第6話
20万PV、3万超のユニークありがとうございます!
お気に入りも2千件オーバーです。
こんなに期待して頂いてるのに、微妙な感じになっちゃいました。
この主人公、男と絡ませると碌な事言わない……orz
「では、今日は学級委員を決めましょう」
自薦他薦は問わないので、誰か居ますか?
と、帰りのHRで鹿が聞いてくる。
ん? なんでいきなり帰りのHRなのかって?
普通に授業して、普通に昼食べて、普通に過ごした日常を聞きたいのか?
今日は、希帆の事もあまり弄ってないから見所なんて皆無ですよ?
あ? いつもの告白イベントはどうしたって?
あんなもん全カットだよ畜生。何度描写させんだよ。
別に「お付き合いを前提に結婚して下さい!」とか言われてねーよ。いや、言われたよクソが。
……荒むねー。可愛い子見て癒されるべきだね。隣で半口開けて鹿を眺めてる希帆で癒されよう。そうしよう。
「宝蔵院君が良いと思います!」
あ、そういえば学級委員決めるんだっけ。
しかし、宝蔵院って誰だっけか。あ、理事長と同じ苗字のメガネだ。
うん、彼なら異論は無い。勉強できそうだし、鬼畜メガネだし、何も問題ないね。
「いや! ここは片桐さんで!」
いやいやいや、なんで俺なんですかね。
そんな面倒な役職ご免被りますよ!
「いやいや! 宝蔵院君でしょう!」
そうだよ。彼にやって貰おうよ。
頑張れ宝蔵院。負けるな宝蔵院。
「何言ってんだよ! 片桐さん以外に居ないでしょう!」
「アンタが何言ってんのよ。宝蔵院君以外に居る訳無いでしょう!」
その後、クラス中が宝蔵院派と片桐派で分裂し、人様の苗字を言いまくる。
おい誰か早く「じゃあ、俺が」とか言えよ。
「……じゃあ、宝蔵院君と片桐さんで委員長と副委員長をやってもらいましょうか」
……え?
「「「異議無し!」」」
お、おい鹿! てか、なんでこいつ等人の名前でダチョ○倶楽部の真似事やってんだよ!
「宝蔵院君、片桐さん。そう言う訳ですので、2人のどちらが委員長やるか話し合って決めて下さいね」
いや、勝手に決めんな! 本人納得してないからね?
希帆、頑張ってね! じゃない! やりたくないの!
ああ、クソ。なんで俺が選ばれてそんなに嬉しそうなんだよ。可愛いなあ! もう!
クラスの奴等は、2人なら安心だとか、どちらがなっても問題は無いだろうとか、皆好き放題言ってやがる。
何この空気。拒否できない流れじゃないですかー! やだー!
……くそう。
ならあれだ。絶対に委員長になってやるものか。委員長は宝蔵院にやらせるんだ。
最終手段を使ってでも委員長は回避せねばならん!
「と言う訳で、なぜか僕と君が学級委員をやる事になりました」
話し合いをする為、前に出ると宝蔵院にそう言われました。
彼も不本意そうですが、俺は副委員長の座を譲る気は更々無い。
なので、彼には犠牲になってもらいましょう。
「はい。1年間、宜しくお願いします。委員長」
「……え?」
「大変でしょうが、副委員長として一生懸命頑張りますので、宜しくお願いします」
そう言って、トドメに微笑んでみる。
そう、俺が選んだ最後の手段。それは、ザ・ごり押しだ!
俺が微笑んでお願いすれば、大抵の事は今まで何とかなった。女ってずるいなと思う前に、男って馬鹿だなと思う。
あ、因みに母にはこれは効かない。凍て付くような笑顔を逆に向けられたのは思い出したくも無い。
弟は微笑む以前の問題として、俺の言う事はなんでも聞く。便利だけどそれで良いのか弟よ。
父? ああ、そう言えば父の描写をした事が無いな。忙しくてあまり家に居なくて、ちょっと普通の職業じゃないとだけ言っておこう。
「……」
宝蔵院は無言でこちらを見ている。
俺の微笑みにやられた訳では無さそうだが、無言は肯定って事で話を進めよう。
「先生、決まりました。宝蔵院君が委員長をやって下さるそうです」
「! あ、ちょ」
ふふん、今更遅いさ。
先手必勝。機先を制す。言ったもの勝ち。ここで否とは言えんだろうて。
性格が悪いって? 男相手に何を今更。
「そうですか。では、改めて委員長と副委員長は皆の前で挨拶をお願いします」
まあ、その程度は構わんか。
横を見ると、額に手を当て溜め息を吐く宝蔵院。仕方ないかって呟きが聞こえた。
「えー、不本意ながら委員長を務める事になった宝蔵院信綱です。なったからにはベストを尽くしますので、宜しくお願いします」
うん、良い心がけだね。
諦めたら試合終了なんて言うけれど、時には諦める事も肝心ですよ。
てか、名前信綱って言うのか。宝蔵院信綱。槍の達人なのか剣聖なのかはっきりして欲しいんだが。
ネタが分かんないって? ごめんねー。
宝蔵院が俺の事を見る。
ああ、挨拶終わったから、俺もさっさとやれって事ですね。分かりました。
「副委員長を務めさせて頂く事になりました、片桐空です。頑張りますので宜しくお願いします」
パチパチパチと拍手が鳴る。
宝蔵院が挨拶した時も拍手してたけど、このクラスの結束が固いのかどうか今日だけでよく分からなくなったなあ。
今までは特異な人が多かった所為か結構バラバラだったけど、今日はあんなだったもんな。
……乗りが良いだけって言う可能性は考えないでおこう。
その後、他の委員も決めたが、自分から立候補する人が出て滞り無く決まったよ。やってらんないね。
「では、委員の人は水曜の放課後に集まりがありますので、宜しくお願いしますね」
最後に鹿がそれを言ってHR終わり。
集まりとか面倒だけど仕方あるまい。やれば楽しいかもしれんし、頑張りますかね。
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「そーらちゃん! 俺の事覚えてる? 覚えてるよね! この前の返事考えてくれた?」
希帆と楓ちゃんと一緒に帰ろうとしたら、面倒なのが来た。
あれだあれ。前回しつこく絡んできたチャラ男だ。前に自己紹介されたと思ったけど、名前なんだっけか。
思い出せないって事は重要では無いんだろう。そうだ、茂武英さんと名付けよう。素晴らしい名前だ。
てか、お前に名前で呼ぶ許可を与えたつもりは無い。と言うより、自己紹介をした覚えが無い!
なんで知ってるの? 怖いよ?
「あ、そっちの子達も可愛いね! どう? 俺と友達になろうよ」
……この生き物は俺の可愛くて大切な天使に何色目使ってくれてやがるんですかね。
「この前の返事ですが、スカイツリーの頂上からパラシュート無しでジャンプできたら、友達になる事を考えますよ?」
「……え?」
「ですから、スカイツリーの頂上からジャンプできたら考えると言ってるんです」
なってあげる訳じゃない。考えるだけ。これ重要。
因みに、この台詞。にこやかに微笑んで言ってます。目が笑えてるか分からんけどな。
「え……いや、無理っしょ」
「なら、私達に話しかけないで下さいね」
その位のギャグ補正が無いと、お前みたいなチャラ男には近づきたくも無い。
この前と言い、今日と言い、目が胸に行ってるの分かってんだよ。気持ち悪い。
「え……もしかして俺の事、嫌い?」
返事は微笑んだだけ。
嫌いってか怖いのが大きいかな。自己紹介もして無いのに名前知ってて、しつこくて。
コイツだけじゃ無いんだけど、初対面で告白して来る奴は皆怖い。目付きも下卑てて嫌だし、何よりも俺の知らない男が、俺の名前を知ってるのが怖い。
ん? 女の子は良いんだよ。可愛ければなんでも許すよ。それが正義だもん。
あー、今日は良い事無かったな。
思考も荒みっぱなしだ。明日は良い事あるといいな。
あ、お菓子今日作ろう。そして、明日希帆と楓ちゃんにあげるんだ。きっと喜んでくれるに違いない。笑顔が可愛いに違いない。我ながら良い事思いついた!
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お菓子作りも一段落し、焼きあがりを待つだけになった。
夕飯後にお菓子作りを始めたので、勉強は少ししかできなかったが、問題ない。
そんな事より可愛い笑顔の方が重要だ。
因みに、作ったお菓子はフロランタンな。クッキー生地にキャラメルでコーティングしたアーモンドを乗せて焼成したお菓子だ。
焼き上がりを待つ間、暇なのでコーヒーを飲みながらニュースを見てる。
―本日20時頃、スカイツリーを登ろうとしていた、住所不定無職の茂武英彦容疑者53歳を建造物侵入罪の現行犯で逮捕しました。通報した少年は、「これ登れるのかなと思って眺めていたら、突然男性が目の前で登りだしたので驚き、慌てて通報した」と我々の取材に答えてくれました。近く―
……噴き出してコーヒー零しちゃったよ。
偶然だよね? これ偶然だよね! 少年ってアイツじゃないよね!
今日は碌な日じゃないや。
焼き上がったら切り分けてすぐ寝よう。
皆が! 自然と! メガネと読むまで! ルビを振るのを! 止めない!