13 精霊たちの手伝いと全てを理解したメリル
「仕方ないなあ。精霊たち手を貸して。君たちだけにしか出来ない。あの悪い大人たちがこっちに向かってこないように足止めして」
お願いという言葉に精霊たちは色めき立った。ウィルフレッドに頼まれたのが嬉しくてたまらない様子。
"精霊王たちのイトシゴのお願いだ"
"イトシゴのお願いは叶えなくちゃね"
"ウィルのお願い! イトシゴの頼みならやらなくちゃ!"
どうやら大人たちには精霊の声は聞こえないようだった。
「何ゴニョゴニョ言ってんだチビどもぉ。オトナなめんじゃねえぞ、ぶっ飛ばされて泣くのはお前らのほうだわ!」
こちらに向かってこようとした男たちの真下、地面にいきなりぼこっと穴が開いて男たちの足がめり込んだ。
男たちが予期せぬ事に対処出来ず、顔から地べたに向かってビターン! と転んだ。あっちゃー。これは痛い。
"ナイスぅノーム"
"アハハ! ヒトっておもしろ! アノ顔!"
男たちの顔は土に汚れ、顔からまともに転んだため鼻血が出ていた。
「「ぐぬぬ……なんだなんだァ?」」
"綺麗になりましょ?元は変わらないけれど"
ウンディーネが嫌そうに男たちから顔をそむける。
起き上がりかけていた男たちの頭上から大量の水が降り注ぎ、又もや突っ伏す羽目になった。ぐげえええ、と搾り取られるような声だけが響き渡る。
それでも根性だけはあるのか腹這いで向かってこようとする。なんちゅう執念。だが顔をちょっとでも上に上げようものなら、今度はシルフィードが強風を起こして近づかせない。
そうこうしているうちに、メリルは必要な三つの物を想像する。と同時に『三枚の銀貨』が脳裏に浮かんで輝いた。
その途端、メリルの【スキルツリー】がものすごい勢いでピコンピコン鳴り出した。びっくりするような数のピコンだ。
ざっと足を開いて何かを打ち出すポーズをとる。
どっかで見たようなポーズだが、効率のいい戦闘ポーズはみな似ているんだ。そうに違いない。
『着火石』
『燃える物』
『空気』
"我も手伝う!"
炎が生まれ出たタイミングで火の精霊サラマンダーがちょちょいとメリルに向かって指を振ると、炎はメリルの背丈と変わらない爆炎へと膨れ上がり、放たれるのを待つだけとなった。
その時、メリルにはレイファ兄さまの言葉が聞こえてきた気がした。
『毎日コツコツ頑張ってごらん。アクアオッジ家門は積み重ねることを厭わない一族なんだから』
「ふっふっふっ……これがアクアオッジのコツコツ諦めない力だあ!」
メリルが全てを理解し大声で叫ぶと、かーめーはー……いや、それ以上はだめだ。著作権の問題だ。
「ぎゃああああああ」
「ぎょええええええ」
男たちの絶叫と、炎のゴゴゴという音が見事に重なり合う。
メリルは、男たちに向かって爆炎を打ち込んだ。