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着信2



「キラ…ナイ…デ……」


携帯の向こうの声は、あたしのしようとした行動を見透かしたようにとぎれとぎれに口にした。

片言で、か細い声。どこかで聞いた覚えがある気もするけど、知り合いにしろそうじゃないにしろこのまま電話に出ていられる気分でもなかった。


(イタズラ、か。そんな気分じゃ、ないのにな…)


意識のはっきりしないまま、携帯を離しがちに通話終了ボタンに手を伸ばしながら見えない向こうの相手に言った。


「ごめんなさい。あたし、今あなたに構ってる気分じゃー」


「ナマエ…」




 丁寧にもはっきり意見を述べようとするあたしの声を最後まで聞かずに、声は小さくまた呟いた。



「ナマエ…。ナマエヲヨンデ」


「名前…?あなたの…?あたしあなたの名前なんかー」


「ナマエ…。ヨンデ…カナデ…」




『カナデ』。


携帯の向こうから、聞こえた懐かしい呼び声。

過去の記憶をたどって、たどり着いた一つの名前が思わずあたしの口をつく。




「と……う…ま…?とうま…なの…?ほんとうに…?」




途切れ途切れに紡ぐ言葉。


すがるような思いで、涙声になりかけた精一杯の声を振り絞って見えない携帯の向こうにその姿を思い描いた。


携帯を握るこの手が、つい強く力が入る。





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