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第8話 閑話 名無しの手記

閑話回です。

ここらで別視点も挟みたかったのです。


因みに、記念すべき閑話の主役第1号は名前すら無い子です!←

 我輩は猫である。名前はまだ無い。

 猫でも無いし、名前もあるのだが、ここではプライバシーもある事だし表記しないでおこう。


 まず自分の事を少しばかり紹介したいと思う。

 俺は、竜泉りゅうせん学園高校1年3組に通う一般人だ。それだけだ。


 俺がこのクラスへと入った時、そりゃもう人生の勝ち組だと思った。

 なにせ、そこらのアイドルばりに可愛い子を含め、周りは平均より上と言える子ばかりだった。

 まあ、男子の方も似たような傾向にあったが、そちらは問題ない。

 あのイケメンズみたいなのは彼女が居ると相場が決まっているし、何よりも高嶺の花って奴だ。

 実際に付き合うとしたら、俺みたいな平均より若干上って程度に納まってる奴の方が良いに決まってる。勉強だって中学じゃかなり良い方だったしな。


 勉強に恋愛に、俺はこの学校で勝ち組人生を歩む物だと思っていたんだ。そう、この時までは。


 まず勉強だが、ぶっちゃけて言うとこのクラスの平均以下だった。

頑張って勉強してこの学校に入ったが、これが生まれ持ったスペックの差か。


 そして、イケメンズ。

 これもぶっちゃけると、慣れた。最初は見るとムカついていたが、人間ってのは慣れる動物なんだなって言うのを改めて感じた時だった。


 アイドル達は、モテモテって奴だ。

 中でも1番人気は片桐空かたぎり そらさん。

 黒髪ロングで気の強そうなつり目。スラッとした体躯にも拘らず、出る所はしっかり出た抜群のプロポーション。

 身長が170ある俺が、160そこそこの彼女より腰の位置が低かったのは凹んだが、それは重要では無いだろう。

 今年度の「竜泉学園踏まれたい人ランキング」は、この人で決まりだろうと言われている。

 ん? そんなのがあるのかって? アンダーグラウンドな世界に入ったら戻れなくなるよ?


 そんなモテにモテる彼女だが、同じクラスの人間は誰1人として告白していない。

 なぜかって? どう見ても男嫌いだからさ。女子と話してる時はコロコロと楽しそうに 笑っているが、男が話しかけた瞬間に氷の表情に変わる。いや、顔は笑ってる。でも、目が凍ってるんだ。


 あの顔を見た瞬間はやばかった。俺の中で何か新しい扉をノックする音が聞こえたね。

 あの扉を開けてしまったら、俺は帰って来れなくなるかもしれない。そう感じたので、進む事は無かったが、あれは本気で危なかった。いや、もしかしたら扉は開いてしまってるのかも。いやいや、そんな事は無いはず。

 よし! 考えるのを止めよう。怖いからね!


 そして、俺が決定的にこの学園へ入った事を後悔したのは、この前友人と一緒に遊んだ時の出来事の所為だ。


 その日、俺は中学時代の級友と一緒に街へ繰り出していた。

 ゲーセン巡りをし、ちょっと休憩しようって事でファーストフード店に向かってた時の事だ。

 友人から、あの子めっちゃ可愛くね? と、興奮した様子で尋ねられた。

 そちらに目をやると、確かに普通・・に可愛い女の子が歩いていた。でも、そんなに騒ぎ立てる程の顔でも無い。

 そう伝えると、信じられない物を見たと言う顔をする友人。

 そして、中学までなら(・・・・・・)可愛い可愛いと(・・・・・・)一緒に騒いでいたのに(・・・・・・・・・・)。と言われ、自分の異常さに気がついた。


 そう、かつての自分ならあの子を見た時から付き合う事を夢想しなかったか、と。

 もしも手が触れ合う事があろう物なら、教会のベルが鳴り響く妄想まで飛躍しなかったか、と。

 あ? 妄想が酷いって? うるせーよ。サクランボなめんな。


 それに気がついた時の絶望感と言ったら無かった。

 知らず知らずの内に、あの異常なクラスに慣れてしまっていたのだ。

 その結果が、前までは可愛いと思ってた子を普通に感じると言う、由々しき事態である。


 自分の将来にも深刻なダメージを与えそうな問題に、気付いた時は既に手遅れ。

 だが、女の子と付き合ってみたい願望は抑えられない。


 そして、自分の好みとか顔の偏差値は全くあてにならない事が分かったので、せめて性格が良い子と付き合う事を頑張ろうと心に決めたのであった。


 人間顔じゃないっすよ。ハハッ、俺最後に良い事言ったね?

 あ、自分で言うなって? さーせん。

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