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真実は迷宮の中  作者: Luce
第2章 大量発生
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23話 『万色の集い』


魔道具がある建物から外へ出て中央会館を目指して走る二人と手荷物一人。

すれ違う町の人達は手に一杯の荷物を持って南門の方を目指している。

北上している二人とは反対方向に進んでいるため、なかなか走りづらいが何とか人をかわしながら中央会館を目指しているのだが、不意に、


「そういや姉ちゃんにひとつ言われてたっけ。よしルート!ちょっと寄り道するぞ!」


そう言うとマインは急に転身、来た道を戻る。

完全に手荷物化してしまっている男がグエッという声を出したような気もするが、ルートはそれを無視、マインを追いかける。


町の人たちと同じ方向に移動しているため先程よりも走りやすく移動も早い。

そうして大通りに面した高級感の漂う瀟洒な雰囲気の3階建ての大きい建物の前でザザッという音を立ててマインが強引に足を止めると、


「ルート、お前も入って来い!」


そういうと直ぐに建物の中に入っていった。

ルートもザザッと足を止めてその言葉にしたがって中に入る。


中に入るとまず目に入ったものは大きなシャンデリア。

わざわざ魔力灯ではなく蝋燭に火を灯しているという所にこの建物の格式高さが現れているようだった。

入り口から受付まで伸びる赤いカーペットを辿っていくとその果てにマインがいて、受付のカウンターの向こうのきっちりとした服装の男と話をしていた。

ルートはそこに近づいていくと、


「何で逃げてないんだよ・・・・・・」

「ここにはまだご宿泊のお客様がいらっしゃいますからね。我々"悠遠亭"の誇りに懸けてお客様をおいて逃げることなど許されません」

「こんな事態なんだから誇りなんか捨てちまえばいいのによ」

「我々にとっては誇りこそが至上でありますので」

「・・・・・・そうかい。たぶん俺達が最後だろう、チェックアウトを頼む」

「最後かどうかは申し上げられませんが、確かに承りました」

「おう」


そういうとマインは階段に向かっていく。

ルートは受付の人に一礼するとその後ろを追っていく。


階段を二回上がるとそこには扉が一つしかなかった。

そしてマインはその扉の前で立ち止まってルートを待っていたのかこちらを向いていて、


「ルート、この部屋に『万色の集い』の連れてきたメンバーがいる」


というとその扉を「入るぞー。」と言いながら開けて中に入っていった。


まるまる一階を部屋にしたようで広くまず最初に広間があり、部屋の中央には円形の大きなテーブルがあってそれの周りには椅子が十数個並べられていて2人そこに座っている。

壁際にはソファーが並んでおり丁度天窓から光が差し込んで秋の暖かな日差しが注ぎ込んでいて丸くなっているのが一人、本を読んでいるのが一人そこには座っていた。

そして部屋の入り口のテーブルを挟んだ向こう側にはキッチンがあって二人そこで何かをしているようだった。

床は板張りで綺麗な木目が美しく、触るとすべすべとした心地のよい感触が味わえるだろうと言うことを容易に想像させられるほど磨かれていた。

そしてその広間からは入り口を除いて2個の扉があり、その奥から物音がしている。

そして丁度入り口の近くに猫耳がピョコンと立った白と黒と茶色の髪や耳の女性がいて、開いた扉の先にいるマインを見て、


「にゃ?あ、お帰りなさい、マイン」


そう言った。

マインはその彼女に手を上げて答えると、


「おう、ただいま。ところで今全員いるか?」

「居るわ」

「なら全員ここに集めてくれ」

「分かったわ」


彼女はそういうと広間から続く扉の内の一つに消えていった。

マインは適当に空いている椅子に適当に手荷物をそこらの床に放り投げて腰を下ろすと、


「ルート、こっち来い」


といって手招きし椅子を勧める。

ルートは勧められた椅子に腰を下ろすとマインは口を開いて、


「先にここに居る奴を紹介しとくか。俺の連れてきた奴については全員揃ってから紹介するから先にお前らをコイツに紹介するわ。まずあそこで手をヒラヒラ振ってる男がギルバート、前衛で盾を構えてる奴だ」


マインは壁にもたれかかってこちらに手を振っているマインと同じくらいガタイのいい灰色の髪の男を紹介する。


「あいつは人族だが亜人に偏見の無い奴だから仲良く出来るだろうぜ。あとあいつは"青"な。そんで次はあそこで寝てるのがピナ。ウグイスの鳥人族の女だ。ランクは"水"で歌で支援する特殊魔法の使い手だ。まあ後でお前を紹介するときには起こす」


次に指差したのはソファーを一人で独占して丸くなって体を羽根で隠すように寝ている小柄な髪と羽根が鶯色の少女だ。


「そんでそのピナを横目で食い入るように見ているあいつは虎の獣人族でレンって言う名前だ。俺と同じ切込み担当だ。・・・・・・ちなみにあいつはピナに惚れているけど、いまだにデートにも誘えていないヘタレだ。ランクはピナと同じな」


次に指差したのは椅子に座っている黄色と黒と白の髪を持った少年で、マインの声が聞こえると顔を赤くしながらこっちを見て、


「う、うるせー!」


と怒鳴りをあげた。


「うるさいのはお前もだ、レン」


そう言ったのは同じく椅子に座った頭から白い一本の角を生やした竜人族の男で、その髪は光を吸い込んでしまいそうなほどに黒い。

そしてその言葉に反応したレンと言い合いを始めた。


「あの竜人族の男がシン。"青"で前衛と後衛のバランスを取ってくれてる。そんで本を読んでいるあいつはリズ。"水"ながら殲滅力は抜群の魔法使いだ。あと魔女族な」


そういって紹介された女性はビクッと体を震わせ深くとんがり帽子を被った。


「どうにもあいつは恥ずかしがり屋でな。まあそれだけ理解してやってくれ。それじゃあ次はキッチンにいる奴らな。あいつらはルイとライ、犬人族の双子だ。両方"水"で中衛で後衛に敵を通さないようにするのが仕事だ。ちなみに見分け方は耳な。右耳が垂れているのがルイ、左耳がライだ」


マインがそう紹介すると、クリーム色の髪と耳を持った双子の女性がこっちを見てニコッと笑った。

確かに見分けがつかないほど似ているが、説明通りそれぞれ異なる方向に垂れている耳で判別可能だということがわかる。


そして一通りの説明が終わったところで先程の猫耳の女性が後ろに2人連れて出てきた。

そしてマインの近くに寄ってきて、


「連れてきたわ。にしてもこの人達こんな昼間っから酒盛りしてたのよ。しかも樽で呑んでたわ。とりあえず風呂に突っ込んだから匂いは落ちてると思うけど」

「少なくとも俺の鼻では分かんねぇな。っと、あの2人の右の奴がタタラで左のがミツナだ。ミツナが"青"の蛇人族のラミアで、タタラが"水"のドワーフ族だ」


ミツナが赤色の髪の女性で、タタラが黒色でそれぞれ樽を開けたと思えないほどしっかりとした目でこちらを見ていた。

そして近くに来た猫耳の女性を片腕で抱き寄せ、


「それで最後にこいつが俺の妻で、"藍"の猫人族のルナだ」

「よろしくね」


そう言った。

すると、


「え!?マインさんって既婚者!?嘘でしょ!?」


と大声を上げて驚く。

するとその言葉を聞いて何人かがやっぱりそう思うよなというように頷く。


「ルート、お前は俺をなんだと思っているんだ。俺だって結婚ぐらいしているぞ」

「た、たしかに。ただその‥‥‥なんとなく意外で」

「酷いやつだな、お前!」


その声の応酬で目が覚めたのかピナがこちらをぼーっと見ていた。


「おっ、ピナも起きたみたいだな。それじゃあとりあえず全員椅子に座れ」


マインがそう言うとそれぞれ自由に椅子に座る。

そして全員が座ったことを確認したマインが、


「よし、話を始めるぞ。お前らも疑問に思ってるかもしれないが俺の隣のこいつだ。おい、ルート自己紹介」


ルートの肩を叩いて自己紹介を促す。

慌てて勢いよく立ち上がったルートは、


「えっ、えっと、僕はルートです!趣味は『土人形アースゴーレム』遊びです!あ、後は‥‥‥、や、槍使います!あと土魔法!それであ、あとはその~」

「もういいぜ。取り敢えず座って落ち着け」


そう言われて顔を赤らめて一礼してから着席した。

そして座ったのを確認するとマインが口を開いて、


「こいつはルート。"水"だがランク以上の腕があるという事は俺が保証する。どうして連れてきたのかって言うとさっきの声は聞いたか?」


そう尋ねると、ルートとは反対の椅子に座ったルナが、


「ええ、あなたの声ね。聞いたわ。それで?」


と尋ねると、マインは、


「落ち着いて聞けよ。アーミー・エイプってのは聞いたと思うが"ギルド"は師団クラスを想定している」

「「「なっ!?」」」

「本当ですか?」

「ああ、アーミー・エイプの斥候は俺が確認した。それにキラの樹海には長らく討伐隊は編成されてなかったからな。下手をすると師団以上も有り得るかもしれん」


そういった。

それを聞いた『万色の集い』のメンバー等は絶句し、唯一ルナだけがその情報の真偽を問うが、返ってきたのはより強い肯定に上乗せされた予想であった。


「そうなるのも無理はないがまだ続けるが、樹海には第一級危険指定種とそれに順ずる魔物もいるようだぜ。その証明はこのルートがやった」


マインがそう言うと一同の目がルートに集まる。

そしてルートは口を開いて、


「確かです。クレイジー・ビーとクレイジー・ボアがいました。いつの間にか倒していましたが」


と先程よりも落ち着いた口調で言った。

すると座っている大半の者は、本当にこいつが倒したのか?と胡散臭そうな顔でルートを見る。

するとレンが代表をして、


「リーダー、本当にそいつがやったんすか?正直信じられないと言うか‥‥‥。そこまで強そうに見えないっすよ」


そういった。

何人かはその言葉に頷く。

そして、


ガキンッ!


突如背後から首を狙って迫ってきたナイフをルートは腰袋から取り出したナイフで防ぐ。

そして、もう片方の手で腰袋から3本ほど取り出して背後に向かって投擲すると全身から寒気がするほどの魔力を放出して後ろを見る。


そこには何とか避けたシークがいて降参だというように両手を挙げていた。


「‥‥‥すまない。ただこれが一番だと思ったからな」


そうシークが謝るとルートは魔力を収めると、


「ビックリしましたよ!確かに説得力という意味ではこれ以上は無いのでしょうけど他になにか無かったんですか!」


と両腕を振って抗議する。


その様子を見ていた椅子に座っていた人達はそもそもシークがいたことに気が付いていなかったが、注視していたお陰で首元に迫るナイフは良く見えた。

だがルートが取り出したナイフは目で捉えることが出来なかったが、その直後に放出された魔力に本能的な恐怖を憶え一斉に椅子を倒しながら距離を取り、玉のような汗を浮かべながら戦闘体制を整えた。

そしてやっと彼の強さを認識し一挙一動見逃すまいとしていたのだが、急に収められた魔力に拍子抜けしたようで体から力が抜けた。


ルートは後ろから視線を戻すと座っていたはずの人達がいつの間にか立ち上がっていたということに驚き、


「あれ?皆さんどうしました?」


と呑気に声を掛けると、隣に座って少し汗をかいたマインが、


「という訳だ。分かったか?」


と言うと、全員が首を何度も上下に振った。


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もう一つの連載作 テーマは独善の投影。
「辻ヒーラーさんは今日も歩く」
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