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(六)蛇足

(六)蛇足


 その後、ヒデ爺のクルマで送ってもらい、俺達は無事帰宅した。

(帰りは安全運転してくれたので車酔いはしなかった)

 そして家族四人でちょっと遅めの昼食を摂ったあと、

 俺はシャワーを浴びてから居間のコタツに入り、

 ミカンを食べながら、ぼーっとテレビを見ていた。

 父と母は車に乗って近所にあるエオンモールに買い物に

 出かけた。妹の鏡花は二階の自室にいる。

 たぶんネトゲが乙女ゲーでもしているのだろう。


 テレビをしばらく見てたら急にニュース速報が入った。

 画面が中継の映像に切り替わる。

 どこかで火事があったようだ。消防隊員が必死なって

 燃え盛る炎に向かって放水している。

 何だかいやな予感がする。食い入るように画面を見つめた。

 アナウンサーが興奮気味に現場レポを始めた。

 

「こちらは長野県A市にあります練石寺です!

 えー先ほど十五分ぐらい前から寺の本堂のあたりで

 火災が発生しました! 火災の原因は不明ですが、

 付近の住民の話では火ダルマになった子供が走り

 回っている姿が目撃され……」


 マジかよ、練石寺って照元さんのお寺じゃないか!

 担架で誰かが救急車に運び込まれるシーンに変わった。

 誰だろう? 顔は分からないが、炭染めの僧袴を着た

 お坊さんだった。どうしよう洒落になってない。

 それに火ダルマの子供がどうのこうの言ってたけど、

 もしかして、あの少女の仕業なのか?

 照元さんが供養したんじゃなかったのか?


 突然、玄関のチャイムが鳴った。

 俺が慌てて玄関に出ると、おトミ婆さんが立っていた。 

 肩越しにヒデ爺のミニバンが見える。


「ヒロシ! 大変じゃ! 

 照元のヤツ、供養をしくじったのかもしれん。

 アタシたちは、これから練石寺に行く。

 すまんがアンタも一緒に来ておくれ」


「えっ? 俺も?」


 そりゃ照元さんには借りがあるけど、どうして俺が

 行かなきゃならないんだ。俺、ただの学生なのに。


「アンタには霊感があるようじゃからな、あの餓鬼憑きを

 探すのを一緒に手伝って貰いたいのじゃ」

 

「ちょ、ちょっと待って」


「四十秒で支度しな」


 いくらなんでも強引すぎるだろ。なんだよこの超展開。

 しかし、おトミ婆さんには逆らえない。

俺は急いで上着を着込んでヒデ爺のミニバンに乗り込んだ。


「ヒロシくん、すまんのぅ」

 

 ヒデ爺が白髪頭を掻きながら言った。


「さあ、はやく車を出しとくれ!」


 助手席に座ったおトミさんは目を輝かせ、

 意気揚々としている。


 ああ、まいったな。とんだ年末になりそうだ。

 俺は後部座席に座りシートベルトをした。

 またあの恐ろしい化け物と会うのか……イヤだなぁ。


 ヒデ爺のミニバンは急発進し、

 ものすごい速さで練石寺に向かって走りはじめた。


 おトミさんは、懐から大幣おおぬさを出してこう叫んだ。


「アタシたちの戦いはこれからじゃ!」  






 ※お読みいただき、誠にありがとうございました。

  次回作にご期待下さい!

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