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ひずみ

彼女と話さなくなって一ヶ月になった。あの後はドグマ乃所に行って謎の薬を貰い手の治療をしているが小指だけは一向に治らない。

「会わないと…」

そう思うが彼女は学校にも研究所に行っても会えない。会ってどうすればいいのかもわからないし、もう触れることも出来ないので本当に行く意味がない。ドグマが言うには「花を食べてもその小指が治らない以上彼女に触れるのは無理だ。今出来るのは花を食べ続けて指が治るのを待つしかない」と言われてしまい八方塞がりだ。ドグマのことを考えていると丁度メッセージが届いた。

[この住所にある建物の屋上に行け。私は手が離せない]

せめて何があるか言ってくれよと思うが彼が言うからには絶対意味があるのだろうと思いそこに向かった。

見るからに廃墟で人などおらず幽霊しか住んでいないようなマンションの跡地だった。

「こんな建物入れるのか?」

そう思いながらも中に入る。所々床が崩れ足場に不安しかない。そんな苦労もしながらやっとの思いで屋上に着く。風が吹いていた。髪が靡いていた。俺の目の前にはあの日人目惚れした綺麗で儚い少女がいた。

「…!なんでここに貴方が…?」

彼女、風花は震える声で尋ねる。

「いや、ここがわかるのはドグマくらいね…それで私がなにをするのかは聞いてないでしょう。それなら帰って」

目も合わせず彼女は淡々と言う。脱いだ靴に彼女の表情で嫌でも悟る。

「君が何をしよとしても俺は帰らないよ」

そう強く言った。彼女は何も費用に変化を見せず俺の方を見る。

「あなたにはわからないでしょう?どんだけ耐えてきたのか。もう嫌なの。触れるだけで人を傷つける私が。もう終わらせてくれない?それとも止めてみる?あなたのその手で」

俺は何も言えなかった。彼女のことを知るたびに彼女の痛みがわかるからだ。

「掴んでみせるよ、君を」

彼女は少し表情を動揺したようの変え、そのすぐあと花を咲かせ自分の周囲に根を張らせる。

「近づかないで。もう」

そう冷たく言い放つ。

「俺はまだ返事をもらってないし、ちゃんと告白してない!そんな中途半端なところで失恋してたまるか!」

「自己中ね、身勝手でエゴばっかり。だから、嫌なのよ」

「俺は君を諦めない、君の呪いを喰らい尽くすまで君にどんだけ嫌われて突き放されても俺は追いかけ続ける。そして君にいつか手を取ってもらえるように、君といつか約束が出来るように、君の夢を叶えられるように!俺の手を掴んでくれないか?俺はもう、離さない」

「…間抜けね」

「よく終われるよ」

彼女は靴を履き花をしまう。そのときだった。

足元が白く変色し崩れ彼女が中を舞う。

「風花!」

俺もすぐ追いかけるが彼女に触れられない。でもこのままだと…。だが考える前にもう俺は風を切っていた。

(やばい、何も出来ないのに飛び降りた。どうするどうすれば…いや今はただ彼女を掴みたい。もう離さないように。風花、風花!)

そのとき透明だか確かにある手が出てきた。その手で彼女を掴む。もう片方の手で近くの建物を掴む。そうやって何とか助かった。

「ど、どうやって…?どうやって私を?いやまずあの高さからどうやって」

「いいじゃん、ラッキーってことで」

俺は俺自身もよくわからないため説明を諦めた。

「…なにそれ、バカじゃないの…わ、私は私のせいで君が危険に…」

「いいんだよ、それに証明出来たでしょ掴めるって、多分直接じゃないけど」

そう言って俺は透明な手で彼女を掴み立たせる。

彼女は息を整え、目から溢れそうな涙を拭い、赤い目で真っ直ぐ俺を見つめる。

「ありがとう、快人」

「おうよ!」

彼女の笑顔はどんな花よりも美しく綺麗だった。

何か現実だと変なとことかあるかもですけどフィクションなんで見逃してください

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