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ChapterⅦ:決戦④

 

金属で覆われた不気味な通路を俺は疾駆する。

通路にはバラバラになった銀兵士の残骸が至るところに散らばっていた。

奥から絶え間ない銃声の数々が聞こえる。

俺は音を頼りに通路を進み、そして広間へ飛び出した。


「ッ!!」


そこではローゼズと銀兵士が激しい銃撃戦を繰り広げていた。

ローゼズは着剣したハミルトンのナイフで銀兵士を引き裂き、内部へビーンズメーカーを撃ち込んで倒す。

ローゼズは次の銀兵士へ向かおうと飛び退くが、背中が広間の壁当たってしまい、軌道がずれる。

その隙に他の銀兵士がローゼズに攻撃を仕掛ける。

ローゼズはやりづらそうな表情を浮かべながら、銀兵士と必死に交戦を繰り広げていた。

すると無防備なローゼズの背中へ一機に銀兵士が接近する。


「ローゼズッ!」


俺は一気に飛び、ローゼズに接近していた銀兵士を蹴り飛ばして撃破する。

俺はローゼズの背中に俺の背中を付け、ビーンズメーカーの銃口を突き出した。


「ワイルド!?どうして!?」

「お前を助けに来た!まずはここを乗り切るぞ!」


銀兵士が俺たちへ迫る。

俺とローゼズは合図もなく、しかしほぼ同時に飛び上がった。


「ッ!」


ローゼズの正確無比な銃撃は銀兵士を捉える。

俺の銃撃もまた銀兵士を1機1機確実に撃破してゆく。

だが、やはり狭い室内では戦いづらく、思うように銀兵士との距離を置けない。


―――ならまたアレをやってみるか!


丁度、複数の銀兵士が俺へ迫り、銃口を突きつけている。

俺は銃をホルスターへ収めた。


「ローゼズ!確実に避けろよッ!」

「なに!?」

「……うううっ、うわぁぁぁぁぁッ!」


俺はほぼ全身に渡ってクロコダイルスキンを発動させる。

銀兵士が一斉に俺へ向け銃弾を雨のように降らせた。

俺はソレを全身のクロコダイルスキンで受け止める。

腕を薙げば、銃弾は角度を変え、俺が身を翻せば周囲に散らばる。

クロコダイルスキンに弾かれ反射した弾は跳弾し、次々と銀兵士の方へ戻ってゆく。

狭い室内を縦横無尽に駆け巡る銃弾は次々と銀兵士を撃ち抜き、爆発させた。

広間に犇めいていた銀兵士は残らず俺の反射弾で駆逐され、全てスクラップとなった。


「全く、わたしがいるのに危ない」


ローゼズが俺の所へ降り立ち、文句を言う。


「そう言うな。ローゼズなら大丈夫だって信じてたからな!」


ローゼズは顔をほころばせ、


「ありがとう。信じてくれて」

「よし、プラチナのところへ急ぐぞ!」

コクリ!


俺とローゼズは地を蹴る。

刹那、俺は脇に殺気を感じた。視線を傾けると、脇にあった細い通路から一機の銀兵士が飛び出し銃口を俺へ向けている。

咄嗟に銃を構えるが、間に合わない。

銀兵士の銃声が鳴り響き、少し遅れて俺のビーンズメーカーから銃弾が放たれる。

銀兵士の鋭い銃弾はまっすぐと突き進み、先端が皮膚に触れる。

瞬間、俺は脇腹へクロコダイルスキンを表した。

一瞬、銃弾はクロコダイルスキンに受け止められ、速度を著しく減退させる。


「ッ!?」


だが突然異変が起きた。

銃弾を受け止めていたクロコダイルスキンが崩れた。

銃声が鳴り響き、俺へ銃弾を放った銀兵士は爆発する。

同時に、俺の脇腹に針一本程度の小さな傷をつけた銀兵士の弾が俺の足元へ落ちた。


「ワイルド!」


撃破した銀兵士から銃口を下げたローゼズは慌てた様子で俺へかがみ込んでくる。


「だ、大丈夫だ……」

「よかった!」


ローゼズは安堵の表情を浮かべる。

しかし俺は自分に起こった異変に驚きを隠せない。


―――確かに今、俺の意思に反してクロコダイルスキンが消えた。


これが何を意味しているのか、今の俺には分からない。

再び殺気を感じて振り返る。

またしても銀兵士が通路の向こうから飛び出し、銃弾を放った。

俺は身を翻し、クロコダイルスキンで銃弾を弾き返そうと、腕に意識を集中させる。

だが、俺の皮膚は一切の変化を見せない。


「うわっ!」


腕を引っ込め直撃は防いだものの、左腕の皮膚へ銃弾が掠め、赤い一文字の傷を浮かび上がらせる。

俺の代わりに隣にいたローゼズがビーンズメーカーを放ち、銀兵士を倒すのだった。

これで間違いなかった。


―――クロコダイルスキンが発動しなくなった。


どうしてこうなったのか、俺には分からない。

だが事実として俺の意思ではもう絶対防壁であるクロコダイルスキンは発動できない。

それだけははっきりとわかる。


「ワイルド……?」


ローゼズは心配そうな顔をして俺を見ている。


―――クロコダイルスキンが無くなった。それでも俺にはやることがある!


プラチナを倒し、ここから生きて戻る。

アーリィがいる世界を守り、俺はアーリィの下へ帰りたい!


―――また会えたアイツと一緒に生きていきたいから!


俺は立ちあがった。


「行くぞ、ローゼズ!」


先んじて地を蹴る。


「ま、待って!ワイルド!!」


ローゼズもまた遅れて俺を追ってきた。


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