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9 火をつける条件

「レイファ兄さんが来てたんだって?」


 ウィルフレッドがぼそりと尋ねる。知ってたんだ。

 自分から兄さまに会いにはいかなかったんだな──そう思った矢先、

「精霊たちが何だかよく分からないオーラの人がいるって驚いちゃってね。兄さんに近づけなかったんだ」

 精霊たちがざわつく。光る羽のようなものがふわふわと宙を舞い、言葉にならない囁きが空気を震わせた。(レイファ兄さんは、やっぱり只者じゃないな。俺でも近づけない……ってことは、やっぱり王族か──)


 それ多分王族!王子さまたちだきっと!ウィルフレッドの不敬な言葉に、メリルは仰け反りそうになったが、自分もレイファ兄さまを取られた嫉妬で、第一王子をこんちくしょうと思ったことはすっかり忘れている。


「王子さまがレイファ兄さまを迎えに来て連れて帰っちゃったの。もっと魔法を教わりたかったのに」


「魔法を?何故?」


 メリルは言葉に詰まった。必ず自分のしょぼしょぼ魔法を説明しないといけないから。言葉にすると本当に自分がみそっかすなのを嫌でも再確認することになってしまう。


 それでもレイファ兄さまに教わった魔法の重ねがけのことを説明する。

 『言の葉』に宿る『言霊』を使うことを。


「うーん。でもメリルは無詠唱だよね?精霊たちが言ってる。メリルは魔力量も魔法(マジック)(コア)も大きいから本当なら凄い魔法が打てるって」


 この言葉にメリルは大層驚いた。じゃあ、あのしょぼしょぼ魔法はいったいなんなの?


「やり方がきっと間違ってるんだ。魔法はね、精霊の助けがなくても発動できるように、エルフ族が考案したものらしいよ」


 何かがメリルの頭に閃いた。それには気付かずウィルフレッドは続ける。


「例えばさ、火を出すときに必要なものって何だと思う?」


「んと。自分の中にあるマジックコアで火を思い浮かべてつけること?」


「マジック・コアって、つまり火をつける“火打石”の役目なんだ。魔力は燃える材料。あとは空気。三つ揃ってないと、火はつかないんだよ。それに空気は濃くても薄くてもダメなんだ」


 もの凄い頭を使って、メリルは眠くなってしまった。なんだかすごい大事なことをウィルは言ってる気がするのに……。


「メリルは普段空気に溶け込んでる精霊たちを見ることが出来てるから、あとちょっと考え方を変えたらきっとすごい魔法が打てるよ。空気の中の元素を利用するのが言葉なんだ──あ、メリル寝ちゃったか」


 ウィルフレッドの言葉通り、メリルは寝息を立てて夢の世界にまっしぐらだった。


 ぼそりとつぶやくウィルの声が聞こえたような、聞こえなかったような。

 けれど、メリルの頭の中では、火と魔法の話がゆっくりと混ざりあって、夢の中でふわりと広がっていった──




 ◇ ◇ ◇


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