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隠しごと


「それにしてもあたしに会わせたい人って誰なの?」




 部屋へと続くきしむ廊下を歩きながら先を歩く玲凪の背中に率直な疑問をぶつけてみる。


 すると、玲凪が急に立ち止まったかと思うと苦々しい顔で振り向いた。


(な…に?)


いつもそばにいた親友の見透かしたような表情がどこまで見透かしているのかが読み取れなくて恐ろしいような、不思議なような戸惑いに陥る。




「奏。ほんとはまだ風桐くんのこと、忘れられてないよね…?」




……ドクン。


核心をつかれた鼓動が、あたしの内側で反応する。


いつも不安そうでおどおどしている玲凪とは似てもにつかないほど、その目は不安に満ちていながらもまっすぐ、しっかりとあたしを見据えている。




「え、え?どうしたの、急に?だ、だってほら あたしもうちゃんと立ち直ったじゃない…!」


「おかしいと思ってたの、ずっと。奏が久しぶりに学校来るようになってから奏、一人なのにまるで誰かに話しかけてるように話してたり、教室で変なことがたくさん起こったり…。ね。あたしに何か隠してる…?」


「べ、別になんでも…っ」


「隠さないで」




玲凪の真剣な目をみていられなくてそらそうとするあたしに玲凪が続ける。




「お願い。あたし、奏の力になりたい…!」




 玲凪の目は真剣だった。確証などないけれど根拠と呼ぶには十分なほど思いに満ちた目だった。




「事故のあとなにかあったの…?」


「………………。」




言葉に詰まる。


(霊感のある玲凪なら…きっと。でも…)


普通なら信じられるはずもない話。


信じてくれる。信じてくれない。


二つの想いの隙間で決意が、揺らぐ。


(でも…)


ぐっと込めた力で、右手を固く一度握りしめる。






「実はね…」






















「そっか。風桐くんが奏に…。」




 玲凪の部屋で、話を聞き終えた玲凪が気を落とした調子でそうつぶやく。




「うん…。信じてもらえないのはわかってるつもりだよ。でもね、玲凪には信じてほしんだ」


「信じるよ」


「え」




迷いのない玲凪のまっすぐな言葉に思わず、耳を疑う。




「奏は風桐くんに逢ったんでしょ?」


「それは………そう、だけど…」


「だったら。信じるも何もないよ。


風桐くんが ”ここにいる”。奏と”逢った”。それは変わらないほんとのことだもの」


「玲凪…」




 信じてもらえるってことがこんなに嬉しいことだと、初めて思えた。


初めて気づいて、そして…涙が滲んだ。




「…実はね、今日昔霊媒師やっていた知り合いのおばあちゃんがここにくることになってるんだ。話聞いてもらって、二人でどうするか考えよ?」




優しい玲凪の言葉にまた目頭が熱くなる。溢れて、溢れて零れ落ちそうになった涙をそっと見えないようにうつむいて袖で拭った。


(見える人。その人なら、わかってくれるかな…斗真のこと)






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