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10話

 集落から出発したルシアはフェリルを背中に抱えていた、一行はエティアスとルキフを先頭に島で一番高い山を目指していた、道中何度かゴブリン達やコボルト達と戦闘になったが大半はエティアスの剣とカリアンの魔法が敵を葬っていた。そしてまた魔物達と戦闘になり次々とその二人は殲滅していく。その様子に自身の剣と魔法の先生である二人の戦いぶりを見てルシアは驚いていた、エティアスとカリアンに負けないような剣と魔法の使い手を目指しているルシアだったが力量の違いを知り改めて二人を尊敬した、ルキフもまたエティアスの実力を目の当たりにしてこの忠義の騎士に憧れを抱き始めていた。そんな中黙々と道を進むと一行は山麓へとたどり着いた。


 「後はこの山を登って花火を放ってみるだけだな、カリアンまだ魔力は残してあるか?」


 「ええ、山が一番危険と聞きましたので余力は残してありますよ」


 「この山にはどんな魔物がいるのですか?」


 ルキフがそうアエリアに聞く。


 「ごめんなさい、詳しくは分かりません、この山に訪れて集落に帰ってきた人は一人もいないんです」


 「油断はできなさそうだな、私が先頭に立とう、ルキフ君は後に続いてくれ、カリアン、魔物の気配を感知する魔法を頼む」


 ルキフが頷きカリアンが数十メートルの範囲の魔物を感知する魔法を使うと5人と一匹は山の頂を目指して進んいく、山を登り始めて魔物達に会う事無くルシア達は山頂付近にたどり着く。


 「無事にこれましたね」


 「ああ、だが花火を打ち上げれば魔物が来るだろう」


 「魔物除けの結界を張ります」


 「お願いします、アエリアさん」


 カリアンがそう言うとルシアの背中に布地で包まれておぶさっていたフェリルが鳴き声を上げる。


 「お腹が空いたの?フェリル」


 「日が暮れるまでまだ時間がありますね、アエリアさんの結界が完成したら少し休憩しましょう」


 カリアンの提案どおり一行は携帯していた食料や水を口にする。


 背中から降ろされたフェリルはルシアが差し出したお肉を夢中で食べる。


 「美味しい?フェリル」


 「ニャー」


 フェリルはそう鳴き声をあげるとあっという間に食べ終える。


 暫くすると太陽が隠れて月が見えてくる。


 「よし、花火を打ち上げよう、ルキフ君!準備を手伝ってくれ」


 「はい!エティアスさん」


 二人が打ち上げの準備をするとエティアスが皆に言った。


 「皆、準備はしてくれ!出来次第火を頼むカリアン!」


 武器や杖を手に準備し終えた皆にカリアンが言う。


 「いきますよ、皆さん」


 ルシアがそう答えるとカリアンは花火の玉の線に火をつけた、最初の花火が空高く打ちあがり火花を散らした。数十分置きに花火を打ち上げ続けた。花火が無くなると空は暗闇に包まれた。最後の花火を打ち上げてから数十分経つと突然フェリルがうなり声あげる。


 「どうやら、魔物が来るようだな、カリアン!方角は分かるか?」


 「南から近づいて来ているようです」


 南の方向を警戒していたルシア達の前にのっそりと大きな生き物一匹とと空を飛ぶ魔獣一匹が姿を現した。


 「トロールとコカトリスです!皆さん、注意してください!」


 「カリアン!武器に魔法を!トロールは私に任せてお前はコカトリスの注意を引いてくれ!ルシアお嬢様とルキフ君とアエリア殿は結界の中にいるんだ!」


 「私も戦います!」


 「いいえ、お嬢様、あの二匹の魔物は非常に危険です!エティアスの言う通りに!」


 「、、、分かりました、カリアン」


 剣に強力な切れ味がますエンチャントの魔法を受けたエティアスは結界から外に出てトロールに切りかかって行くと魔法を使ったカリアンも結界の外に行きコカトリスの注意を引きつける。


 トロールが近づいて来るエティアスに巨大な棍棒を振り下ろすとエティアスは右に避けてトロールの左足を切り裂く。その間カリアンはコカトリスをけん制する為詠唱がほとんど掛からない気弾の魔法を放ちコカトリスを引き付ける。左足を切り裂かれたトロールは地面に膝をつきエティアスをけん制して棍棒を振りまわすが歩く事が出来なくなったトロールはエティアスに止めを刺される。そのままエティアスはカリアンに加勢に行く。


 「待たせたな!カリアン!今度は俺が引き付けるぞ」

 

 「お願いしますよ、エティアス」


 飛んでいるコカトリスの注意を引く為エティアスは盾を叩き挑発するとコカトリスは空からエティアスに急降下してエティアスに襲い掛かる、エティアスがコカトリスの攻撃を引き付け避け続けている間にカリアンは雷の魔法を放つ為集中する。その時左足に激痛が走りたまらずその場に座り込む。

 

 「ッ!!」


 「カリアン!」


 ルシアが叫び声を上げると足には矢が深々と突き刺さっていた。南の方に何体かのゴブリンをみたルシアはカリアンをルキフに頼むとフェリルと結界から出てゴブリン達に切り掛かりに行った。ルキフはカリアンを結界の中まで抱えていくとアエリアがカリアンに治癒の魔法を使い傷を癒していく。

 ゴブリンが再び弓矢を構えるとルシア目掛けて矢を放つ怒りに火がついたルシアはその矢を剣で防ぐとそのままゴブリンの所まで走り弓矢をもつゴブリンの切り伏せると残ったゴブリン達を切り伏せに行く、ルシアがゴブリン達を切り伏せる中コカトリスの注意を引きつけ続けるエティアスを気にしたルキフがアエリアに言った。


 「カリアンさんをお願いします!」


 結界を出て加勢にしに来たルキフにエティアスが言った。


 「ルキフ君!私なら大丈夫だ、君は下がっているんだ!」


 「でも!」


 ルキフを見たコカトリスは石化させるブレスをルキフに向かって吐く。


 「ルキフ君!!」


 ブレスを浴びそうになるルキフにエティアスが身をていして庇うとエティアスの下半身がブレスを浴びて石化していく。


 「エティアスさん!」


 「大丈夫か?ルキフ君、、結界にはいるんだ」


 ブレスを吐き地上に降り立つコカトリスを前にルキフは自身を庇ってくれたエティアスの前に立った。


 「ルキフ君!無茶をするな!」


 「いいえ!俺の為にすみません!俺が囮になります!」


 コカトリスを前に恐怖しながらもルキフは前に立ちコカトリスの鋭い爪やくちばしをギリギリのところでかわし続けるがコカトリスの渾身の爪を剣で受け止めるとその衝撃で地面に倒れる。倒れたルキフにコカトリスは嘴で身体を貫こうとするが何とかそれを左右に転びながらルキフがかわしているとコカトリスの目に矢が突き刺さった。片目を失ったコカトリスはルキフから視線を外し自身の目を射抜いた相手を探すとそこにはルシアが弓を手に立っていた。


 「掛かってきなさい!エティアスにもルキフ君にももう手出しはさせない!!」


 ルシアはそう言うと弓を捨て剣を両手で持ち上段に構えた、その姿はルシアの曽祖父であるアルシが得意としてた剣の構えに非常に似ていた。怒り狂って向かって来るコカトリスの爪の一撃をジャンプしながらかわしてコカトリスの頭に思い切り剣を振り下ろす、頭を切り裂かれたコカトリスはそのまま絶命した。怪我人をだしながらも魔物達を一掃したルシア達はアエリアの治癒魔法でカリアンと下半身が石化したエティアスの治療をした。


 暫くそのまま待っていると上空からグリフォン達がやってきた。


 「皆!お姉様達ですよ!」


 ルシアがそう皆に叫ぶとゾルフィから降りたリアがルシアに言った。


 「ルシア!無事で良かったわ」


 「お姉さま!」


 ルシアはリアに抱き着いてそう言った。


 「エティアスとカリアンも一緒のようね、本当に良かったわ、こちらの方は?」


 「司祭見習いのアエリアと申します」


 「お姉さま、この島には私達以外に救助を待つ人たちがいます、皆船に乗せられますか?」


 「その人達は何処に?」


 「この島の西にいます!」


 「わかったわ、お父様達も心配しているしとりあず先に貴方達は船に乗ってもらうわね」


 「はい!」


 そしてグリフォンの背に運ばれてルシア達一行はルシアン達の待つ船へと戻り、難破した船に乗っていた人々もその船に運ばれた、コカトリスやゴブリン達を葬ったルシアの活躍を聞き父であるルシアンはルシアを誉めたが同時にその無茶ぶりをたしなめた。そして船はアーズ大陸のアクリアス共和国の港町へと向かった。


 


 


 


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