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彼と彼女のおはなし  作者: ひな
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大学時代のおはなし



「真奈美ー。今日バイトないって言ってたよね?」

「うん」

「じゃあお願い!合コン出て!」

「えー、やだ」


女子大が合コン三昧だというのは嘘だ、という話を聞くけど、

少なくとも私の学科では合コン三昧のようである。

まぁ、わたしはバイトが忙しくてほぼ参加しないけど。


「お願いします!」

「わたしの貴重なバイトのない日なのに……」

「一人これなくなっちゃったの!」

「寝たいのに……」

「お金出すから!」

「よし、何時から?」


タダでご飯食べれるなら行くしかない!

どうせ私みたいなやる気ない子なんて相手にされないんだから、食べまくってやる!



ほかの子たちは出会いを求めてせっせと合コンやらバイトやらでなんやかんやしてるらしいけど、

私はただお金を稼ぐためにバイトをせっせとしている。

ちなみにバイト先のカフェではほとんどが女性店員である。

厨房に男性もいるけどお父さん世代の方々ばかり。つまり出会いなし。


高校を卒業して約2年、つまり

女子大の空気に感染されて2年。

女子力は徐々に低下していき、今では立派な干物女になった。



卒業してから一度も、樹くんには会っていない。



クラス会を何回か開いてはくれたけど、バイトが忙しくて参加することはなかった。

仲のよい友達たちとは定期的に遊んでるし。



「今日はどこの大学の人たちなの?」

「えーっとねー、A大!」

「え、A大なの!わー、良質物件!!」


きゃっきゃっきゃ、と楽しそうな会話を交わす友達たち。

良質物件、つまり顔よしスタイルよし将来よし、な人たちだ。なるほどなるほど。


「いい物件見つかるといいねぇ」

「真奈美も行くんでしょ。やる気だしてよ」

「えー」

「まさか……その顔で行くつもりじゃないよね?」

「だめ?」

「ちょっと放課後来てもらおうか」


きゃー。呼び出しくらったー。

なんてふざけたことを言っていたら教授が入ってきたので一応会話終了。

でもきっとラインで良質物件の話を続けるつもりだろうなぁこの人たち。


大学生になって最初のころはちゃんとお化粧もしていた。

身なりも気にしてたし。

でも周りが女子ばかりなんだ、と思ったらやる気がなくなっていき。


今ではほとんどすっぴん!……自慢できることじゃないか。


「(でも今日は比較的おしゃれな格好してるし、大丈夫だよね)」

体育がある日はジャージで登校するような女になってしまったのだ。

これぞ女子大マジック。なわけがない。




「はい真奈美。ちょっと面かしてもらおうか」

「どうぞー」

「もうちょっとやる気だそうよ真奈美。良質物件だよ?」

「んーそうだねー」


メイクが得意な友達に全部お任せで化粧してもらう。

一応ベースはしてきてるから、目をぱっちりさせてもらおう。


「それとも好きな人がいる、とか?」

「……いやいやいやいや」

「忘れられない人がいるとか」

「なに言ってるんだか」


はは、と友達に乾いた笑いをお届けする。そしたら笑うなと怒られた。アイラインが曲がるでしょ、と。



好きかどうかなんてもうわからない。

あれから2年もたってしまったんだ。



「(……元気かなー、って時々思う程度ですよ)」




もう、樹くんの顔すらしっかり思い出せないんだから。




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