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雨宿りの間に

作者: 日々野 新
掲載日:2025/12/28

 ニーナが大きな葉の下で雨宿りしていると、小人族の少年が駆け込んできた。


「僕の名前はリコ、一緒に雨宿りしてもいいかな?」


 ニーナは笑いながら頷いた。

「僕はニーナ、野ネズミの夢の中を借りて、新しい世界を作っている途中なんだ」

 そういって、掌に包んだ寝ている野ネズミを大事そうに見せた。


「世界を作れるなんて……とても小さいのに、ニーナは神様なんだね」


「うん……昔作った世界で争いが起こって、止めるため力を使いすぎたら、こんなに小さくなっちゃったんだ」


「そうなんだ、神様はみんな威張っていて嫌いだけど、君は少し違うね」

 神様らしくないニーナのことを、リコはすぐ好きになっていた。


 ニーナも話をするうちに、リコを好きになって、自分の世界に招待したいと思った。

「あのさリコ、僕が作っている世界を覗いてみる気はない?」


「ニーナの世界って、ここに寝ている野ネズミの夢の中にあるんだよね?」

「もし、目を覚ましたらどうなるの」

 心配になってリコは聞いた。


「目を覚ましてしまったら、そこで終わりだよ」

「世界は、夢と一緒に消えてなくなるんだ」


 リコは少しあきれた顔をした。

「どうして、もっとちゃんとした場所に作らないんだい」


「今の僕に力がないから、作れる場所は限られてるんだ」

 ニーナは寂しそうな顔をした。


 リコは誘われるままニーナの掌に自分の掌を重ねて、そっと目を閉じる。

 瞼の裏に霧が広がり、それを抜けると、遠く近く星たちが輝く場所いた。


「凄く綺麗だ!夢の中にこんな世界があるなんて」


 小さな星に近づき見下ろすと、たくさんの生き物がいた。

 畑を耕したり狩をして、幸せそうに暮らしている。

 しばらくの間その様子を見ていると、突然、何本もの火柱が上がり、世界が揺れて崩れ始めた。


「いけない、戻ろう」

 ニーナがそういうと、リコの視界は再び霧に包まれる。

 そして気が付くと、もと居た場所に戻ってきていた。


 野ネズミはブルっと体を振るって水を飛ばすと、ニーナの手の上から逃げ出していった。

 大きな葉にたまった水玉が上から落ちてきて、目を覚ましたようだ。


 ニーナの世界は、シャボン玉のようにはじけて消えてしまった。


「世界の終わりって、あっけないんだね」

 リコがぽつんという。


「……そうだね」


「この世界だって、誰かがうたた寝の間に見ている……夢なのかもしれないよ」

 ニーナはそういって、肩をすぼめた。


 その後、二人は何も話さずに、降り続く雨に滲んだ世界をただ見つめていた。



「小説家になろうラジオ」大賞の応募作品です。

書きかけていた一万字以上の小説を千字に圧縮しました。

もともとは、人間の愚かさで世界が滅びる設定でしたが、超短編だとくどくなりそうだったので、世界観重視で仕上げてみました。


お読みいただき、ありがとうございます!

もし、よろしければ評価して頂けると嬉しいです。

何卒よろしくお願いします!



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