やばいやつ
スーツの男と会ってたから少し経った日の学校帰り珍しくドグマから電話が来た。いつもは非通知でかけてくるドグマなので違和感を覚えすぐ電話に出た。
「もしも…」
「急ぎだ、今すぐ研究所にこい。風花と一緒にだ。」
「いや、どういう意味だ…」
返事をする間もなく電話は切られてしまった。珍しく焦っていたドグマ。おそらく組織の話だろうがとても嫌な予感がした。俺は急いで風花を探した。特に時間もかからず風花もすぐ理解してくれたおかげですぐ研究所に向かうことができた。
「…ドグマが急ぐほとのことって、一体何があったのかしら…」
そう不安げに風花が言う。
二人で急いで研究所に行ったがそこにドグマはいなかった。だが変わりに手紙と羊羹一つが置いてあり手紙にはには
「お菓子でも食べててくれ」
と書いてある。
「お菓子って、この羊羹のことかな?一つしかないし、私たちをここに呼んだのはどうしてかしら」
風花が首を傾げながら周りを探す。だがいつもならドグマがお菓子を用意するはずがない。が一つしかない羊羹で察した。何が入っているのかわかないがとにかく俺に食べろということだろう。
「とりあえず俺が羊羹を食べてみるよ」
そう言うと風花も察してくれた。
羊羹を食べるとある記憶の映像のような夢にも近いものを見た。
『久しぶりだなドグマ』
『今更何のようだ、ゴミ共』
それはドグマと謎の男の会話だった。
『相変わらずつれないな。昔はよく二人で行動してたってのに』
『あれは研究の効率を良くするために仕方なく嫌々だ』
昔…?異能研究のことか?でも昔ってことは今は関係ないのか?色々な疑問が浮かぶ。
『それでなんのようなんだ。今更組織に戻れと言われても戻らないぞ』
『ハハ、そんなことは言わねぇよ。お前もわかってんだろう。あの呪いがまた現れてんだろう?それも結構前から。よく隠しててくれたな』
『なんのことだかさっぱりだな。そういう妄想もほどほどにしてくれ。万が一呪いがいたとしても俺がそいつを許すわけないだろう』
あの呪い?もしかして風花の呪いのことか?それでもドグマが許すわけないというのはどういうことだかろうか。
『まあいい、大体目星はついてんだ。今は見逃すが次来たときは話してもらう。それかまた組織に戻ってくれてもいい。お前ほどの研究者はそういない。』
『悪処する』
そこで男はいなくなった。だがドグマは男がいなくなってからもう一度喋った。
『斎藤、これを聞いたら早く今から言う住所にいけ』
ドグマは俺に話しかける。
『そこの住所は…』
住所を聞こうとするとき
「斎藤くん!誰か来た!」
風花の声が聞こえた。慌てて振り返るとそこには記憶の中にいた男が立っていた。
「やっぱりいんじゃねえか、*白の呪い*。ん?なんだそこのガキ。俺の顔を見て驚きやがって。やっぱりドグマの野郎なにか伝えてるな」
随分流暢に話すもんだ。…でもどうするこの状況。戦うしかないのか?でもまだどんな相手なのかわかってない状況で戦うのも厳しい。だがやるしかないだろうな。
「なんだクソガキ俺とやるつもりか?」
そう言いながら近づいてくる。戦う覚悟をきめているところに
「バカ!逃げるよ」
そう言ったのは風花だった。背の高い白い花を壁のようにだし研究所の裏口へ引っ張られる。
「バカじゃないの!?なんで戦おうとするかな。絶対やばいじゃんあの人。」
走りながら風花に怒られる。
「ごめん。少し焦ってた。」
「それで?ドグマから何か伝えられたんでしょ?どうしろって言われたの?」
「とりあえず研究所を出ろって。言った場所に来いって」
「その場所は?」
「前言った廃墟の近く」
記憶を見ている途中に声をかけられたとはいえしっかり住所を聞いていたのだ。
「じゃあとりあえずそこまで行きましょう。あの男も追って来てないとは言え早めに」
「そうだな。急ごう」
そう言って廃墟の方向に走っていると前に人影が見えた。
「そんなに急いでどうしたんだ?二人仲良く塾でも行こうっていうのか?」
さっきの男だった。
「お前どうやって来た?」
そんな単純な疑問をぶつける。それもそうだろう、あの男は風花の足止めもありだいぶ距離があったはずだ。
「ただ歩いただけだよ。お前らがイチャイチャしてるから追い越したんだろうよ。」
笑いながら質問に答えるがちゃんとしたことは言わない。
「まあいい、おいクソガキ。その女をこっちに渡せ」
「やっぱりか。」
想定していたが案の定風花が狙いだった。だが俺としてはこのままデートしたいので渡すわけにはいかない。
「お前らの目的はわからんが風花を渡すわけにはいかない。決闘といこいか」
「ちょっと…斎藤くん逃げないと。こいつヘラヘラしてるけどやばいやつだよ」
「大丈夫。俺なら勝てる。風花は下がってて。」
そう言って俺は風花を守るように戦闘態勢になる。
「いいね。少し無駄だがやってやろう。真っ二つに裂いてやるよ」