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真実は迷宮の中  作者: Luce
第2章 大量発生
44/84

44話 蹂躙


そろそろ最初に決めていた話の流れでは出てこなかった完全思いつきで書いたダラダラと長い今章も終わりに近づいてきました。

おそらくあと5話くらいで終わると思います。


それでは本編をどうぞ。


今のところ全体的な戦況は五分五分といったところで、ただ局地的な戦況はというと戦闘者の中でも優秀なものがいるところでは戦闘者に9、アーミー・エイプに1といったところで、群青騎士団は7、アーミー・エイプは3といったところでそれぞれ安定して殲滅していっているのだが、問題はその中でもそこまで優秀でもないパーティーが担当しているところではすでに死者も出ており、それに加えて重傷者もそこそこの数が出始めており、そこから陣を食い破られるのを阻止するために優秀なパーティーがそのフォローに入り、そのために殲滅速度が遅れてしまうという問題もあったため全体的には拮抗していると言える。


おおよそシークが平原までアーミー・エイプの集団を誘導してきて一斉攻撃を加えてから10分ほどが経過した頃、戦場の一角から圧倒的な力の波動というものが戦場全体の空気を塗りつぶし必死に戦っている戦闘者や騎士団が動きを止めその力の発生源に目を向け、そして今が目の前にいる敵の命を奪う絶好の機会だというのに同じように、いや敵よりも俊敏な動きでそれを見やるアーミー・エイプはどこかでこれが自分たちに大きな損害を与えるものだと本能で理解したのかその体は少し震えていた。


その圧倒的な力の発生源は流動する不定形のオーラを揺らめかせ両腕のガントレットに纏わせているマインであり、自信に満ち溢れた表情を浮かべアーミー・エイプの集団を見ており、その姿には覇者の風格とでもいうものが宿っていた。

そして注目を一点に集め一歩一歩としっかりと地面を踏みしめてゆっくりと歩き、動けないアーミー・エイプの前に立つと、


「吹っ飛べ!!」


腰を落とし右手を大きく引いてヒュッと言う呼気とともに腰の回転捻りを最大限に使って勢いよく戦闘にいたアーミー・エイプに向かって突き出す。

そしてアーミー・エイプの体を容易に貫くと確信が持てるほど勢いよく突き出された右手を覆うようにつけているガントレットを全体的に覆っていた揺らめくオーラがいつの間にかその拳の先に集まって地面と垂直な方向に正方形の平面を構成しており、その平面越しに殴られたアーミー・エイプはその体の全てでその衝撃を受け止めアーミー・エイプの絶命という結果は変わりはせず、原型を留めていないというより悲惨な状態になってしまっていた。

それだけに留まらずその衝撃が拡散して直接その平面に当たっていない者にもダメージを与え、潰されたアーミー・エイプのすぐ近くにいた数十匹は衝撃波で全身に強い衝撃を受けてその命を散らし、それらの後ろにいた数百匹のアーミー・エイプはその風圧で後方へと力強く吹き飛ばされたり大きく宙へと舞い上げられたりと被害を被り、打ち所が悪かった個体はそのまま息絶え、それでなくとも重症を負う個体も数多くおり、たった一撃で300匹以上に少なくない被害を与えたマインの前にはぽっかりと何も居ない空間が出来ていた。


その光景にその能力を知っている者は苦笑いを、それ以外の戦闘者や騎士団の面々は驚愕の感情を、アーミー・エイプはその目の前にいる理不尽な化け物に対して危険人物だと警戒心を強め、そしてマインが突き出した拳を引き戻して新たに一歩を踏み出したところでこの場にいる全ての者が動き出す。


そしてまた先ほどと同じような戦闘者と騎士団の人側対アーミー・エイプたち魔物側の戦いが再開されたものの、先ほどのマインの一撃に萎縮したのか戦況は確実に人側に傾いていた。


ルートは先ほどマインが行った光景を見て、確かにあれだけの力を出すためには時間も必要かなどと頭の中で自己完結するとおもむろに腰袋から槍を取り出す。

そして、


「あんなの見せられると僕も少しは活躍しておかないとだめだね」

「私もいくよ」

「はあ。僕としては怪我人の治療に専念しておいてほしいけどね」

「いまさら何を言ってもね」


そう短い会話を終えるとルートは顔から感情の色が抜け、完全に戦闘思考に切り替えると地面を踏みしめる力を強くして弾丸のような速さで飛び出していき、同じように戦闘思考に切り替えたエリュが眩い白い光を身に纏って併走する。


そして一番近くに居たアーミー・エイプにルートは『磁力の手(マグネットハンド)』で宙に浮かべた内の一本を射出し絶命させてその周りにいたアーミー・エイプの意識を自分に向けさせて殴りかかってきた拳を前に回避しながら首に鋭い突きを放ち絶命させ、その死体に蹴りを放つことで槍を首から引き抜くということに加えてその後ろにいるアーミー・エイプに対しての吹き飛んできた仲間を受け止めさせて行動を一つ遅らせる。

そしてそのわずかな時間を使って槍に魔力を通して結晶体で魔力を増幅させ『石弾ストーンバースト』をその死体ごと仲間の体を受け止めて死んでいることに気がついたアーミー・エイプを貫いて絶命させる。

その光景を見た周りのアーミー・エイプがルートに殴りかかろうとして飛び込んできたところで後方へと距離をとりながら結晶体に魔力をこめて土魔法の威力を増幅させると、


「『岩雨ロックレイン』」


雨が降るように威力のある石の礫を広範囲に大量に射出する魔法でそれを放ち比較的近距離にいたアーミー・エイプの体を蜂の巣状に貫き、肉壁に阻まれなかった石の礫はある程度距離が離れたアーミー・エイプの足を止めるのに十分でその場に縫い付ける。

そしてさらに追撃を加えようと結晶体に魔力を通したところで、


「『氷雨アイスレイン』」


先ほどのルートの魔法の氷バージョンを肉壁の役目を終えたとばかりにアーミー・エイプの死体が倒れこむことによって出来たスペースに飛び込み、翡翠色の髪を揺らしながら至近距離でそれを放ち先ほどと同じような光景を作り上げる。


それを見ていたルートは発動しようとしていた前方へと攻撃を加える魔法からエリュの足元に『石柱ストーンピラー』という石の柱を作る魔法に切り替えて地上3m程度の高さの柱を作ってその上に乗せたまま持ち上げる。

そして左右から迫ってくるアーミー・エイプに浮かべているナイフを発射することで時間を稼ぎ『泥沼マッドプール』を発動して広範囲の地面に干渉して性質を変化させて沼のように沈みやすい状態にする。


突然の地面の性質の変化に反応できなかったアーミー・エイプはあっさりと腰まで沈み込み下半身が動かない状態になり、必死に抜け出そうともがけばもがくほどその意とは反してより深く体が沈み胸の辺りまで地面埋まる。

そして近くに埋まっている身動きの取れないアーミー・エイプの脳天に次々と槍を深く突き刺して確実に息の根を止め、その様子を見ているほかのアーミー・エイプは次は誰の番だと自分が選ばれないように願い恐怖に震えているとルートは突然動きを止めて瞬時にその場を飛び退くと、


「『霧の国(ニブルヘイム)』」


柱の天辺に立っている膨大な魔力を練り上げていたエリュは持ち上げていた杖にその魔力を流してそう呟き杖をトンと自分の前に軽く突き立てると、その柱を中心に凄まじい冷気が凄まじい勢いで広がり、ルートの『泥沼マッドプール』よりも広範囲にピキピキピキという音を立てて、その範囲内にあるものは地面であろうとアーミー・エイプであろうと氷が全てを覆い、季節外れのスケートリンクと障害物のようにあちらこちらに存在する氷像へと姿を変える。


それを見た範囲外にいたアーミー・エイプは恐れを生したのか『霧の国(ニブルヘイム)』から三歩分だけ距離を取ってその光景を作り上げたと思われるもはや石の柱ではなく氷の柱にも見えるものの上に立っている杖を持っている人物を見て、攻撃方法を探す。

そしてその辺りにある石を拾ってその人物を狙って投げるものの外れ、そしてその石が着弾した瞬間に瞬時に凍りつくのを見ると更に二歩ほど離れていく。


それを見たルートは結晶体に魔力を流し込んで増幅させて石突き部分を地面にサクリと突き刺すと、


「『土人形アースゴーレム』」


ルートの土魔法で作り上げられた『土人形アースゴーレム』は合計30体ほどがまるで地面から生えるようにルートの前に横一列に並んでその姿を現して規則正しくそれぞれがアーミー・エイプに向かう。

あまり機敏とは言えない動きで殴ったり蹴ったりの攻撃をものともせずに愚直なまでにアーミー・エイプの元へと向かう『土人形アースゴーレム』はところどころを欠けさせながらもアーミー・エイプの体をがっちりと掴んで抜け出せないように確保するとエリュの作り出した『霧の国(ニブルヘイム)』に向かって放り投げる。


空中で少しばかり軌道を変えられるものの空中を歩いたり飛んだり出来ないアーミー・エイプは空中で必死に手足をばたつかせてその自分の放り投げられた先の着地点をなんとか変えようとする努力も虚しく、その氷で覆われた地面にアーミー・エイプの足先がチョンと触れた瞬間に足から腰、胸、そして頭部へと氷が伝播するように体表を覆いつくし、その中に閉じ込められたアーミー・エイプは自分の体表を覆っている氷の冷たさがじわじわと内部へと侵食していく感覚を感じながら意識を手放し、大量に存在する氷像の一つとなった。


その調子で『土人形アースゴーレム』はどんどんとアーミー・エイプを捉えては投げ、捉えては投げともはや作業と化しながらその単調な動きを繰り返していく姿を見て、どこかアーミー・エイプという魔物と戦っているという感覚が薄れていくのを感じながらルートはこの場を『土人形アースゴーレム』に任せると戦場を見渡して手持ち無沙汰そうなアーミー・エイプの姿を捉えるとそこに向かって駆け出す。


その動きを捉えていたエリュは自分に掛けた光魔法の『活性化アクティベーション』という自分の身体能力や自己再生能力を強化するという効果を十全に活用して表面を覆った氷を踏み砕く勢いで力を溜めると次の瞬間に体のバネの使ってその場から跳躍してルートの隣辺りに衝撃を殺して着地すると併走する。


そして先ほどの連携で何かお互いに感じるものがあったのか、ルートは目を閉じながら槍に魔力を流し、


「『閃光フラッシュ』」


注目が集まるようにと自分たちとアーミー・エイプの間の上空にエリュが放った目をつぶっていてもなお瞼を超えて網膜を焼き付けようとするほどの強力な閃光を放ち、それをどうにかやり過ごすとルートは目を開いて、そして目が急にやられたことで大きくのけぞったりと自分に迫る敵の存在を忘れた様子のアーミー・エイプに槍を使って一方的に攻撃を加え、同じく隣を進むエリュも本来の杖の役割を見失いそうなほどに堂に入った杖術を披露して次々と攻撃を加えていく。


真っ白に焼け付いた視界の中でも仲間の断末魔は聞こえ、そしてそれに怯えたり強気になったりするアーミー・エイプはそれぞれその場に伏せて体を震わせたり、あるいは我武者羅に拳を振るったりとの行動を取るものもいる中、一切の躊躇なくそれらを斬り捨て平等に命を絶つ。


そしてそろそろ視界が回復した個体も現れ始め、今まで見当違いな方向に振るっていた拳をルートやエリュの命を狙って振るってくるのをもちろん避けて反撃する。

ルートとエリュはお互いにお互いが考えていることがわかり、そのとおりに行動していくことによってより早く、効率的に敵の殲滅をしてゆき、事前の打ち合わせもなくただ空虚な目と目を合わせるだけで意思疎通が取れたのかルートがその場に止まり結晶体に魔力を流し、そしてそれをチャンスだと思って攻撃を仕掛けようとしてきたアーミー・エイプをエリュが倒して彼の前に立って杖を構えていると、


「『ホール』『変形メイク』」


ルートとエリュを残して幅3mほどでドーナツ状に3mほどの高さの穴を作ると、当然のことながら上にいた者は重力に従って落ち、そして穴の底には地中の硬い鉱物を使って作り上げた無数の針が待ち受けておりその体を貫いてゆく。

前にいたアーミー・エイプが穴に落ち、そしてその穴に隔てられるように二人とアーミー・エイプの集団との距離が開き、しかし隔てるものは壁などの通過を防ぐものではなく穴だということで相手はこちらに渡れず攻撃を食らう心配もないのに対して、魔法が使える二人は一方的に攻撃できるという状況を作り出した。


アーミー・エイプが一方的な危険に自分は陥っているということに気がついたのは二人の、


「『岩雨ロックレイン』」

「『氷雨アイスレイン』」


一方的に背中合わせで放たれた広範囲魔法を食らってからのことで、多くのアーミー・エイプはそれを理解する間もなく死んでいった。


こうして圧倒的な戦いを繰り広げ、二人が仕留めたアーミー・エイプの数が1000体を超えて更に伸ばし続けている真っ只中で、


「土魔法使い!準備だ!」


ブラハの声が聞こえた。


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「辻ヒーラーさんは今日も歩く」
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