友達から
変な男と変な契約を交わした次の日、俺はまた昨日の場所に向かう。今見ると薄暗い場所に雰囲気の違う建物が建っていて怪しすぎる建物だった。そんなことを思いながら建物の中に入る。中は病院と研究所を合わせたような見た目だった。そして中である人と鉢合わせた。
「…?……!、斎藤くん!?何でここに?まさか君も?」
普段冷静な姿を見ているからかとってもギャップのある姿にドキッした。それを隠しながら
「色々あってね、バイトのような物だよ」
「…そうなのね」
何か含みのある返事で理解を示してくれた。
(…気まずい、学校で見かけたら少し話すことはあるが別の場所となるとなんでか気まずい)
そんなことを考えていると
「この間はありがとう。君が助けてくれたんでしょう?昨日お礼を言いたかったんだけど」
そう昨日のことについてお礼を言われた。ずっと見ていたから助けられたなんては言えないが
「全然大丈夫だよ!おかけでバイトも見つけられてラッキー」
そう変な返しをしたが上手く会話が出来たと思う。
「お礼をしたいのだけれど何かできない?」
そう彼女に言われ心が舞い踊りデートに行きたいと勢いで言いそうになったが抑え
「お礼されるほとでもないよ。…でも強いて言うなら連絡先交換しない?もっと仲良くしたいんだよね」
「そんなことでいいなら喜んで」
そう言って連絡先を交換した。少し遅めな一歩だが、俺にとっては大きな進展だった。喜びに浸かっていると後ろから声をかけられた。
「斎藤、食事だ、来い」
昨日の斎藤くん呼びはどうなったと思いながらドグマについていった。
「随分と楽しそうだったな。連絡先ごときで浮かれて幸せなやつだ」
あいかわらず言葉がキツイ…流石に俺も傷つくぞ…そう思いながらまた昨日と同じ部屋で花を食べた。
「また味が変わったな、今度は少し甘みがある」
だがドグマは報告を聞いてもメモするだけで何も解説してくれない。
「帰っていいぞ」
また冷たく言い放す。こいつ俺のこと嫌いなのか?そう思いながらもさっきの場所に戻る。そこにはテレビなどもあり待機所のようになっている。すぐ帰るのも嫌だったのでテレビを見ていた。だが数分後ドグマと花蓮の言い争う声が聞こえた。そして診査室のような場所から風花が出てきた。
「ねえ!なんで昨日私に触れたの!?」
「だって倒れたし、助けたかったから。呪いについても知らなかったし」
「なにそれ……でも影響が無いからってあたしの花を食べるの!?触れるのは大丈夫でも食べるのはヤバいでしょ!」
普段の姿とは全く違う感情的に怒る彼女に押され何も言えなかった。
「ごめん、今日は帰って。ドグマと話すから」
そう言われ帰路に着いた。今日進展したと思ったら一気に後退してしまった…。適当な考えでドグマの提案を受けたが何か彼女の地雷を踏む何かだったのだろうか。そんなことを考えていたら家に着いた。夕方まで何もせずぼーっとしていたがスマホの通知でハッとした。花蓮からの連絡だった。
[さっきはごめんなさい、助けてくれた人にあんなこと言って]
[全然気にしてないよ、俺も何も考えずに行動しているのも悪いし]
そう返信し相手の話を待っていた。
[呪いについて私から話してもいい?ドグマは雑だから]
メッセージをまっていると電話がかかってきた。びっくりしながらも電話にでる。
「もしもし」
「急に電話でごめんね、こっちの方が話しやすいと思って。続けるけど私の呪いは白花の呪い。これは聞いたとは思うけど、この呪いは私の能力も含め私の触れるものが全て白く変色し脆くなって崩れるのもなの。現時点の対象は生きているもの全て。私がこの呪いに蝕まれたのは丁度4歳のころ。私の呪いのせいで私は私の家を壊したの。四歳なのもあって何が起こったのかわからなかったけどそのあとドグマに会って保護されることになったの。そして12歳になったときドグマから自分がやったことと呪いについて聞いたの。その時はまだ能力以外で呪いの被害はなかったけど多分その歳から触れるだけで影響が出るようになったんだと思う。それからは人と触れることがないように友達を作んなかったんだ。高校まではそんな感じ。でもそしたら君が倒れた私を運んでくれた。誰にも触れないように過ごしてたのに君が急に触れてきたからすごく不安だった。何も影響がないのが一番不安だった。しかもそのあとドグマと秘密の食事会してるし。今、すごく変な気持ち。呪いが効かない喜びと何が起きるかわからない不安。ドグマは今がチャンスって言うけど人を利用したくない。今どうしたいのかわからないけど、少し協力してほしい。無責任で身勝手だけど君に期待したい、と思ってる」
こんな話を聞いてなんて言うべきか悩んだ。そして今言うべきか迷っていることがある。言うべきではないが言った方が行動しやすい。そして覚悟を決めた。
「俺、実は君のことが好きなんだ」
「え、え?急に、え?」
困惑する彼女をよそに俺は話を続ける。
「正直まだ知り合ったばかりだしあんまり君のこと知らないのも事実。それでも俺は好きだ。今となったら君の姿が呪いの影響なのは知ってる、それでも君を綺麗だと思う。だから俺は君の役に立つ研究をしたいと思ってる」
そう話終えた後少しの間が空いた。
「正直まだ君のこと知らないしどんな気持ちを向けてるかもわからないけど、君が協力してくれるならお願いします」
「よろこんで」
そう言って電話を切った。勢いで告白して振られた…なんであんなことしたんだろうか…。少し後悔二見舞われたが寝て忘れることにした。
その日は夢を見た。懐かしい声と温もりと消毒液の匂い。何年前かの記憶もわからない。それでも白く霞んだ記憶の中に綺麗な花と頭を撫でてくれるそんな感触は記憶に残ってる。ただ寂しさを残して。