。


「ぜくすー、なでなでー」

「お、おぉ……」


 なんだか久しぶりな気がする……。


「お姉ちゃん! 遊ぼー!」

「ライちゃん、今はちょっと――」

「ゼクス! 訓練しなさいよ!」

「いや、だから魔力がないならダメだって――」

「兄ちゃん兄ちゃん!」

「エン……どうした……」


 フウに抱きつかれ、マオには横から引っ張られ……、髪をオールバックにしたエンの目がキラキラと俺に向けられる……。


 そのまま手招きされ、耳をエンに傾けた。


「スイとお揃いなんだ!」

「うん?」


 服装はエンが半袖短パン、スイがワンピース。スイの前髪はいつも通り。「お揃い」の「お」の字もない。


「どこが違うんだ?」


 と、エンに囁きかけると――


「コレだよコレっ」


 見せてきたエンの手首には金の腕輪。そして、スイの手首にも同じものが。


「いいでしょ♪」

「よかったな」

「えへへ♪」


 嬉しそうでなにより――


「あ、あの……!」

「スイどうした?」

「み、みんなの分も……作って、みたんです……けど……」

「いや、スイとエンだけでいいと思うぞ」

「で……でもっ……」

「二人だけでいいんじゃないか?」


 隣でエンが悲しそうにしているし……。


「わ、分かりましたっ……」

「ぜくすー、ぜくすー」

「フウ、どうした……」


 次から次へと忙しないな……。


「だっこ、だっこー」

「フウばっかりズルいわよ! 私だって!」

「魔王様じゃまー」

「なっ……! 魔王に邪魔ってなによ!」

「魔王様うるさいー」

「うるさいってなによ!」

「ぶーぶー……もういいもん」


 後ろに回り込んだフウが俺の首に全体重をっ……。


「ちょ、フウ……首が締まる……」

「フウのていいちー」


 がっしりとしがみ付かれ、もぞもぞと背中で動くフウ。耳元で「んしょっ……」という声が……。


「定位置なのは、分かったから……大人しくしてくれ……――ッ!」

「ふぁい……はむはむ……」

「人の耳を甘噛みするな……」

「あまふぁみーふるー」

「ちょっと! 私も撫でたり抱っこしたりしなさいよ!」

「兄ちゃん兄ちゃん! スイとお城の掃除してくる!」

「い、行ってきますっ……!」

「ああ……」


 もう、好きにしてくれ……。


「ふぁみふぁみー」

「ほら! 早く撫でなさいよ!」

「ア、アリシア……助け――」


「ライちゃーん♪」

「お姉ちゃーん♪」

「はぁ~可愛い♪」

「お姉ちゃんだいすきー♪」


 横を向くと、アリシアは持ち上げたライに頬ずりしながら幸せそうにしていた。俺も出来ればそうしたい……。


「――大変そうだね♪ 魔王ちゃんは私が預かろうか♪」


 聞き覚えのある声にハッと振り向くと――


「あ、あんたは昨日の――きゃっ……勝手に触るな! 持ち上げるなぁ!」


 セバスチャンが目の前でマオをお姫様抱っこしていた。

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作者の他の作品です!架空歴史系の作品⇒「理葬境」 神話をモチーフにした作品⇒「三界大戦」 大学生を主人公にしたラノベ作品⇒銀髪美少女を探してたらようやく見つかったので守ろうかと思います。~階段から落ちた先に居たのが変態紳士でした怖いです助けて~
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