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消えないココロ


PM 9:52



 お風呂を終えて、いつものように髪も乾かさないままベッドに倒れこむと今日のことを振り返ってみる。


(あのあとずっと斗真を見てないな…)


今は斗真が死んでしまったと思っている。いや、死んでしまったという認識は正しいと言えるだろう。現に斗真は死んだ。しかし、消えたわけではないのだ。というのも、ここに”いない”とみんな思っているからなんだろうけど。


仮にも元クラスメイト。


友達だったはずの人たちに気味悪がられる。


それは、どれほど斗真の心に深く突き刺さっただろう。


(斗真……。。。)






それからは、何も考えられず意識は自然と夢のなかに落ちていた。


















ヴヴヴヴ…ヴヴヴヴ…。


起きたばかりではっきりしない意識の中で携帯のバイブが鳴り響く。


(んー…着信?あ。玲凪からだ)




「ふぁーい…。はよ。玲凪ー」




 あくびをしたまま、自分でも情けないと思うほど気の抜けた調子で玲凪の電話に応える。




「おは…あはは。今起きたんだ?もうお昼なんだけどな」


「休日ぐらいお昼に起きたって別にいいでしょー!!それで、なに?どうしたの?」


「あ そうそう。あのね…えと、その……」


「ん?」




途中からだんだんと声が小さくなっていく玲凪。不思議に思いながらも黙って耳を澄ましてあたしはその続きを待った。




「あ、あの…っ。奏、今日これからあたしの家に来れないかな?」




(玲凪んちに…?)


あまりに言いにくそうだったので何事かと思ったが、玲凪が口にした言葉は予想外なほど簡単なことであたしは戸惑いを隠せなかった。




「別に大丈夫だけど…。なんで?」


「その…会ってほしい人が、いるんだ」




(会ってほしい…人?なんだか   嫌な予感がする…)


 いつも柔らかく聞こえるはずの玲凪の少し強めの声に嫌な予感を覚えたあたしは、電話をきるとすぐ支度をして急ぎ足で玲凪の家へと向かった。














(相変わらずすごい家だぁ…)


 やっとバスを二つほど乗り継いでやっとついた玲凪の家を見上げてそんなことを思う。


玲凪の家は、特別お金持ちってわけじゃないけれどまわりの一軒家より一段と人目をひく古風ながらも立派な、まさにお屋敷とでも呼ぶのに相応しいような古い家だ。




「あれ、奏ちゃん?こんにちは」


 


 どうしようかと家の前で立ち止まっていると、奥の庭の方からあたしに気づいた玲凪のお母さんが声をかけてくる。




「あ、おばさん。こんにちは」


「はい、こんにちは。玲凪と買い物でもいくの?」


「いえ、それが家に来てほしいって言われたんですけど…」


「あら、そうなの?玲凪ー?奏ちゃん来てるわよー?」


「はーい」




 おばさんがここから家のほうに向けて大きな声で玲凪を呼ぶ。


二階の窓から玲凪がそう答えて、階段をパタパタと駆け降りると音がしたかと思うと、玲凪が玄関先に出てきて出迎えてくれる。




「奏くるのはやいね~。ごめんね、急に呼び出して…」


「ううん。大丈夫だよ」




 約束もせずいきなり呼び出したことを相当悪いと感じていたのかばつの悪そうな顔で玲凪がうつむく。もともと計画的で慎重派の玲凪が突然こうして呼び出しをしたりするのは確かにとても珍しかったので驚いたが、もちろん嫌な気はしなかった。




「そう…?じゃ、部屋あがって」


「うん。じゃおばさん、お邪魔します」


「はい。ゆっくりしていってね~」




どうも、と小さく返しながら軽く会釈をしてあたしは淡々と無言で階段をあがる玲凪の背中に続いて玲凪の部屋へとついていった。


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