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ChapterⅦ:決戦②



「てめぇ、殺す!ぜってぇ殺すッ!!」


先にブラックがナイフを構えて飛んだ。

俺もまたマッカランへビーンズメーカーを放つ。

だが少し早くマッカランが俺へ向け発砲した。

回避をしたため、ビーンズメーカーの照準が少しずれ、俺の弾はマッカランを掠めるに留まる。


ゃあぁぁぁぁッ!」


その隙にブラックが斬りかかるが、


「フッ、所詮は偽りの【黒】ですね?」


マッカランは不敵な笑みを浮かべながらブラックのナイフをバグナグで受け止めていた。

そのまま、ブラックを絡めとり、体勢を崩させる。


「うっせぇ、ババアッ!僕は本物の【黒】になるんだぁーッ!」


 体勢を立て直したブラックは再び、マッカランへ向けナイフの鋒を突き出す。

マッカランはバグナグで受け流す。

既にマッカランの背後をとっていた俺は再びビーンズメーカーを放つ。

するとマッカランは高く飛び上がった。


マッカランの先に居たブラックは瞬時にナイフを振り、俺の弾を砕く。

殺気を感じ、すぐさまクロコダイルスキンを発動させた左腕を掲げる。

マッカランのバグナグが俺の腕を捉えた。俺とマッカランの間に赤い火花が散る。


「どうあっても通してくれないんだな、マッカラン?」


俺がマッカランへそう問うと、


「当然だ!」


俺とマッカランは同時に引き金を引いた。

俺は身を引いて銃弾を避け、マッカランは体を翻して、俺の射線から逃れる。


―――さすがはマッカランだ、隙がない。


マッカランは俺とブラックを相手にしても、未だ顔色一つ変えていない。

マッカランがこの二年で以前対峙した時よりも確実に強くなっているのが良くわかる。

しかし、ここで奴に時間を取られてる暇は無い。


―――プラチナはローゼズではなく俺が殺す!


なんとかマッカランを振り切る方法はないかと思考を巡らせる。


「ああもう、うざってぇ!」


突然、ブラックが獣のように吠えた。

すると、プラチナとローゼズが向かった岩山の一部がまるで扉のように開く。

そこから無数の銀兵士が現れた。

ブラックの体表へ瞬時にクロコダイルスキンが浮かぶ。


「みんなまとめて消し飛べぇェェェェ!!」


飛来した銀兵士軍団は揃って、ブラックへ向け銃弾を放つ。

嫌な予感感じた俺と、恐らく同様の感覚を得たであろうマッカランは同時に飛び上がった。

 

 銀兵士が放った数え切れない程の弾丸がブラックへ向け降り注ぐ。

ブラックの体表を覆うクロコダイルスキンは銀兵士の弾丸を弾き、跳弾させる。

弾は様々な角度へ反射し、周囲を飛び交った。

その殆どが様々な角度から俺とマッカランを狙う。


俺とマッカランはステップを踏み、銃やナイフでこちらへ向かってくる跳弾を弾く。

しかし銀兵士は延々と銃弾を放ち続けている。

それに加え、銀兵士軍団が鋭い電撃攻撃を始めていた。

青い稲妻が足元を襲う。

縦横無尽に駆け巡る反射弾と足元を襲う電撃攻撃は回避するのが精一杯で、俺とマッカランに攻撃の隙を与えない。


「あはははは!あーっはっはっは!蜂の巣にしてんやよ!黒焦げにしてやんよ!あはははは!!」


ブラックはそう夢中で笑いながら、銀兵士の銃弾を反射させ続けている。

道は閉ざされ、俺とマッカランはその場から一歩も先へ進めない。


―――早くブラックを抜けないと!でもどうしたら!?


その時、それまで延々と俺たちへ向かっていた銃弾をと電撃がぴたりと止む。

地面が微かに揺れているのが感じられた。


「これは……!」


マッカランは奥の岩山へ視線を飛ばす。


プラチナとローゼズが向かった壮大な岩山が揺れていた。

僅かに下生えが生えている岩肌がボロボロと崩れ始め、断崖が崩落を始める。

最初は細かった亀裂が次第に大きく広がり、岩山の原型を崩してゆく。

その先からは鈍色に輝く鉄の装甲が見え隠れしている。

三角形をしていた岩山は崩れさり、その中から空を貫かんばかりの巨大な金属の球体が姿を表した。

その形はまるで山のように巨大な銀兵士。


「ククク……アーッハッハッハ!ついに、ついにこの時が来たんだぁ!」


ブラックが盛大に笑い叫ぶ。

巨大銀兵士の上部がゆっくりと左右に開き、中から頭部のような構造体が姿を表した。

目の箇所に、赤い凶悪な光が宿る。


「これこそ僕とプラチナの夢を叶えるもの!世界を黒く染める破壊神!その名も……スペぇサイドぉーッ!!」


ブラックの叫びがこだまする。


「なんなんだよ、これ……?」


俺は目の前の光景が信じられず、ただ見上げるだけだった。


【山のように巨大な銀兵士】


こんなものが世の中に存在していたなんて信じられない。

巨大な銀兵士スペサイドは下部のシャッターを展開して、長く巨大な砲門を現す。


「飛べッ!全力で飛ぶのだ、少年ッ!」


焦りの表情を浮かべたマッカランはそう叫ぶと先に上へ飛び退く。

現実に戻り、巨大な砲門に嫌な寒気を感じた俺もまた飛んだ。


 刹那、スペサイドの砲門が火を吹く。

発射による物凄い衝撃は高く飛び上がった俺とマッカランそしてスペサイドの前に立つブラックでさえも紙のように吹き飛ばす。


 スペサイドの放った巨大な砲弾は谷間の一本道へ落ちた。

一本道が一瞬で激しい爆炎に包まれる。

そして爆炎が吐けた先の光景を見て俺は唖然とした。

谷間の一本道が一瞬で消し飛んでいた。

そればかりは谷間と道はなくなり、そこは巨大なクレーターと化していたのだった。


「凄いよ!これ凄いよ!凄い凄い凄い、すぅーごぉーいぃ~!!濡れちゃうよ、僕グチョグチョに濡れちゃうよぉ!」


ガレキを押し退け立ち上がったブラックは狂ったように興奮し、

頬を真っ赤に染めながら上気している。


そんな奴の背後に佇むスペサイドがにわかに揺れ始めた。

球体背部の装甲がゆっくりと持ち上がる。

持ち上がったソレはまるでスペサイドの背中から生える四本の腕のように見えた。

腕と本体の間から細かい粒が次々と排出されてくる。


銀兵士だった。

数えるのも嫌になるほどの銀兵士が俺とマッカランへ向け飛来する。

銀兵士軍団は俺とマッカランへ向けて一斉射撃を開始した。

ブラックの反射弾の比ではない数の銃弾が俺とマッカランへ降り注ぐ。


「ちぃっ!」


 俺はクロコダイルスキンと銃を併用して銃弾を撃ち落とす。


 マッカランもまたステップを踏みながらオートマチックピストルとバグナグで銃弾を弾くがそれだけ。

幾ら銀兵士を倒そうとも、俺たちへの攻撃が緩むことは微塵もない。


突然、俺の頭上に強い青白い光が灯った。

見上げてみれば、スペサイドの背面から伸びる四本の腕が紫電を帯び、青白い輝きを宿している。


「来るぞッ!」


 俺がそう叫んで飛ぶと、マッカランもまた飛んだ。

刹那、スペサイドの四本の腕から壮絶な青い稲妻が迸る。

稲妻は数百機にも及ぶ銀兵士を巻き込み、目下にブラックがいるにも関わらず、地表を黒こげに焼き払う。

無尽蔵にスペサイドから現れる銀兵士、そしてスペサイドの激しい放電攻撃に俺とマッカランは成す術を持たず、ただひたすら回避を繰り返して逃げるのみ。


「【死】をもたらすために【破壊】を!世界を真っ黒に!そうだ!これだよ、これ!僕はこの圧倒的な力が見たかったんだよ!あーははははっ!!」


ブラックの不快で狂気に満ちた声が響き渡る。


―――耳障りな声を上げるブラックを今すぐにでも殴り飛ばしたい!


だが俺はその場で銀兵士とスペサイドの攻撃を避けるので精一杯だった。

その時、回避を続ける俺の横へぼんやりと青白い光が飛来してくる。

それは粘土のように変形し、


『どう?スペサイド、凄いでしょ?』


青白い光はプラチナの姿見となって俺にぴったりとくっついてくる。


『お兄ちゃん最後の忠告だよ。もし、今すぐにでも私の所へ来るって言ってくれるならお兄ちゃんだけは見逃してあげる』

「ふざけるな!」


俺が強く一蹴すると、プラチナは少し寂しそうに顔をする。

だがすぐにいつもの無表情に戻った。


『このスペサイドはね、全ての遺跡と接続して一斉に操作することができるの。スペサイドが全ての遺跡と接続を終えるまであと15分。接続後わたしはアンダルシアンへ、ううん、この星に存在する全ての大陸へ一斉にバーボンを撃ちこむ。それが終わりの始まり。後はこのスペサイドを使って、残ったものを綺麗に片付けて行くだけ』


「世界がどうなろうと知ったことじゃない!でもお前は俺が殺すッ!必ず殺すッ!」

『無駄だよ。もうお兄ちゃんは私を殺せない』

「殺す!必ずッ!」

『……懸命な判断を期待してるよ、お兄ちゃん…… 』


プラチナを形作っていた光が粒子となって消えた。


 俺は懸命に銀兵士の銃撃とスペサイドの雷撃を避け続ける。

だが、幾ら【黒】である俺であっても、機械ではなく人間。

次第に呼吸は乱れ、全身の筋肉が悲鳴をあげ始める。

幾ら力を振り絞って銀兵士を倒しても数は減らず、雷撃を避けても俺とスペサイドとの距離は一切縮まらない。


「クッ!邪魔だぁ!」


マッカランもまた額に汗を浮かべながら回避を繰り返し、銀兵士を撃ち落としているがそれまで。

俺とマッカランはこの場へ完全に釘付けにされていた。


 拮抗状態は俺に焦りをもたらす。

このままここで回避を続けていても、体力が尽きるのは確実にこちらが先。

なにか突破口はないかと考え続けるが、思考する暇すら銀兵士とスペサイドは与えない。

だが近づくことができない。

俺は歯がゆさと悔しさのあまり奥歯を強く噛み締める。


その時、俺は背中が悪寒を得た。

鋭い殺気を感じて咄嗟に振り返る。

一機の銀兵士が完全に俺の後ろを取り、機関銃の銃口を構えている。

銃を向けようとするが間に合わない。


「俺は仇を、アイツの……アーリィの仇をぉーーーッ!」

「アーリィライジングスマァーッシュ!!」


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