15 従属の呪い解除
精霊たちはやんややんやの大騒ぎ。
"やったわ! さすが闇の"
"契約解除ぉ!"
「従属の呪いが……消えた……」
男の子が呆然としながら胸のあたりに手を当てている。
メリルが男の子に近づきながら、バサバサいう音が気になって頭上を見上げる。
あっという間にその何かは近づいてきて、地上のみんなにその巨大な影がかかったかと思うと、背に乗っていた誰かが降り立った。
誰ともなく叫ぶ。
「ドラゴン!?」
さすがにこの場所に自らが降り立つ空間がないのを察したのか、再び上昇するドラゴン。あっという間に姿が遠ざかる。
一方降り立った人物のほうにメリルは覚えがあった。
ウィルフレッドとメリルの声がぴったりハモる。
「「アーサー兄さま!?」」
アーサーを認めたメリルの素早さは尋常の速さではなかった。さすが自他共に認めるブラコンなだけはある。
あっという間に彼に飛んで抱きついた。
こういう時、素早いメリルにいつも置いて行かれるウィルフレッドは羨ましく思いながらも、急ぎ足でアーサーに近づいた。
「おお……っふ。僕の可愛い双子たち。元気にしていたかい?」
メリルにタックルをかまされた格好になったアーサーは息を吐き出しながらもにっこり微笑んだ。
「「わあああ。本物だ本物のアーサー兄さまだああ」」
興奮具合がハンパではない。
いつもいい匂いがするアーサーに二人はがっつり抱きついた。
「……僕も一緒に降りたのに……。全く眼中に無いっていうのは、このことなのかな…」
ほえっ!?
声のしたほうを振り向くと、とてもお上品そうに見える男の子がしょんぼりと肩を落としながら近づいてくる。
ざっざっという多くの足音もどんどん近づいてきて、憲兵の制服を着た男たちが男の子の後ろのほうからやってくるのが見える。
──と、今まで大人しかった二人の男が憲兵の姿を見るなり逃げだした。
「あっ、待て!」
メリルは叫んだが待てと言われて素直に待つ奴などいない。
「「だぁれが待つかよォ……ッ!」」
あ、またハモってる。
男たちが逃げ出したのを見て憲兵たちも走り出すが、いかんせん距離が結構あって追いつけない。
まずいよ、逃げちゃうよ! とメリルがウィルフレッドのほうを見ると、ウィンクされた。