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ビーンズメーカー ~荒野の豆鉄砲~  作者: DSSコミカライズ配信中@シトラス=ライス
VolumeⅤー再臨の黒ChapterⅤ:命、燃やす刻(とき)
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ChapterⅤ:命、燃やす刻(とき)⑥

「スーパーアーリィーサンダーキィィィックッ!!」

「!!」

「うひゃッ!」


ガトリングの方は鋭い飛び蹴りでボウモワごとアードベックを思い切り吹き飛ばした。

アードベックの体勢が崩れる。


「ハーパー!未だ終わってはおりません!剣をお取りなさい!!」


レイピアの方が叫び、私は半ば反射的に、


「は、はいッ!……ぬわぁぁぁぁぁッ!!」


体中の全ての力を振り絞って立ち上がり、地面に突き刺さったままの二刀一刃のレイピアを抜く。

接合部分を指で弾き、分解して、


「ジムさん、行きますよッ!」

「わ、わかったですっ!」


私とジムさんはそれぞれレイピアの柄を握り締め、アードベックへ向け突き進む。


「ヴヴ……ヴヴっ!」


ようやく立ち上がったアードベックの左右で私とジムさんはレイピアを構える。

そして、


「行くですッ!」


ジムさんが地を蹴り、


「せやぁッ!!」


私とジムさんは互いにレイピアを薙ぎ、アードベックを過った。


「フゥーッ……」


私は静かにレイピアを鞘へ戻す。

アードベックの胸に刻まれたX字の傷口が更に深まっている。

勝負は決した。


「ヴヴ……ヴ……ミ、見事だ……アインザックウォルフ……いや、快傑ゴールド……俺の負けだ……」


アードベックは首を少し、レイピアを持った影へ傾けた。


「フラン、ソワ……」


アードベックは私とジムさんの間で大爆発を起こした。

無数の金属片が飛び散り、煙が履けた先には何もない。

アードベック=アイラモルトの最後だった。


「た、退散じゃあぁ~!!」


ボウモワはそう声を震わせ、その場から逃げようと掛け出す。


「逃がしは致しませんッ!」


時計台に残っていた影がボウモワまで飛び降り、レイピアで切り付ける。


「ひ、ひやぁ~!」


ボウモワは手にしていた杖を突き出す。

杖はボウモワの代わりに真っ二つに切り裂かれた。

切り裂かれた杖がボンっと小さな爆発を起こす。

すると突然、周囲から何かが地上へ落ちる音が次々と聞こえ始めた。


「ハーたん、あれをみるです!」


ジムさんが指を指した先には上空に停滞する銀兵士の姿があった。

しかし銀兵士は次々と、地面へ吸い寄せられるように落下している。

それは私達の付近にいた銀兵士も同様だった。

地面へ落下した銀兵士はその後ピクリとも動かず、頭部の構造体からは赤い輝きが消失していた。


きっとボウモワが持っていた杖は銀兵士を操るための道具だったのだろう。

それを破壊され、銀兵士は銀兵士は動かなかくなった。

恐らくそういうことだ。


「ゴールドォー!ジムぅー!無事かぁー!?」


馬に跨った竹鶴姫が一目散にこちらへ駆け込んできた。

ローヤルもまた馬に乗り併走していた。


「何が起こったですか?」

「理由は分からないが突然銀兵士が動かなくなったんだよ。それに伴ってプラチナに組みしていた暴徒達も皆投降したんだよ」


ジムさんの問いにローヤルが答える。


「じゃあ……」

「俺たちの勝利だ、ジム!」


マドリッド全域から勇ましい勝どきが響き始める。

それまで銃声と悲鳴ばかりが響き渡っていたかつての首都には久方ぶりに人の生命力に満ちた大音声が絶えることなく響き渡った。


その時、道の向こうから一台のトラックが猛スピードで接近してくるのが見えた。

トラックは車体をガクンと揺らしながら私たちの前へ止まった。


「当主様!急いで荷台にお乗りください!」

「バーンハイム!?どうして貴方が!?」

「ハーパー!早くこっちへ来てゴールドクロスを脱ぎなさい!」


荷台からは何故かジョニーさんが顔を覗かせていた。

見知った顔が突然次々と現れて頭がこんがらがっている。

しかしそれを確認する前に未だやることが私には残っている。


「ボウモワは!?」


私は周囲へ視線を巡らせる。

しかし既にどこにもボウモワの姿は無い。

どうやらこの戦況を見て逃げ出したようだ。


「ほらハーパー、ぼさっとしてないでさっさと乗る!ワッドを助けにスペサイドへ行くよ!こっからじゃ車でも丸一日かかるんだからね!」


ガトリングを担いだ彼女は私の背中を叩いて、さっさとトラックの荷台へ乗り込む。


「そういうことなら妾達も参るぞ!続けぇ!響、山崎、白州!」

「「「ははっ!!」」」


竹鶴姫もいつに間にか現れた響たちを引き連れてトラックの荷台へ乗り込む。


ジムさんはローヤルを見ていた。


「後のことは任せてくれ!」

「ありがとうですローヤル!!」


ローヤルへそう云ったジムさんもまたトラックの荷台へ乗り込んだ。


「さぁ、参りますよハーパー」


懐かしく、そしてもう二度と聞くことができないと思っていた声が鼓膜を揺さぶる。

振り返るとそこには死んだはずの姉、フランソワ=アインザックウォルフが居た。

私の涙腺は一気に崩壊する。


「お、お姉様、どうして……?」

「事情は後ほどゆっくり話します。とりあえず今は急ぎましょう」


私は涙を拭い、


「分かりました!」


 私とフランソワお姉様はみんなが待つトラックの荷台へ飛び込む。

バーンハイムがハンドルを握るトラックの内炎コーン機関が轟を上げた。

私達を乗せたトラックは爆音を響かせながら猛スピードで走り出す。


―――ワイルド様、もう暫しお待ちを!ハーパーは今参ります!




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