Chapter0:清算の始まり
【Chapter0:清算の始まり】
――でも時は満ちた。
奇しくも今日、二十歳の誕生日を迎え、俺の準備は完了した。
奴を殺す準備。
戦い方や身体能力のコントロールも十分できる。
クロコダイルスキンの扱い方も完璧。
二年前のように遅れを取ることはない。
そして俺の狙いは二つ。
【奴の命】と【俺自身の命】
俺は奴を殺す。
仇を取る。
だけどそれだけではダメだ。
【殺意は殺意を呼ぶ】
一回の殺しは新しい【殺意の円環】を生み出すだけだ。
――だから奴を殺したあと、俺自身も命を断つ。
もはや命なんて惜しくない。
俺が今こうして生きているのは仇を取るためだけ。
それが俺の生きる目的。
まだこの世に留まっていたい唯一のこと。
それさえ達成できれば、俺に未練などない。
でも、心のどこかに突っかかりを覚える。
今の決意に至るまで、
過ごしてきたみんなとの苦楽を共にした記憶があるからだと思った。
思い出が俺の心にブレーキをかけている。
みんなで過ごしたあの日々に戻りたいと思っている。
――もう戻れない。いや戻ってはいけない。
だから俺は暫くの間、
瞳を閉じ思い出に浸って、全てを清算しようと思った。
俺は三年前未だ俺がただの、
『ワイルド=ターキー』であった時へ記憶を遡らせるのだった。