雨宿りの間に
ニーナが大きな葉の下で雨宿りしていると、小人族の少年が駆け込んできた。
「僕の名前はリコ、一緒に雨宿りしてもいいかな?」
ニーナは笑いながら頷いた。
「僕はニーナ、野ネズミの夢の中を借りて、新しい世界を作っている途中なんだ」
そういって、掌に包んだ寝ている野ネズミを大事そうに見せた。
「世界を作れるなんて……とても小さいのに、ニーナは神様なんだね」
「うん……昔作った世界で争いが起こって、止めるため力を使いすぎたら、こんなに小さくなっちゃったんだ」
「そうなんだ、神様はみんな威張っていて嫌いだけど、君は少し違うね」
神様らしくないニーナのことを、リコはすぐ好きになっていた。
ニーナも話をするうちに、リコを好きになって、自分の世界に招待したいと思った。
「あのさリコ、僕が作っている世界を覗いてみる気はない?」
「ニーナの世界って、ここに寝ている野ネズミの夢の中にあるんだよね?」
「もし、目を覚ましたらどうなるの」
心配になってリコは聞いた。
「目を覚ましてしまったら、そこで終わりだよ」
「世界は、夢と一緒に消えてなくなるんだ」
リコは少しあきれた顔をした。
「どうして、もっとちゃんとした場所に作らないんだい」
「今の僕に力がないから、作れる場所は限られてるんだ」
ニーナは寂しそうな顔をした。
リコは誘われるままニーナの掌に自分の掌を重ねて、そっと目を閉じる。
瞼の裏に霧が広がり、それを抜けると、遠く近く星たちが輝く場所いた。
「凄く綺麗だ!夢の中にこんな世界があるなんて」
小さな星に近づき見下ろすと、たくさんの生き物がいた。
畑を耕したり狩をして、幸せそうに暮らしている。
しばらくの間その様子を見ていると、突然、何本もの火柱が上がり、世界が揺れて崩れ始めた。
「いけない、戻ろう」
ニーナがそういうと、リコの視界は再び霧に包まれる。
そして気が付くと、もと居た場所に戻ってきていた。
野ネズミはブルっと体を振るって水を飛ばすと、ニーナの手の上から逃げ出していった。
大きな葉にたまった水玉が上から落ちてきて、目を覚ましたようだ。
ニーナの世界は、シャボン玉のようにはじけて消えてしまった。
「世界の終わりって、あっけないんだね」
リコがぽつんという。
「……そうだね」
「この世界だって、誰かがうたた寝の間に見ている……夢なのかもしれないよ」
ニーナはそういって、肩をすぼめた。
その後、二人は何も話さずに、降り続く雨に滲んだ世界をただ見つめていた。
「小説家になろうラジオ」大賞の応募作品です。
書きかけていた一万字以上の小説を千字に圧縮しました。
もともとは、人間の愚かさで世界が滅びる設定でしたが、超短編だとくどくなりそうだったので、世界観重視で仕上げてみました。
お読みいただき、ありがとうございます!
もし、よろしければ評価して頂けると嬉しいです。
何卒よろしくお願いします!




