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6 レイファ兄さまのアドバイス③

 !レイファ兄さまの手のひらに樽くらいの大きさの火の塊が発現した。

 すごい!おっきい!かっこいい!レイファ兄さまの顔が火の作り出す影で揺らめいていてとても神秘的だ。

「これが()()()()()()()()火の大きさだね」

 そう言って手を握りしめると火は消滅する。


「……で、詠唱を()()()()()()()()()

 レイファ兄さまがさっきと同じ姿勢を取り呪文を唱えた。

炎よ来たれ(フレイム!)


 今度はさっきの火よりもずっともっと大きな炎が出現した。

 呪文が違うのは分かったけど、これが重ねがけなの?


 わたしの心の質問をレイファ兄さまは察したようだ。炎を消して答えてくれる。

「つまりね。言の葉(ことのは)で魔法を倍がけしたんだよ。日常でも火→炎→爆炎というように火の威力が単語で変わっていくだろう?それを利用して言霊(ことだま)の力を借りて魔法効果を重ねがけしているんだ」


 ……難しい。


「言の葉とは"こころの言葉"でもある。火を発現するときまず爆炎を思い浮かべて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みてごらん?」



 えっと……つまり、自分の想像出来る一番大きい火を思い描いて、そこから何度も何度も同じ火を最初の火に重ねていく……


 「絵の具で言えば、薄い赤を何度も何度も塗り重ねて、深い紅にしていくようなものだよ」



 ブツブツと呟きながらやってみたけれど、ほんのちょっと指先から出る火が大きくなったかな?というくらいしか変化は見られなかった。


 誰から見ても分かるくらいがっくり肩を落とすメリルにレイファは優しく微笑んだ。


「これはすぐに出来るものじゃないと思うよ。いずれメリルもきっと出来るようになるから、毎日コツコツ頑張ってごらん。アクアオッジ家門は積み重ねることを厭わない一族なんだから」


 そう言って兄さまは騎士のみんなに挨拶をして王宮に戻って行った。なんと第一王子が第三王子と一緒にアクアオッジ家に迎えに来たのだ。王族がお忍びでこんな辺境を訪れたことよりも、兄さまをわざわざ迎えにきたということがびっくりだった。


 メリルは、視線を感じて鍛錬場を見たが、誰もいない。

(なんだか誰かに見られていたような気がしたけれど……気のせい、かな)


 実は第三王子が、鍛錬場にこっそり見学にきていたのだけれど、メリルは全く気が付かなかった。



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