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真実は迷宮の中  作者: Luce
第2章 大量発生
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20話 拘束


丁度昼ご飯を食べるのにいい時間であるため、店が多く並ぶ大通りにはたくさんの人がいて騒然としていた。

いつも通り楽しくご飯を食べて少し話をしていると急に相手が自分の後ろの何かに驚いたように話をやめて黙り、その行動に疑問を持った者が後ろを見ると同じように驚き黙った。


始まりは兵士を両肩に担いだ『土人形アースゴーレム』がノシノシと町の権力者が住んでいる方向から歩いてきたことでクーデターのようにも見える光景だが、町に住む人々は何があったのかが分からずただただ驚きと困惑で戸惑うだけであった。

そして次に『土人形アースゴーレム』が確かに見たことのある力が抜けている町の権力者を揃いも揃って抱き抱えて歩いているというあまりにも異常な光景に、町の人々の間にざわめきが起こった。

そして最後にこの町の長たるカント・ヌーメンデ伯爵も同じように力無く『土人形アースゴーレム』に抱き抱えられているという光景に、遂には町の人々の思考が停止し水を打ったような静けさが大通りを包む。

土人形アースゴーレム』の後ろにいた男と少年の姿は思考が停止した町の人々の目には入らなかった。


そしてこの町の異常事態をギュッと濃縮したような奇妙な一行を見送った町の人々はしばらくポカンと口を開けていたが、そのうち誰かが「あれって町長だよな?」と呟くとそれが呼び水となったようで次々と口を開き始める。


「やっぱり町長だよな?」「俺もそう見えたが」「私も見たことあるわ」「そういや最初に担がれていた兵士っぽい人たちってお貴族様の私兵じゃなかったか?」「はっ!そうよ!前うちの酒場に来てさんざん騒いでくれた人じゃないか!通りで見たことのある顔だと思った!」「でもあの人達って偉い人なんでしょ?どこに連れていかれるのかな?というより、どうして運ばれているの?」「「「さぁ?」」」「‥‥‥クーデター?」「それじゃあ連れていく必要なくない?」「確かに」


などと言って話し始める町の人々であるが、結局この町に起きている問題に思い当たることなくただ憶測が憶測を呼ぶだけのものとなっていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


騒がしくなってきた人々を後にし、歩を進めている『土人形アースゴーレム』一行であるが、不意にルートが、


「‥‥‥所で中央会館って何処ですか?」


と口を開いた。

すると、


「はっ!?お前何も知らずに歩いていたのか!?」


とマインが驚きを示す。


「お恥ずかしながら‥‥‥」

「あんなに堂々と『土人形アースゴーレム』歩かせていたのにか!?」

「‥‥‥はい」

「ハァ。まあここまで道は合ってる。中央会館は大通りに面しているから近くに来たら教えてやる」

「ありがとうございます。ホントに面目ない」


恥ずかしそうに顔を赤らめて自分のミスを話すルートに、マインがため息を吐きながらもフォローをする。


「そういやルート、お前いつからこの町にいるんだ?」

「昨日からですね」

「ああ、道理で知らない訳だ。"ギルド"でも聞かないから、一昨日の中央会館の周りでこの町ができた日を祝うイベントに行ったものだと思ってた」

「へぇ、そんなイベントがあったんですね。知りませんでした」

「ハハッ、お前は良く分からない男だな」


などと言う会話をしながら歩いていると、


「よし、ルート。着いたぞ」


マインがそういって指したのは3階建ての大きな木製の建物で、1階だけでも数百人は収容できそうなほどの広い敷地面積を持っている建物であった。。


「これが中央会館、大きいですね」

「だよな。俺も見て驚いた」


二人して建物の前で話していると後ろから、


「マインさん、ルート君、"ギルド"の使者としての仕事を果たしていただけたようで何よりです。この様子を見ると・・・・・・そういうことなのね」


"ギルド"のお姉さんが悲しそうな顔をしてそう言った。


「まあ気にすること無いとは言えんが、とりあえずこの人たちの処分は王国に任せるしかあるまい。それよりも今はやるべきことに力を注ぐべきだろうさ」

「そうですね。何をするにもこの状況を乗り越えてしまわないと何も始まりませんから。僕も協力しますよ」

「ありがとうございます。すべてはこれからの私達の行動次第ね」


お姉さんを励ますと言うよりも話題の転換を選んだ二人だが、どうにもその意図を汲み取ってくれたようでお姉さんはいつも通りのように振舞うことにした。


「それじゃあ中に入りましょう。この『土人形アースゴーレム』はどちらが?」

「僕です」

「そう、それじゃあルート君、『土人形アースゴーレム』を操ってその人たち全員を私達の後に続くように連れてきてね」

「分かりました」

「よし、それじゃあ中に入りますよ」


お姉さんを先頭にマイン、ルートと続きその後ろを人を抱えた『土人形アースゴーレム』がノシノシと付いてくる。


お姉さんが開け放った扉は『土人形アースゴーレム』が2体並んで通れるほど大きく、その先に続く通路も同じような幅であったため2列編成で建物内に進入する。

建物の外見は木だが中はそうでないようであまり豪華ではないが、通路は岩を加工して作られたプレートが敷き詰められていて、天井には等間隔に魔力灯が埋め込まれていてそれらが穏やかな光を放って通路全体を明るくしている。

そうして少しばかり通路を歩くとその先に先程と同じ位の大きさの扉があってそれをお姉さんが開け放つとそこには、敷地面積の7割程度ある大きく広いホールが広がっていた。


お姉さんはそのホールの真ん中ほどまで歩いていくと立ち止まって、


「到着です!さて、改めまして自己紹介をさせていただきたいと思います。私はこの町、キラの"ギルド"派出所で働いておりますセアラと申します。早速ですが現在キラの指揮権を"ギルド"より預かっております私の権限において、この町を捨てようとした皆様の行動を鑑みた結果、皆様を放っておくと現場に混乱を招きかねませんので一時的に拘束させていただきます。そしてその後この町にいらっしゃる王国の騎士団へと皆様を引き渡します」


その言葉を聞いて連れてこられた伯爵達は何も言わずに黙している。


「ところでルート君、この『土人形アースゴーレム』の維持って出来る?持続的に魔力を消耗するほうなら別の拘束方法を考えなければならないのよね。流石に君はこの町で有数の戦力だから殲滅力を上げるためにもいらない魔力消費は抑えておかないとね」


魔法の発動の方法は幾つかあってそのうちに"保持"と"維持"と呼ばれるものがあり、例えるならば"保持"は使いきりの電池みたいなもので"維持"は太陽光パネルのようなものである。

"保持"は電池のようなものから魔力を引き出してその電池の分だけ動きそれが尽きると形を失うというもので、"維持"は太陽光パネルのようなもので魔力を得続けることで動き、太陽が隠れるようにそれの供給が止まった途端に形を失うというもので両者は似ているようで少し違うものである。

それらの利点を合わせた蓄電池のようなものもあるのだがそれは割愛しよう。


セアラはルートが作った『土人形アースゴーレム』はどちらなのかを問いかけると、


「どれくらい持てばいいですか?」

「そうね、大体3時間程度持てばいいわ」

「そうですか、それならこのままで大丈夫です」

「それじゃあ隅っこのほうで拘束を解いたあと逃げ出さないように『土人形アースゴーレム』で取り囲むこと出来る?」

「出来ますよ。後逃げ出そうとした者の骨でも折るようにしておきましょうか」


ルートは出来ると解答したものの、対策案がどうにも酷くて、


「ルート君、流石にそれはやりすぎよ」

「そうですか、それではどうしましょうか。万が一を防ぐためにもある程度の恐怖は与えといたほうがいいと思いますけど」

「確かにそうかもしれないな。それじゃあ逃げ出そうとした奴は表に顔だけ出して埋めるのはどうだ?」

「なるほど、確かにそれなら簡単ですね」

「あまり許可は出したくありませんが、この状況ですし逃げ出されたりでもしたら最悪ですからね。仕方がありません、許可します」

「分かりました。『土人形アースゴーレム』、命令だよ。手に持った奴をこの部屋の隅っこに解放した後はそいつらを取り囲むように待機、逃げ出そうとしたら捕まえて表に顔だけ出して埋めておいて」


そういうと無骨な土くれがうんうんと頷き早速隅っこに移動すると、壁に向かって担いだり抱きかかえていた人たちを軽く放り投げてその周りにズンと隙間なく座り込んで待機した。


そうして出来上がった『土人形アースゴーレム』による包囲網を見て、


「・・・・・・私が頼んでおいてなんだけどなんだか怖いわ、アレ」

「ハハッ、なぜか分からないけどどこかしら怖いな、アレ」


何故か不評だったようだ。


「やっぱり『土人形アースゴーレム』に顔が無いからかな。」


とルートが小さい声で言うと、


「「それよ(だ)」」


どうやら聞こえていたようで声を揃えて納得したようだ。

そしてルートは不評な『土人形アースゴーレム』の改良点を考えていると不意に思いつき、


「お姉さん、手枷と足枷をつければよかったのでは?」


そういうと盲点だったと言わんばかりにポンと手を打つと、


「ああ、確かにその手があったわ!お願いできる、ルート君?後、私はセアラでいいわ。敬語もなしで」


セアラはそう言った。


「分かったよ、セアラさん」


そういうとルートは伯爵達が転がされているほうへと歩いていった。


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もう一つの連載作 テーマは独善の投影。
「辻ヒーラーさんは今日も歩く」
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